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家のはなし(ではないです)

 日本の田舎というものを想像したときに思い起こされるのは、田んぼや遠くに見える山々や遮るものがなくどこまでも続く青空ではない。それらも歩いていけるところには当然あるのだけれど、それよりも僕が思い出すのは国道沿いのチェーン店たちなのだ。座り慣れた助手席といつも流れているご当地なラジオ、窓の外を流れていくのはいくつもの色鮮やかな店たち。一目見て何か分かるように看板とかロゴとか派手にしているのかな。

 そんなに旅行をする方でもないから本当のところは分からないけれど、実際の田舎というのは上記のようなものなんだろうと思う。めちゃめちゃ自然が豊かとかいうわけではなくそれなりの土地がそのまま残っているだけで、幹線道路の周りは社会の波みたいなのが押し寄せている。それが悪いと言っているわけではない。田舎ってなんかそんな感じよね~ってだけの話である。実家に帰ってきていて思ったからこんなことを書いている。

 だから田舎に来たって星が綺麗に見えるわけではない。コンビニはそこらじゅうにあるし、一番輝いているのはパチンコ屋の看板だ。でも虫が多いのは本当。電灯の周りとかすごいことになっちゃうんですよ、食虫植物とか植えたらどうなんでしょうかという気持ちになる。

 でも僕はそれらのことが嫌いなわけではなく、むしろ好きなんだと思う。だって安心するから。どこでも同じように平均的だとたくさんのところに愛着を持てるからいい。日本中どこのコンビニでも同じものが買えるということで救われている僕がいます。

 それとなんか、田舎の方は夜がひとりなのでいい。夜中に外を出歩いたときに誰かとすれ違ったりしたくないじゃないですか。せっかく夜の空気を独り占めできるっていうのに他の人がいるような感じがあったらちょっとだけ嫌だ。他の人がどうかは分かんないけど、とりあえず僕は嫌なんです。自分はひとりだなって思いっきり感じられることが大切。それ以外の要素は夜の散歩では重要ではありません(ちょっとだけ言い過ぎかもしれない)

 だけど眠らない町みたいなのも結局好きだから、自分がどこに住むのがちょうどいいのか分からずじまいです。だって夜もずっと光っている建物ってかっこいいじゃないですか。仕方ないと思います。考えても仕方がないので、この話もおしまいですよ。

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