松本

好きに文章を書いたらこうなる。@fumin_sushi

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記事一覧

噓の日記(5/6,5/19)

5/6  毎日日記をつけているわけではないけれど、それでも日記に書くようなことかがぽんぽん起きるような生活をしているわけではない。僕の生活というのはほとんどが家の…

松本
6日前
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嘘の日記(4/28など)

4/28  今日は鏡を割った。それはそれは手ひどく割った。どうやってあの四角いプラスチックの枠に収まっていたのか不思議なくらいに割った。もう本当にばらばらだった。惨…

松本
3週間前
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嘘の日記(4/21など)

4月21日  夢の中で夢を見るような日がある。(ないというのなら、あなたは幸運であるか、または眠りが深いのだろう)僕にとってほとんどの場合、そういう夢は悪夢であっ…

松本
1か月前
8

星よ

もうこの頃は、すっかり冬の様相を呈している。暖房を入れてないと寒くて眠れないくらいだ。日のあたる時間帯ならまだしも、僕が主に生活を営む夜の間は、少なくとも太陽…

松本
6か月前
7

嘘の日記、土曜日や日曜日の。

 正解のない問題を考えるような日々が続いているので、必然的に天井を眺める時間が長くなってしまう。わからないことが多すぎるから、脳に入ってくる情報を減らさなければ…

松本
9か月前
7

去年の夏に下書きだったんだ。

 僕がだらだらと毎日を過ごしている間に梅雨が明けていました。気温は高調子を維持し続け、日光は殺人的に降り注いでいます。上から降るに違いがないので、雨と同じで屋根…

松本
11か月前
4

夢。

 車の中で夢を見ていた。長いのか短いのか、どのような意味が込められているのかも分からない夢を。  雨が降っていたような気がする。軽く細やかな雨が周囲の物にぶつか…

松本
1年前
4

しにたい夜に

 毎夜ごとに死にたくなっているんだ、とこぼしてしまったときの友人の返答は想像とは違っていた。彼は当たり前のように、ただ事実を告げるような調子で「死にたくない夜な…

松本
1年前
8

ほとんどのたばこは有害。

 人生で24度目の夏。いや、僕は春の生まれだから正確には25回目の夏か、細かいことはどうでもいいんだけど。まあとりあえずそんなような夏は、あまり派手ではない、むしろ…

松本
1年前
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星と107号室

 星屑を拾って大切にしておくと星の子が孵るらしい。数時間で孵るとも何ヶ月の間も変化がないだのいろいろなことが言われているが、真偽は定かではない。それくらい、やっ…

松本
2年前
7

もぐる。

 東京の街。見渡すばかりのコンクリート。背の高いビルに囲まれながら、息苦しいその街を歩く。泳いでいるみたいだな、と思う。濁った水、空気、寄せては返す人の波。息継…

松本
2年前
9

また、春が来る。

 先日、卒業に関わる書類を大学へ提出しに行った。休学を一年挟んで合計五年も通ったので思い入れが深く、小中高のどれよりもきちんと自分の時間を過ごしたという実感があ…

松本
2年前
9

夢の中で、夜を過ごして。

 夜が怖い、という記事を昔に書いていた。その当時の僕はうまく寝付くことができず、毎晩焦燥感に悩まされていた。来るはずのない、あり得ない将来についての杞憂とも言え…

松本
2年前
12

嘘日記、12/30

 僕は今年も、年内最後の日記をどうしようか悩んでいた。昨年末もまったく同じことで悩んでいた気がする。「結局年末だというのに日記に書くようなことが何も起きないなあ…

松本
2年前
8

家のはなし(ではないです)

 日本の田舎というものを想像したときに思い起こされるのは、田んぼや遠くに見える山々や遮るものがなくどこまでも続く青空ではない。それらも歩いていけるところには当然…

松本
2年前
7

スポンジと綿

 こんばんは。ハヌマーンの『アパルトの中の恋人たち』の話をします。前にもしたことがあるかもしれなくて、繰り返しになるかもしれないけどします。しようという気になっ…

松本
2年前
7

噓の日記(5/6,5/19)

