エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立さ…

エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立されました。 多様なステークホルダーとの協働を通じた、理論と実践活動を組み合わせた社会への提言活動に取り組んでまいります。 CELのHP:https://www.og-cel.jp/

最近の記事

【歴史に学ぶエネルギー】37.Japan as NO.1への道

こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。オイルショックを省エネルギーで克服した日本企業ですが、Japan as NO.1と評され世界の羨望の的となりました。そうした動きを一連の流れとしてみておきたいと思います。 1)高度経済成長の振り返り ここで、日本の1960年代からバブル期までの高度経済成長期をまとめてみましょう。 1960年代を一言であらわすと、私見ではありますが、「内需拡大による経済成長時代」です。

    • 【歴史に学ぶエネルギー】36.トイレットペーパーがない!?

      こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成され、オイルショックが起こります。そのころの日本の状況をおさえておきましょう。 1)日本人に向いていた大量生産システム 1960年代、日本は空前の経済成長に沸いていました。 焦土と化した戦後の街から復興し、世界一の速さを誇る新幹線をつくり、東京オリンピックと大阪万博を成功させました。その背景には、外国から資源を安く買って加工して輸出することで付加価値を得

      • 【歴史に学ぶエネルギー】35.世界最強カルテルへの変貌

        こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。OPECが結成されたものの、百戦錬磨のメジャーたちの相手にすらなりません。ここで出てきたリビアのカダフィが、すべてをひっくり返します。メジャーを1社ずつ呼びつけて、個別交渉するのです。メジャーがOPECに対してとっていた交渉術が、今度はメジャーたちにつかわれたのです。 1)OPECの結束 カダフィに対するオクシデンタルの降伏から年が明けた1971年、OPECとメジャー

        • 大盛況であった「語りべシアター公演2024初夏」

           こんにちは。エネルギー・文化研究所の栗本智代です。 私は、関西・大阪の活性化のため、まちの歴史や文化を楽しくわかりやすくご紹介する活動として、音楽の生演奏、映像、語りによる「語りべシアター」の公演を展開しています。これまで、地元の住民の方々、近畿圏の皆さまを対象に、地域の魅力やこれからのまちのあり様について、興味を深めていただきたく活動を続けてきました。  2022年には、大阪市総合生涯学習センター主催「いちょうカレッジ」で「語りべになろう」と題した講座を行いましたが、修了

        【歴史に学ぶエネルギー】37.Japan as NO.1への道

          【歴史に学ぶエネルギー】34.お茶目な革命児カダフィ

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、OPECが結成されるにいたる裏の事件をみてきました。しかし、初期のOPECは弱体組織であり、恐れるに足らぬ存在でした。 1)リビアを取り巻くアメリカ財閥 中東を中心とした産油国が集結したOPECですが、創立者たちの意気込みにもかかわらず、現実は厳しいものでした。メジャー各社は、OPECの存在を認めることを拒否し続けたのです。設立から7年経っても、OPECはメジャーにとって恐れるに足

          【歴史に学ぶエネルギー】34.お茶目な革命児カダフィ

          【歴史に学ぶエネルギー】33.OPEC結成の裏事情とは?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、OPEC結成にいたる背景として、直接影響した事件についてみてきました。今回は、その内情に迫ります。 1)強烈な反米感情の持ち主 OPECの結成には、あるひとりの人物が大きく関わっています。その人物の名は、アブドゥラー・タリキ。 当時、サウジアラビアの石油省局長だったタリキは、徹底した反米主義者でした。カイロ大学で学んだあと渡米し、テキサス大学で地質学のマスターを修了しています。米メ

          【歴史に学ぶエネルギー】33.OPEC結成の裏事情とは?

          【歴史に学ぶエネルギー】32. イタリアの雄エンリコ・マティ

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 これまでの「歴史に学ぶエネルギー」では、イギリスが独占していたイランの石油権益にアメリカが食い込んできた歴史を見てきました。じつは、その裏で人知れず起きていた事件が、のちのOPEC結成につながっていきます。 1)セブンシスターズの闇 イランの石油コンソーシアムにアメリカが参加した時、イタリアENI会長エンリコ・マティの怒りは頂点に達しました。メジャーがイラン産石油を禁輸した際に、自らの利益を投げ出してボイコットを助け

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          【歴史に学ぶエネルギー】31. スエズ動乱がもつインパクト

