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ニュイ的見解

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日常的に感じている様々なことを、 ふとした瞬間に書き留めていきたいと思っています
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2020年4月の記事一覧

シャルレ二番館の恋人

シャルレ二番館の恋人

「坂下さんを見てるとイライラする」

雨の雫で濡れたわたしの髪を、傘をさしてない方の手で、かき上げられながらそう言われた。

それはいつものように、終電ギリギリまで仕事をし、ポツリぽつりと降ってきていた雨が、
気づいたら本降りになりかけた帰り道のことだった。

「あいつらが坂下さんのこと試そうとしてることが分からないん?なんでそんなに笑ってられるんや」

中条くんとわたしは、時々こうして帰りが一緒

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オンライン飲み会

オンライン飲み会

夜の8時、月が空高く登った晩に俺はパソコンの前にいた。
目の前にチューハイとつまみを用意して、
アプリをタップする。
するとトゥルル…タタタタンと発信音がきこえてきた。

Skypeを開くなんて、何年ぶりだろう。
大学生の頃、地元で付き合ってた彼女と遠距離になって使ったとき以来なんじゃないんか?

「おう久しぶり!」
暫くするとピーという小さな雑音と共に、
向こうから声が聞こえてきた。

「ほんと

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シャルレ二番館のすれ違い

シャルレ二番館のすれ違い

「外に出たい」
まるで地面を突き破って、出てくるセミのように。

外は曇り、気温は20度
いつもの散歩コースを走るにはちょうど良かった。自宅で24時間ずっと篭っているのは息が詰まる。

「ちょっと出掛けてくるわ」

そう妻に告げると、妻からの返事を聞くまえに後ろ手にバタンと扉を閉めた。

ずっと家のなかで過ごしていると、身体がなまっていることが分かる。
いつもなら朝晩必ず5㌔ほどのランニングを欠か

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小説の書き方について

小説の書き方について

こんにちは!

初めましての方も、
そうでない方もお立ち寄り下さり、
ありがとうございます!

わたしは自称もの書きとして、
仕事の合間にこうして文章を書いています。
皆さんはどんなふうに小説、そして文章を書いていらっしゃるでしょうか?

小説を書くには、何かを身近なものや興味のあるものを題材にしたり、パッと閃いたことをかいてみたりと色々な方法があると思います。

そんな中でも今回は「シャルレ二番

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シャルレ二番館月明りのディスタンス

シャルレ二番館月明りのディスタンス

「月明かりが綺麗ね」
妻の花蓮がそう呟いた。

外を覗くと煌々と空高く、
まんまるの月が登っていた。

「ねぇあなた、少しだけ外の風を吸いに行かない?」

妻に言われそういえば、
随分と家に篭りきりだったことを思い出した。

わたしは妻に「うん、そうしようか」と答えた。

「少しだけ家の周りを歩きましょうよ」

夜風が気持ちいいこんな日には、
思い切り体を伸ばして歩きたい。
そうして、家

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シャルレ二番館の闘いたい学生

シャルレ二番館の闘いたい学生

古く煤けた畳のうえに大の字に寝転がってみる。もう1週間近くまともに外に出ていない。
辺りにはこれから学ぶであろう、
学科のカリキュラムに関する本が散乱していた。

ここはシャルレ二番館。

急勾配な坂道を登りきったところにぽっかりと出てくる昔ながらのアパートだ。濃紺の外観と特徴的な出窓が目立つ建物だった。

京都らしい風にたなびく竹藪もとても好きだ。

窓の外からは屋根に雨粒が叩きつける音が、

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シャルレ二番館の思ひ出

シャルレ二番館の思ひ出

さっきまでベン・E・キングのstand by meが
隣の部屋から聴こえてきていた。
娘の敦子は隣の部屋の男と知り合いやったらしい。

何やら楽しげに庭先で話してるのが聴こえてくる。

考えごとをしていたらいつの間にか
隣の部屋からはstand by meの代わりに
No woman No cryが聴こえてきた。

ボブマリーのNo woman No cryか

あの曲はええな。
わたしも昔はよう

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新型ウィルスに負けない過ごし方

新型ウィルスに負けない過ごし方

おはようございます
こんにちは!
そしてこんばんは!