5/6

 毎日日記をつけているわけではないけれど、それでも日記に書くようなことかがぽんぽん起きるような生活をしているわけではない。僕の生活というのはほとんどが家の中か夢の中で完結しているし、その二つはもちろん穏やかに保たれているからだ。どちらにおいても僕は波に攫われるように、風に揺られるように生きている。

 今日はほとんど日が昇ってから眠りについた。日が落ちている間は月や星やがせわしなく働いて

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嘘の日記(4/28など)

4/28

 今日は鏡を割った。それはそれは手ひどく割った。どうやってあの四角いプラスチックの枠に収まっていたのか不思議なくらいに割った。もう本当にばらばらだった。惨憺たる有様だ。

 しかし、いつもはリビングの片隅で眠そうな顔を映すに過ぎないそれは、散り散りに床へ広がってからは随分ときれいに見えた。細かく砕かれたそれは、それぞれ好き放題に景色を身にまとって、色とりどりの姿を楽しんでいた。それは星

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嘘の日記(4/21など)

4月21日

 夢の中で夢を見るような日がある。(ないというのなら、あなたは幸運であるか、または眠りが深いのだろう)僕にとってほとんどの場合、そういう夢は悪夢であって、楽しいものではない。特に今朝の夢はひどかった。寝ても覚めても(実際はずっと夢の中なわけだが)身体は重くて上手く動かない。しまいには、なぜか美容師に頭を洗われる始末であった。なすすべもなく泡でいっぱいになる頭、動かない身体、耳に届くの

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星よ

もうこの頃は、すっかり冬の様相を呈している。暖房を入れてないと寒くて眠れないくらいだ。日のあたる時間帯ならまだしも、僕が主に生活を営む夜の間は、少なくとも太陽の恩恵に預かることはできない。そういう時間は大抵の場合、とても寒いか少し寒い。それにここ最近は寒暖差が体調を好き放題していたから、僕は引っ張り出してきた毛布の中に包まり多くの時間をそこでうごうごと過ごした。ザムザが虫になったときもこんな感じ

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嘘の日記、土曜日や日曜日の。

嘘の日記、土曜日や日曜日の。

 正解のない問題を考えるような日々が続いているので、必然的に天井を眺める時間が長くなってしまう。わからないことが多すぎるから、脳に入ってくる情報を減らさなければいけない。白い天井には染み一つなく、そこにはLEDライトと火災報知器だけがぺたんと貼り付けられていた。

 日が長くなってずいぶん経つ。それに従って日が昇るのも早くなった。いつまでも夜が続くような時期は過ぎ去って、幸福や暖かさが世界を跋扈し

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去年の夏に下書きだったんだ。

 僕がだらだらと毎日を過ごしている間に梅雨が明けていました。気温は高調子を維持し続け、日光は殺人的に降り注いでいます。上から降るに違いがないので、雨と同じで屋根があれば防ぐことができるのが救いです。僕は今、幸いなことに屋根と壁には恵まれています。

 いいこととよくないことの割合は、概ね半々だなと思います。今のいいことは上記の通り屋根と壁があること。よくないことは、エアコンの調子が悪いことくらいで

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夢。

夢。

 車の中で夢を見ていた。長いのか短いのか、どのような意味が込められているのかも分からない夢を。

 雨が降っていたような気がする。軽く細やかな雨が周囲の物にぶつかって、柔らかなノイズのような音を立てている。それらの中に混じって聞こえるコツコツしたのは、雨が車体に当たるものだろう。一定の間隔でワイパーが鳴らす低く鈍い音があって、その三つの他にはなにもなかった。会話もラジオもカーステレオも、僕らの間か

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しにたい夜に

しにたい夜に

 毎夜ごとに死にたくなっているんだ、とこぼしてしまったときの友人の返答は想像とは違っていた。彼は当たり前のように、ただ事実を告げるような調子で「死にたくない夜なんてないよ」と言った。「少しだけ死にたい夜か、今すぐにでも死んでしまいたい夜しかない」言葉にしてみれば過激に思えてしまうが、その言葉で彼は僕に納得と安心とを分け与えてくれた。

