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【歴史に学ぶエネルギー】46.OPECシステムの構造的欠点
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。参加国同士の結束を固めることで、オイルショックという価格統制に成功したOPEC。しかし、そのシステムには、そもそもの構造的欠点がありました。
1)サウジアラビアの苦悩
石油の価格というものは、誰かが強力に管理しておかないと暴落してしまう性質をもっています。
油田開発には巨額の資金がかかるため
【歴史に学ぶエネルギー】45.大きかったイラン革命の代償
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。イラン革命で黒星となったアメリカですが、中東での失策はまだ続きます。
1)イラク政策も失敗
OPEC第二の石油産出国であるイランをみすみす手放すことになったアメリカですが、アメリカの失策はさらに続けられることになります。ドイツに続いてイギリスが攻め入って紛争の種を撒いてしまった中東ですが、
【歴史に学ぶエネルギー】44.人権派カーターの大失策
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。オイルショック後のキッシンジャーによる中東政策に話を戻しましょう。その後のアメリカは、中東への関与で大失敗を犯してしまいます。
1)ホメイニ師の凱旋
キッシンジャーは高騰した石油価格を利用して、中東諸国の財政を助けようとしました。しかし、話はそう簡単には進みませんでした。
急増した石油収入
【歴史に学ぶエネルギー】43.貢(みつぐ)くんシステムが始動
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。キッシンジャーのブーメラン政策によって、世界中から中東に集められたオイルマネーがアメリカへ還流しはじめます。つぎの標的は、経済大国に成りあがった日本です。
1)ロンヤス時代のプラザ合意
オイルショックのあと、日米英独仏G5のあいだでプラザ合意が成立します。1985年のことです。
日米の首脳
【シリーズ】街角をゆく Vol.12 泉佐野 (大阪府泉佐野市)
こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。
僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。
その目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。
【歴史に学ぶエネルギー】42. キッシンジャーのブーメラン計画
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成され、石油の価格が世界的に高騰しました。その後のアメリカの動きを見てみたいと思います。
1)石油と兵器の物々交換システム
OPECが結成され、世界がオイルショックに振り回されるなか、時の米国務長官キッシンジャーは、ふたつの政策を打ちだします。これらの政策がもつ意味は、現代の私
【歴史に学ぶエネルギー】41.なぜ天然ガスが良いのか?
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。世紀の大事業ともいわれた天然ガス転換を経て、日本においても天然ガスの普及がますます拡大していきます。
1)燃料の選択を考えてみよう
もし、あなたが製造業の企業経営者だったら、と仮定します。製造業のなかでも、製紙や化学などの素材産業のように、熱利用に対して膨大なエネルギーを消費する工場だと仮
【歴史に学ぶエネルギー】40.世紀の大事業「天然ガス転換」
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。1960年代になると、天然ガスを輸送する技術が発展してきました。やがて、パイプラインでの大量長距離輸送に加えて、天然ガスを冷却して液化することで体積を縮小し、タンカーで海上輸送ができるようになりました。
1)ハードルが高い天然ガス転換
石炭や石油を加工してつくられていた都市ガスの原料を、環境
【歴史に学ぶエネルギー】39.東西の壁に穴をあけた天然ガス
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。過去は輸送することが難しかった気体燃料の天然ガス。この中途半端なエネルギーが突如として世界市場に現れます。輸送技術の進歩が、世界を変える起爆剤となるのです。
1) パイプライン供給網の発達
長距離パイプラインによる天然ガスの大量輸送がはじまったのは、アメリカでした。1950年代にはいると、
【明日のコミュニティ・デザイン お地蔵さん編】 流動する人々をゆるやかに結ぶ文化的装置
こんにちは、エネルギー・文化研究所の弘本由香里です。
私はこれからの地域・社会を支える文化やコミュニティ・デザインのあり方について考え、実践的な研究活動に取り組んでいます。
前回(2024年2月14日)の【明日のコミュニティ・デザイン 長屋文化編】では、近世の大坂のまちへと歴史を遡って、先人たちが築いてきた都市居住の知恵に学びました。その続きで、今も身近な街角や路地の奥で生き続けている、お地蔵さん
【歴史に学ぶエネルギー】38. 都市ガス供給は地域密着型事業
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。産業革命をけん引した石炭から石油に代わり、石油が戦争の行方を左右し、やがて政治的な戦略商品としての性格を帯びてきました。ここでいったん立ち止まって、もうひとつの主力エネルギーともいえる天然ガスに目を向けてみたいと思います。
1) 捨てられてきた天然ガス
石炭や石油にならぶ主力エネルギーのひ
【歴史に学ぶエネルギー】37.Japan as NO.1への道
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。オイルショックを省エネルギーで克服した日本企業ですが、Japan as NO.1と評され世界の羨望の的となりました。そうした動きを一連の流れとしてみておきたいと思います。
1)高度経済成長の振り返り
ここで、日本の1960年代からバブル期までの高度経済成長期をまとめてみましょう。
1960
【歴史に学ぶエネルギー】36.トイレットペーパーがない!?
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成され、オイルショックが起こります。そのころの日本の状況をおさえておきましょう。
1)日本人に向いていた大量生産システム
1960年代、日本は空前の経済成長に沸いていました。
焦土と化した戦後の街から復興し、世界一の速さを誇る新幹線をつくり、東京オリンピックと大阪万博を成功させ
【歴史に学ぶエネルギー】35.世界最強カルテルへの変貌
こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。
「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成されたものの、百戦錬磨のメジャーたちの相手にすらなりません。ここで出てきたリビアのカダフィが、すべてをひっくり返します。メジャーを1社ずつ呼びつけて、個別交渉するのです。メジャーがOPECに対してとっていた交渉術が、今度はメジャーたちにつかわれたのです。
1)OPECの結束