エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立さ…

エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立されました。 多様なステークホルダーとの協働を通じた、理論と実践活動を組み合わせた社会への提言活動に取り組んでまいります。 CELのHP:https://www.og-cel.jp/

最近の記事

【歴史に学ぶエネルギー】43.貢(みつぐ)くんシステムが始動

こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。キッシンジャーのブーメラン政策によって、世界中から中東に集められたオイルマネーがアメリカへ還流しはじめます。つぎの標的は、経済大国に成りあがった日本です。 1)ロンヤス時代のプラザ合意 オイルショックのあと、日米英独仏G5のあいだでプラザ合意が成立します。1985年のことです。 日米の首脳はロンヤス時代、すなわちロナルド・レーガン大統領と中曽根康弘首相であり、実務責任

    • 【シリーズ】街角をゆく Vol.12 泉佐野 (大阪府泉佐野市)

      こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。 僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。 その目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。 この連載ではWalkin'Aboutを通じて見えてきた、関西のさまざまな地域のス

      • 【歴史に学ぶエネルギー】42. キッシンジャーのブーメラン計画

        こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成され、石油の価格が世界的に高騰しました。その後のアメリカの動きを見てみたいと思います。 1)石油と兵器の物々交換システム OPECが結成され、世界がオイルショックに振り回されるなか、時の米国務長官キッシンジャーは、ふたつの政策を打ちだします。これらの政策がもつ意味は、現代の私たちは片時も忘れてはなりません。 ヘンリー・キッシンジャーは、ユダヤ系ドイツ人で

        • 【歴史に学ぶエネルギー】41.なぜ天然ガスが良いのか?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。世紀の大事業ともいわれた天然ガス転換を経て、日本においても天然ガスの普及がますます拡大していきます。 1)燃料の選択を考えてみよう もし、あなたが製造業の企業経営者だったら、と仮定します。製造業のなかでも、製紙や化学などの素材産業のように、熱利用に対して膨大なエネルギーを消費する工場だと仮定します。 ではあなたは、工場で使用するエネルギーつまり燃料をどのような観点で選

        【歴史に学ぶエネルギー】43.貢(みつぐ)くんシステムが始動

          【歴史に学ぶエネルギー】40.世紀の大事業「天然ガス転換」

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。1960年代になると、天然ガスを輸送する技術が発展してきました。やがて、パイプラインでの大量長距離輸送に加えて、天然ガスを冷却して液化することで体積を縮小し、タンカーで海上輸送ができるようになりました。 1)ハードルが高い天然ガス転換 石炭や石油を加工してつくられていた都市ガスの原料を、環境にやさしいクリーンな天然ガスに変えよう! そうした動きは、世界中ではじまりました

          【歴史に学ぶエネルギー】40.世紀の大事業「天然ガス転換」

          【シリーズ】街角をゆく Vol.11 柏原 (大阪府柏原市)

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。 僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。 その目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。 この連載ではWalkin'Aboutを通じて見えてきた、関西のさまざまな地域のス

          【シリーズ】街角をゆく Vol.11 柏原 (大阪府柏原市)

          【歴史に学ぶエネルギー】39.東西の壁に穴をあけた天然ガス

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。過去は輸送することが難しかった気体燃料の天然ガス。この中途半端なエネルギーが突如として世界市場に現れます。輸送技術の進歩が、世界を変える起爆剤となるのです。 1) パイプライン供給網の発達 長距離パイプラインによる天然ガスの大量輸送がはじまったのは、アメリカでした。1950年代にはいると、アメリカ北部の工業地域でエネルギーの需要が高まります。生産用途として石炭や石油を

          【歴史に学ぶエネルギー】39.東西の壁に穴をあけた天然ガス

          【明日のコミュニティ・デザイン お地蔵さん編】 流動する人々をゆるやかに結ぶ文化的装置

          こんにちは、エネルギー・文化研究所の弘本由香里です。 私はこれからの地域・社会を支える文化やコミュニティ・デザインのあり方について考え、実践的な研究活動に取り組んでいます。 前回(2024年2月14日)の【明日のコミュニティ・デザイン 長屋文化編】では、近世の大坂のまちへと歴史を遡って、先人たちが築いてきた都市居住の知恵に学びました。その続きで、今も身近な街角や路地の奥で生き続けている、お地蔵さんを介したコミュニティ・デザインに注目します。 1.人の出入りの激しいまちでとも