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、イランが国内の石油利権の50パーセントをとるコンソーシアム成立を見てきました。このようなナショナリズムの火が、アラブにも移っていきます。 1)アラブのあらたな英雄ナセル のちのエジプト大統領となるガマール・ナセルはエジプト中流農家の家系出身で、郵便局長の息子として生まれます。読書に浸る内向的な少年として育ちますが、革命の英雄に憧れて誰かれかまわず反発する困った一面ももちあわせていま

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          【シリーズ】街角をゆく Vol.10 八尾 (大阪府八尾市)

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。 僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。 その目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。 この連載ではWalkin'Aboutを通じて見えてきた、関西のさまざまな地域のス

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          【歴史に学ぶエネルギー】30.ニュー・パーレビの誕生

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。イギリスはイランの石油利権を独占していましたが、政治的な失敗によって、その権利を失います。その一瞬の隙につけこんだのが、アメリカでした。 1)パーレビの変貌 のちのイラン革命で失脚したイランのパーレビ国王の本名は、モハンムド・レザー・シャー・パフラヴィーです。長い名前なので、日本で一般的に呼ばれているパーレビで統一することにします。 パーレビは、軍人だった父のもとで双

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          【歴史に学ぶエネルギー】29.ホットオイルに手を出すな!

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。モサデグ率いるイランではじまったナショナリズムに対し、イギリスをはじめとする欧米の政府や石油企業は必死の対策をとりはじめます。 1)ホットオイル(危険な石油) アングロ・イラニアン社とは、イギリス政府が株式を保有しているのちのブリティッシュ・ペトロリアム(BP)です。そのアングロ・イラニアンが保有していたイラン国内の石油権益に対し、イランのモサデグは一方的に完全国有化

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          【歴史に学ぶエネルギー】28.燃えあがるナショナリズム

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。第二次世界大戦後の中東諸国の動きについて、考えてみたいと思います。 1)ナショナリズムの芽生え 低コストで採掘できる石油が、中東で大量に発見されました。しかし、その権益のほとんどを欧米の巨大石油企業連合、すなわちセブンシスターズが確保し、富を独占します。 このように七人の魔女が暗躍していた1948年のことです。石油業界を揺るがす大事件が勃発します。 南米の大産油国とな

          【歴史に学ぶエネルギー】28.燃えあがるナショナリズム

          【歴史に学ぶエネルギー】27.マッカーサーがやってきた!

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。戦争で焦土と化した日本へ、マッカーサーがやってきました。その後の日本は、急速な経済成長を遂げることになります。 1)高度経済成長の幕開け 戦争が終わると、マッカーサーが日本にやってきました。 パイプ煙草をくわえ、飛行機のタラップから悠然と見下ろしている姿が有名です。じつはこの姿、自分の第一印象を日本人の脳裏に刻み込ませるために、マッカーサー本人がこだわりにこだわったも

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          【歴史に学ぶエネルギー】26.ロシアから石油を輸入していた?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。じつは、日本がロシアから石油の供給を受けていた時期があります。しかし、その後は巧妙な手口で供給停止に追い込まれてしまいました。現代でも繰り返されるかもしれない、忘れてはいけないできごととしてチェックしておきたいと思います。 1)サハリンの石油 戦時中の日本が、ロシアから石油供給を受けていた事実に目をむけてみましょう。 サハリン島にガス油田があることは、現代の私たちも知

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          まちづくりとDX

          こんにちは。エネルギー・文化研究所 小西久美子です。 私は人口減少時代の都市計画やまちづくりのあり方について研究しています。成長拡大を前提として作られた都市計画の変遷(歴史)を掘り下げることで、縮小均衡時代のこれからのまちづくりに活かしていくべきものは何かを考えています。 今回は、歴史的な振り返りではなく、建築・都市計画の分野でも急伸している「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と言う新しい流れによって、これからのまちづくりはどう変わっていくのか考えてみたいと思います。

          【歴史に学ぶエネルギー】25.失策続きだった日本の石油戦略

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、昔の日本の石油技術の高さをみてきました。しかし、実際の政策となると話は一変します。現代でも同じような状況が随所に見受けられますが、政治的な戦略に不得手であることが暴露してしまいます。 1)石油事情に詳しかった山本五十六 のちに元帥海軍大将となる山本五十六は、現在の新潟県長岡市に誕生しました。高齢の父母から生まれた五十六ですが、その名は誕生時の父親の年齢からつけられています。 古くか

          【歴史に学ぶエネルギー】25.失策続きだった日本の石油戦略