小説 『普痛』(七)
※前回七 事件に幕を降ろしたのは本の中の探偵だった。悔しさよりも強い充実感が胸の内に満ちた。が、
「いやあ、わからなかったでしょ? 悔しいけどね、うん、うん」悔しさを増大させる声が耳に障った。
「八割は当たってました。自分がそうだったからってやめて下さいよ」
「残り二割を当てないとさ。その二割を隠す戦いなんだから、推理小説ってのは」また殿様笑いをする。もう少し上品に笑えば男もいい顔するだろうになんて余計なお世話を思った。
「ずっと隣にいたようですけど」
私が本を読んでいる間