OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

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見えない色、見えないかたち

編集部より:SF作家の津久井五月さんにエッセイを寄稿していただきました。調香師に憧れた高校時代から、小説家として活動する現在に至るまで、津久井さんの香りや煙に対する感覚の変化が描かれます。

調香師になるには10年の修業が必要らしい。

10年ほど前、高校生だった頃、文系・理系の選択を前にして配られたベネッセの冊子にそう書いてあった。何の基準で選ばれたのか分からない職業カタログの中に、調香師のペー

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「ホタルノヒカリ」~ 想いに添えて

シソにも実りの季節があったとは。

大葉の鉢が急に枝を伸ばすのに驚いていたら、可愛いらしい蕾や花や実をつけた”穂ジソ”だった。

刺身のツマに付いてくる小房。こんな小さなものにも実りの季節があって、都会のベランダに秋の贈り物を届けてくれる。ささやかな律儀に感謝しつつ、さてどうやっていただいたものか?

ある日友人から”重大事件”が伝えられた。頼りにしていた近所のスーパーが近く閉店するという。友人に

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「金木犀」 ~ 思い出でもないくせに

嗅覚にも得手不得手があるのだろう。
私はもしかすると“花”系の香りを感じにくいのかもしれない。

去年今頃のしっとりとした夕方、買い物帰りの住宅街で何ともいえない華やかな香りが鼻をくすぐった。突然景色が変わってしまうような芳香の先には緑の庭木と枇杷色の細かい花の集まり。後からキンモクセイの香りと知ったときには驚くよりほとんど自分の“馬鹿鼻”に呆れてしまった。

その名を知らなかったわけでは無い。秋

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私を取り戻す香り

編集部より:昔からの友人cittaちゃんが寄稿してくれました。色々なことを克服しながら生きる彼女の日常がとてもリアルで心に響きます。お香のことを褒められ(?)すぎてお恥ずかしいくらいなのですが、素敵な文章なのでそのまま紹介させていただきます。



日本の伝統文化には今までほぼ所縁がなかったが、最近習慣になったものの一つに「お香」がある。機会があって始めてみた「OKOLIFE」の定期便をきっかけ

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季節の存在する理由

編集部より:ライターの松本友也さんに、香りと季節、そして記憶の関係についての思索的なエッセイを寄せていただきました。季節の移り変わりが感じられるいま、身体をあたたかくしながら、じっくり読んでみてください。



においについて考えることの多い1年だった。年始に観た映画『パラサイト』に触発されるようにして書いた「港とにおいをめぐる6章 港区の香を聞く」(『ARTEFACT 03』)というテキストは

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パタゴニア|チロエ島のバンバンジーはトマトとニンニクの香り

新婚旅行はパタゴニアにいった。10年近く前のことだ。

パタゴニアはざっくりいえば南米大陸の下のほう、チリとアルゼンチンにまたがる広大な地域である。

南極への足掛かりにもなり、「世界の果て」ともいわれるパタゴニア。さすがにひとりでは行きかねていたところ、諸々のタイミング的に今しかない!というかんじで3週間の旅を決行したのである。山小屋に泊まったり、夜行バスに乗ったり、およそハネムーンという風情で

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スローな香り袋「kofu」

こんにちは、麻布 香雅堂 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっており、noteでは「お香と100年生きてみる」という連載タイトルで文章を書いてます。今回は、わたしたちがあつかう香り袋の中でも、少しだけかわった背景をもつアイテムの背景をご紹介させていただきます。

香雅堂では、お客様からのご依頼でオリジナルのお香をつくることがあります。最近の例ですと

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子どものつむじは甘い匂い

子どもが2歳になってよくしゃべるようになった。突然「やっぱ蚊だよね〜」とギャルめいた抑揚と内容のあってない発言をしたり、紫陽花を「ハクサイなの!」と言い張ったり、日没後に深い青になる空をみて、「あおのじかんだよ」と教えてくれたり。

そういう子どもをみていると、ますますおもしろくなってきたなと嬉しい一方で、もう完全に赤ちゃんではないな、とも思う。かつては赤ちゃんだったのに、その期間は終わって、子ど

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良い感覚をお持ちですね?
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「永遠へ」 〜 明治神宮、命の森の匂い ~

猛暑に焼けつく8月の週末、久しぶりに明治神宮の森を散策した。庭好きの友人との都内”探庭活動”は究極のマイクロツーリズム。とは言え、この暑さでは鎮守の森の日陰無しには15分と歩いていられない。

今年創建百周年を迎える明治神宮は、私たちが愛してやまない大都会の緑の聖地。ファッションの街原宿の駅のすぐ隣に、東京ドーム15個分の広大な敷地の荘厳な森が広がっていることを、一体どれだけの人が意識しているだろ

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香りと海と

お香の店を継ぐ夫と結婚して10年。
いま、これまででいちばんお香を必要としている。

コロナ以前、ちょっとした用事で毎日外に出て、仕事やお稽古でいろいろな方にあって、そういうひとつひとつが自分を忙しくもし、充実させ、香りの刺激にも飢えていなかったように思う。

ステイホームの数ヵ月はどうしても家での時間が長くなり、顔を合わせるのも家族だけという日もあった。そんな中、この10年でおそらく初めて、本当

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