自宅での仕事と職場での仕事を、
半々くらいで行っているニュイです。
連日コロナウィルスの報道で、
色々慌ただしく先の見えない報道内容に、
どうしても気持ちが揺いでしまうときがあります。

そんなときは、龍神さまを思い出して
出来るだけリラックスできる音楽を聴いて、
気持ちを楽にしたいなぁと思っています。

そしてこんな状況だからこそ
自分なり

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医療福祉の情報お伝えします。

医療福祉の情報お伝えします。

突然ですが、これまで書いて来なかった仕事の依頼記事を書かせていただきたいと思い、記事にしました。

本当は様々な文章を書く仕事をして行きたいのですが、
いまわたしが1番伝えていけるのは医療・福祉のお仕事や現場についてです。

そこで今回は仕事依頼記事を書かせていただきました!

わたしは本職がキャリアコンサルタントをしています。普段は医療、介護を志ざす方たちのご相談に乗り
医療福祉についての資格取

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それは田舎暮らしを決めたひとりの男性の朝の話し。

それは田舎暮らしを決めたひとりの男性の朝の話し。

夜が明けようとしていた。

ヒュゥ…プクプクプク…とケトルの音が鳴り
ほんのり熱めのお湯でぬくめたティーカップに、つい先ほどお鍋で出来たチャイをいれた。
ウバ茶とミルクで炊き出したチャイは口に入れると優しい甘みが広がり、心底ホッと出来る。

もう4月に入ってずいぶんと経ったのに、
外はまだ薄暗く、そして肌寒い。

年季の入った薄茶色のニットのベストを羽織り外に出ると、山桜の花びらが時折ちらちら

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龍神さまがもたらす黄金比の話

龍神さまがもたらす黄金比の話

突然ですが、ご眷属(ごけんぞく)という言葉を皆さんはご存知でしょうか?

神様の教えを受けてわたし達に護りをもたらす
龍神さまや、蛇など神様の使いの存在のことをご眷属というそうです。

わたしは少し前に龍神さまの話しを書かせていただきましたが、その話しを書くにあたって
自分なりに龍神さまを調べ、龍神さまについて学びました。

龍神さまというのは神様のなかでも全てを司る存在で、天照大御神(アマテラス

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在宅ワークについて語ってみる

在宅ワークについて語ってみる

おはようございます。
こんにちは!

会社の諸事情でリモートワークになりそうなニュイです。
遂に明日…いや早ければ本日、首都圏初め7都道府県に緊急事態宣言が発令されることになりました。

生まれてこの方30年ちょっと。
人生でこんなことは初めてです。

これまでインフルエンザに罹って、
1週間お休みしたことはありましたが、
今回の約1か月の緊急事態宣言はそれを遥かに超える規模で…

しかも人の命に

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わたしだけの兄さん

わたしだけの兄さん

「くそっ、くそ…クソ…!!!」
歩きながら、なんとも言えないどす黒いコールタールのような気持ちが湧き上がってくる。

ポツリポツリ…と水が落ちてきて、頭上を見上げると雨が降り始めていた。

横に待たせて置いたロールスロイスに、
荒々しく乗り込むと、運転手に「いけっ!」と
命令をした。

曇天だった空は雨雲へと変わり、
ザーッと雨を降らせていた。

「何がお前の魂胆にはもう乗らんだ!!!
兄さんなん

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わたしだけのご主人様

わたしだけのご主人様

最近雨がシトシト降ってるわ…

「あぁ、これはね梅雨というんだよ」
窓越しから外を眺めていると、わたしのご主人様がそう教えてくれた。

ここは山奥にある洋館

そこで、わたしはご主人様と一緒に二人暮らしをしている。
本当は日本語も随分と上手くなったのだけれど人間不審のご主人さまが嫌がらないように、少したどたどしい喋り方をしている。

わたしは毎日1回特殊なねじ巻きで、ネジを巻いてもらわないと止まっ

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