 だいたい、人生とかいうのはろくなものではない。普段はそれに気

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ほとんどのたばこは有害。

ほとんどのたばこは有害。

 人生で24度目の夏。いや、僕は春の生まれだから正確には25回目の夏か、細かいことはどうでもいいんだけど。まあとりあえずそんなような夏は、あまり派手ではない、むしろ地味な感じでやって来た。梅雨がものすごく早く明けてすぐに戻って来たとか世間では言われていたけれど、そんなことは僕にはまったく関係ない。そんな暦を僕は採用していないし採用するつもりもない。

 雨が降ったりやんだりして、母校の購買が水没し

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星と107号室

星と107号室

 星屑を拾って大切にしておくと星の子が孵るらしい。数時間で孵るとも何ヶ月の間も変化がないだのいろいろなことが言われているが、真偽は定かではない。それくらい、やってみたという話は聞かなかった。インターネットで探してみても、図書館で調べてみても、記録は見てとれなかった。

 ではなぜ噂だけが流れているのだろう。都市伝説が流行したのと同じように、あるゲームの裏技を同級生たちがみな知っていたように。誰もが

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もぐる。

もぐる。

 東京の街。見渡すばかりのコンクリート。背の高いビルに囲まれながら、息苦しいその街を歩く。泳いでいるみたいだな、と思う。濁った水、空気、寄せては返す人の波。息継ぎをしないと死んでしまいそうだから、生存本能に駆られて切り取られた空を見上げる。天を衝かんばかりのビルの上では水飲鳥たちがせわしなく働いていた。この街の空はまた狭くなるらしい。過剰ともいえる自己増殖の果てに何をつかみ取ろうというのか。もしか

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また、春が来る。

また、春が来る。

 先日、卒業に関わる書類を大学へ提出しに行った。休学を一年挟んで合計五年も通ったので思い入れが深く、小中高のどれよりもきちんと自分の時間を過ごしたという実感がある。懐の深さみたいなものが、僕が通った場所の中で最も高かったのだろう。

 その日は快晴で、まっさらな太陽が青空の真ん中に陣取っているような日だった。自転車を漕ぎ進める僕の顔へ暖かな風が当たっていた。すれ違う人のすべてが幸福そうで「こんな日

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夢の中で、夜を過ごして。

夢の中で、夜を過ごして。

 夜が怖い、という記事を昔に書いていた。その当時の僕はうまく寝付くことができず、毎晩焦燥感に悩まされていた。来るはずのない、あり得ない将来についての杞憂とも言える憂鬱な想像は僕の睡眠時間を削り、神経をすり減らした。そうして僕は毎日陽が昇るころに、昼寝をするみたいに眠った。

 こういう日々を過ごしていたとして、夜が怖くないと言える人がいるだろうか。夜が来るたびに追い詰められる感覚があって、それから

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嘘日記、12/30

嘘日記、12/30

 僕は今年も、年内最後の日記をどうしようか悩んでいた。昨年末もまったく同じことで悩んでいた気がする。「結局年末だというのに日記に書くようなことが何も起きないなあ」って。

 というわけで、昨年の僕に倣って隣人の元に赴くことにした。彼には今年も一年お世話になったし、今からさらにお世話になれば書くことだって見つかるかもと思ったからだ。

 いつもと同じようにノックもせず彼の部屋に入る。彼はいつも通り部

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家のはなし(ではないです)

家のはなし(ではないです)

 日本の田舎というものを想像したときに思い起こされるのは、田んぼや遠くに見える山々や遮るものがなくどこまでも続く青空ではない。それらも歩いていけるところには当然あるのだけれど、それよりも僕が思い出すのは国道沿いのチェーン店たちなのだ。座り慣れた助手席といつも流れているご当地なラジオ、窓の外を流れていくのはいくつもの色鮮やかな店たち。一目見て何か分かるように看板とかロゴとか派手にしているのかな。

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スポンジと綿

スポンジと綿

 こんばんは。ハヌマーンの『アパルトの中の恋人たち』の話をします。前にもしたことがあるかもしれなくて、繰り返しになるかもしれないけどします。しようという気になったので。

 この曲を初めて知って、それから繰り返し聴いたのは2020年の夏くらいだったと思います。今からちょうど一年くらい前ですね、でも、どういう生活をしていたのか鮮明には思い出せません。それとなく夏っぽいことをしてそこそこ楽しんでいたは

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