          【明日のコミュニティ・デザイン お地蔵さん編】 流動する人々をゆるやかに結ぶ文化的装置

          【歴史に学ぶエネルギー】38. 都市ガス供給は地域密着型事業

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。産業革命をけん引した石炭から石油に代わり、石油が戦争の行方を左右し、やがて政治的な戦略商品としての性格を帯びてきました。ここでいったん立ち止まって、もうひとつの主力エネルギーともいえる天然ガスに目を向けてみたいと思います。 1) 捨てられてきた天然ガス 石炭や石油にならぶ主力エネルギーのひとつ、天然ガス。環境にやさしいクリーンな天然ガスは、近年では石油からの代替もかな

          【歴史に学ぶエネルギー】38. 都市ガス供給は地域密着型事業

          【歴史に学ぶエネルギー】37.Japan as NO.1への道

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。オイルショックを省エネルギーで克服した日本企業ですが、Japan as NO.1と評され世界の羨望の的となりました。そうした動きを一連の流れとしてみておきたいと思います。 1)高度経済成長の振り返り ここで、日本の1960年代からバブル期までの高度経済成長期をまとめてみましょう。 1960年代を一言であらわすと、私見ではありますが、「内需拡大による経済成長時代」です。

          【歴史に学ぶエネルギー】37.Japan as NO.1への道

          【歴史に学ぶエネルギー】36.トイレットペーパーがない!?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成され、オイルショックが起こります。そのころの日本の状況をおさえておきましょう。 1)日本人に向いていた大量生産システム 1960年代、日本は空前の経済成長に沸いていました。 焦土と化した戦後の街から復興し、世界一の速さを誇る新幹線をつくり、東京オリンピックと大阪万博を成功させました。その背景には、外国から資源を安く買って加工して輸出することで付加価値を得

          【歴史に学ぶエネルギー】36.トイレットペーパーがない!?

          【歴史に学ぶエネルギー】35.世界最強カルテルへの変貌

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成されたものの、百戦錬磨のメジャーたちの相手にすらなりません。ここで出てきたリビアのカダフィが、すべてをひっくり返します。メジャーを1社ずつ呼びつけて、個別交渉するのです。メジャーがOPECに対してとっていた交渉術が、今度はメジャーたちにつかわれたのです。 1)OPECの結束 カダフィに対するオクシデンタルの降伏から年が明けた1971年、OPECとメジャー

          【歴史に学ぶエネルギー】35.世界最強カルテルへの変貌

          大盛況であった「語りべシアター公演2024初夏」

           こんにちは。エネルギー・文化研究所の栗本智代です。 私は、関西・大阪の活性化のため、まちの歴史や文化を楽しくわかりやすくご紹介する活動として、音楽の生演奏、映像、語りによる「語りべシアター」の公演を展開しています。これまで、地元の住民の方々、近畿圏の皆さまを対象に、地域の魅力やこれからのまちのあり様について、興味を深めていただきたく活動を続けてきました。  2022年には、大阪市総合生涯学習センター主催「いちょうカレッジ」で「語りべになろう」と題した講座を行いましたが、修了

          大盛況であった「語りべシアター公演2024初夏」

          【歴史に学ぶエネルギー】34.お茶目な革命児カダフィ

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、OPECが結成されるにいたる裏の事件をみてきました。しかし、初期のOPECは弱体組織であり、恐れるに足らぬ存在でした。 1)リビアを取り巻くアメリカ財閥 中東を中心とした産油国が集結したOPECですが、創立者たちの意気込みにもかかわらず、現実は厳しいものでした。メジャー各社は、OPECの存在を認めることを拒否し続けたのです。設立から7年経っても、OPECはメジャーにとって恐れるに足

          【歴史に学ぶエネルギー】34.お茶目な革命児カダフィ

          【歴史に学ぶエネルギー】33.OPEC結成の裏事情とは?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、OPEC結成にいたる背景として、直接影響した事件についてみてきました。今回は、その内情に迫ります。 1)強烈な反米感情の持ち主 OPECの結成には、あるひとりの人物が大きく関わっています。その人物の名は、アブドゥラー・タリキ。 当時、サウジアラビアの石油省局長だったタリキは、徹底した反米主義者でした。カイロ大学で学んだあと渡米し、テキサス大学で地質学のマスターを修了しています。米メ

          【歴史に学ぶエネルギー】33.OPEC結成の裏事情とは?

          【歴史に学ぶエネルギー】32. イタリアの雄エンリコ・マティ

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 これまでの「歴史に学ぶエネルギー」では、イギリスが独占していたイランの石油権益にアメリカが食い込んできた歴史を見てきました。じつは、その裏で人知れず起きていた事件が、のちのOPEC結成につながっていきます。 1)セブンシスターズの闇 イランの石油コンソーシアムにアメリカが参加した時、イタリアENI会長エンリコ・マティの怒りは頂点に達しました。メジャーがイラン産石油を禁輸した際に、自らの利益を投げ出してボイコットを助け

          【歴史に学ぶエネルギー】32. イタリアの雄エンリコ・マティ