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俳句・句集

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句集や季刊誌の紹介など。
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#紹介

「現代俳句」2024年5月号・6月号を読む。

「現代俳句」2024年5月号・6月号を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印をつけています。
そのうち、特に面白かった感銘句を勉強のためにご紹介したいと思います。

※今回はまとめて5月号と6月号の俳句を紹介します。

5月

列島春秋

自転車の補助輪外す立夏かな

吉良香織

第十五回現代俳句の風

馬の仔の四肢にみなぎる好奇心

神谷たくみ

すんなりと溶けぬマカロン春愁い

徳見淳子

逃水の水に笑はれゐたりけり

田中葉月

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「現代俳句」2024年1月号を読む。

「現代俳句」2024年1月号を読む。

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

このたびの未曾有の災害に際し、皆様にお見舞い申し上げます。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印をつけている。
そのうち、特に面白かった感銘句を勉強のために紹介したい。

列島春秋

ほどほどの未来を買えり達磨市
中村克子

初春や救命ボートの裏きれい
杢いう子

第十五回現代俳句の風

和菓子屋の死角を聖菓持ち帰る
上野英一

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『小川双々子一〇〇句』(武馬久仁裕編著)を読む。

『小川双々子一〇〇句』(武馬久仁裕編著)を読む。

俳句は奥が深く、
(浅学のせいか)
季語や俳人など
まだまだ知らない事が多い。

この本で紹介されている、
小川双々子(おがわそうそうし)という俳人も知らなかったため、興味深く拝読した。

本の構成

見開き二ページでは
・右ページに俳句。
・左ページに共同著者一名の解説と、
左端にその句にルビをふったもの、
ページの左上に収録句集名がある。

個人的に俳句の漢字の読み方が数パターンあって迷う場合

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『現代俳句女流百人』を読む-黒田杏子-

『現代俳句女流百人』を読む-黒田杏子-

『現代俳句女流百人』より、俳句を紹介する連載。
好きな句と作者を紹介したいと思う。

今回は
黒田杏子氏。



馬と白鳥がいる場所だということが一句から分かる。

景と構成の巧みさ。

怨みの句だと内容が重くなるが、
この句の内容はどちらかというと
結句の「なつかしみ」に比重がある。
そのせいか重さは少ないように感じた。

たかんなは筍の古語。

オオムラサキは蝶の名前。

場所も蝶も固有名詞

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『現代俳句女流百人』を読む。-野澤節子-

『現代俳句女流百人』を読む。-野澤節子-

『現代俳句女流百人』より、俳句を紹介する連載。
好きな句と作者を紹介したいと思う。

今回は野澤節子氏。



神話的な擬人法。

天地の部分をあめつちと読ませる工夫も、厳かさがあって良い。

生活の一場面における切実さがある句。

本によると病気が回復した後の句のようだ。
その背景を加味すると、さらに切実に思える。

髪とさくらの取り合わせが、上品で良い。

赤ちゃんの、ものすごい握力を思い出

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「現代俳句」2023年6月号を読む。

「現代俳句」2023年6月号を読む。

月刊の会報「現代俳句」を読む時に、感銘句に印をつけている。

そのうち、特に面白かった感銘句を勉強のために紹介したい。

※()内はページ数。

感銘句

(3)
どの川もあぶくはオフィーリアの鼻歌 木村聡雄

(7)
花菖蒲古墳の雨はもう止んだ 坂田紀枝

夏の蝶狂ひたき日の減りにけり 窪田英治



(8)
六月の絵はナミダいろを使いきる 南園美基

(12)
囀りや空ごとたた

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「現代俳句」2023年5月号を読む。

「現代俳句」2023年5月号を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印をつけている。
そのうち、特に面白かった感銘句を勉強のために紹介したい。

※()内はページ数。

今回、第40回金子兜太現代俳句新人賞の結果と作品紹介のページがあったが、それは別記事にするかもしれないとして、通常のコーナーから紹介する。

列島春秋・5月より(6~8)

桜咲くのかこの道にこの修羅に 五十嵐秀彦 

花冷えです食器を洗う指先です 佐々木宏

憲法

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『俳句を遊べ!』を読む。

『俳句を遊べ!』を読む。

タイトルとカラフルで楽しそうな表紙に惹かれて購入。

面白い俳句を作る事でファンの多い池田澄子さんや、又吉直樹さんも登場。

対談あり、句会のレポートあり、動物園での吟行レポート、漫画や、俳句の基本ルール紹介ありなど幅広く面白い。
写真やイラストが多く、対話形式で読みやすい。

巻末付録には、季語の簡単な一覧や、
俳句に関するオススメのブックガイド、
本に登場した俳句の一覧とその掲載ページ数など充

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「現代俳句」2023年3月を読む。

「現代俳句」2023年3月を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印を付けている。
そのうち、特に面白かった感銘句(◎をつけたもの)を
勉強のために紹介。

2023年3月号より。
※()内はページ数。

かろがろと臓腑なき雛終ひけり 津田道代 (7)

作っては泣かせてしまう雪だるま 山田真貴 (14)

しりとりの最後は「むげん」霜育つ 神野紗希 (16)

炊き出しや余震にゆるる蜆汁 熊沢れい子 (29)

誰が好きとか嫌い

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「現代俳句」2023年2月を読む。

「現代俳句」2023年2月を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印を付けている。
そのうち、特に面白かった感銘句(◎をつけたもの)を
勉強のために紹介。

2023年2月号より。
※()内はページ数。

ざれ言のやうにざらざらざらめ雪 西川良子 (6)

春浅し言わないという思い遣り 河上和美 (8)

一途とは執着でした雪解川 柏瀬眞理子 (12)

昼からはすでに絶望したる蟬 木村オサム (12)

一本の線にも生死初硯 三

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「現代俳句」2023年1月を読む。

「現代俳句」2023年1月を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印を付けている。
そのうち、特に面白かった感銘句(◎をつけたもの)を
勉強のために紹介。

2023年1月号より。
※()内はページ数。

象の背のなにを啄む寒雀 中村和宏 (12)

ロボットのきれきれダンス帰り道 長野君代 (50)

待たされて少し大人になる枯野 脇本文子 (50)

耳搔きの頭に雪の積もりける 大類つとむ (50)

しぐるるや私を超えるのは

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「現代俳句」2022年12月を読む。

「現代俳句」2022年12月を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印を付けている。
そのうち、特に面白かった感銘句(◎をつけたもの)を
勉強のために紹介。

2022年12月号より。
※()内はページ数。

熟れ過ぎし地球を包むメロンの香 郡山やゑ子 (12)

焼肉を二人で食べて蚊に好かる 田中徹男 (13)

卒業の以下同文を生きてゐる 田村葉 (27)
※第五十九回現代俳句全国大会・朝日新聞社賞

失言の多くは本音蟬しぐれ 

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【告知】4月の企画

【告知】4月の企画

4月は
毎週月曜日に
月刊「現代俳句」の
感銘句を紹介します。

よろしければご覧ください。

お楽しみに。

「年刊花林花2023」を読む⑫渡邊慧七氏

「年刊花林花2023」を読む⑫渡邊慧七氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。
※新しい同人のため十句連作が掲載されている。

渡邊慧七氏「寂寞」より。

種田山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」を彷彿とさせるが、更に作者らしさや、定型句などの要素がある。空を掬うという魅力的な設定が、この句を爽やかにしている。

蟹を食べる場面なので、家族団らんだ

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