OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

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ありがとうございます!
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「金木犀」 ~ 思い出でもないくせに

嗅覚にも得手不得手があるのだろう。
私はもしかすると“花”系の香りを感じにくいのかもしれない。

去年今頃のしっとりとした夕方、買い物帰りの住宅街で何ともいえない華やかな香りが鼻をくすぐった。突然景色が変わってしまうような芳香の先には緑の庭木と枇杷色の細かい花の集まり。後からキンモクセイの香りと知ったときには驚くよりほとんど自分の“馬鹿鼻”に呆れてしまった。

その名を知らなかったわけでは無い。秋

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私を取り戻す香り

編集部より:昔からの友人cittaちゃんが寄稿してくれました。色々なことを克服しながら生きる彼女の日常がとてもリアルで心に響きます。お香のことを褒められ(?)すぎてお恥ずかしいくらいなのですが、素敵な文章なのでそのまま紹介させていただきます。



日本の伝統文化には今までほぼ所縁がなかったが、最近習慣になったものの一つに「お香」がある。機会があって始めてみた「OKOLIFE」の定期便をきっかけ

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うれしいです!
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季節の存在する理由

編集部より:ライターの松本友也さんに、香りと季節、そして記憶の関係についての思索的なエッセイを寄せていただきました。季節の移り変わりが感じられるいま、身体をあたたかくしながら、じっくり読んでみてください。



においについて考えることの多い1年だった。年始に観た映画『パラサイト』に触発されるようにして書いた「港とにおいをめぐる6章 港区の香を聞く」(『ARTEFACT 03』)というテキストは

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うれしいです!
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パタゴニア|チロエ島のバンバンジーはトマトとニンニクの香り

新婚旅行はパタゴニアにいった。10年近く前のことだ。

パタゴニアはざっくりいえば南米大陸の下のほう、チリとアルゼンチンにまたがる広大な地域である。

南極への足掛かりにもなり、「世界の果て」ともいわれるパタゴニア。さすがにひとりでは行きかねていたところ、諸々のタイミング的に今しかない!というかんじで3週間の旅を決行したのである。山小屋に泊まったり、夜行バスに乗ったり、およそハネムーンという風情で

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うれしいです!
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スローな香り袋「kofu」

こんにちは、麻布 香雅堂 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっており、noteでは「お香と100年生きてみる」という連載タイトルで文章を書いてます。今回は、わたしたちがあつかう香り袋の中でも、少しだけかわった背景をもつアイテムの背景をご紹介させていただきます。

香雅堂では、お客様からのご依頼でオリジナルのお香をつくることがあります。最近の例ですと

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子どものつむじは甘い匂い

子どもが2歳になってよくしゃべるようになった。突然「やっぱ蚊だよね〜」とギャルめいた抑揚と内容のあってない発言をしたり、紫陽花を「ハクサイなの!」と言い張ったり、日没後に深い青になる空をみて、「あおのじかんだよ」と教えてくれたり。

そういう子どもをみていると、ますますおもしろくなってきたなと嬉しい一方で、もう完全に赤ちゃんではないな、とも思う。かつては赤ちゃんだったのに、その期間は終わって、子ど

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そうですか、それは嬉しい!
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「永遠へ」 〜 明治神宮、命の森の匂い ~

猛暑に焼けつく8月の週末、久しぶりに明治神宮の森を散策した。庭好きの友人との都内”探庭活動”は究極のマイクロツーリズム。とは言え、この暑さでは鎮守の森の日陰無しには15分と歩いていられない。

今年創建百周年を迎える明治神宮は、私たちが愛してやまない大都会の緑の聖地。ファッションの街原宿の駅のすぐ隣に、東京ドーム15個分の広大な敷地の荘厳な森が広がっていることを、一体どれだけの人が意識しているだろ

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香りと海と

お香の店を継ぐ夫と結婚して10年。
いま、これまででいちばんお香を必要としている。

コロナ以前、ちょっとした用事で毎日外に出て、仕事やお稽古でいろいろな方にあって、そういうひとつひとつが自分を忙しくもし、充実させ、香りの刺激にも飢えていなかったように思う。

ステイホームの数ヵ月はどうしても家での時間が長くなり、顔を合わせるのも家族だけという日もあった。そんな中、この10年でおそらく初めて、本当

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うれしいです!
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「梅仕事」 ~ 梅雨のおくりもの ~

雨の匂いが近づき店頭に青梅が並んだ週末、今年も「梅シロップ」の仕込みをした。

真夏の外出から帰って飲む、冷たい水と氷で割った梅ジュースの美味しさ。細胞のひとつひとつが音をたてて喜ぶような命のご褒美を愉しみに、毎年いそいそと仕事にかかる。

俳句の季語にもある「“梅仕事”という言葉に馴染めない。」FBで見かけたそんな一言を意外に思ったのは、軽く腕まくりするような仕事始めと、終わった後の達成感をむし

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異香ただよう

 雨の匂いのする薄曇りの朝、梅雨の木曜だった。口の渇きを感じながら、私たちは京都を車で走っていた。修理を終えた仏像群に随侍して、2年ぶりの上洛だ。古い御像の運搬は、運転にも相当気を使う。もちろん、梱包や積み付け、縛り方も工夫してはいるが、道路のちょっとした凹凸で肝を冷やしたりする。今回は道が空いていて幾ぶん気は楽だったが、夫も私も緊張していた。

 思いのほか早く安置先のお寺に近づいた私たちは、建

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観世音菩薩✨
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