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550.我が心 うち明けられる 友もなく 浪花の街を あてなく行く

【お馬鹿なcoucouさんの自主出版論⑧】

1.ホームレス歌人ツネコの財産

 

大阪は梅田阪急高架下のそばに毎日ひとりの老女が座っていた。
彼女の名前はツネコ。
それしかわからない。

黄色のキャップと黄色のシャツが目印で、高架下の近辺だけでなく、日本全国に知られているホームレスなんだ。

彼女は、時間が来るとこの高架下で座り、詩や絵を書き、売る生活をしている。人は、「ホームレス歌人ツネコ」と呼んでいた。

平成14年5月、彼女は大腸ガンになり右半結腸を切除した。
ツネコは40歳代の頃にも子宮ガンになっており、二度目のガン宣告。

幸い転移の心配はなかったけれど、腫瘍を取り除くと大腸はほとんどなくなってしまった。ツネコは67歳の時にはじめて大阪に来て、高架下で生活し、自作の詩や絵を売り、段ボールにくるまり通路を寝床に暮らしていた。

明日どころか

今夜も見えぬ

阪急高架下のわが宿

(ツネコ作)

ホームレス歌人としてツネコを一般に知らしめたのは、平成6年に発刊された一冊の本があるんだ。
それはね、『ホームレスの詩』 (遊タイム出版刊)という本が発刊2ヵ月で16万部のベストセラーになったんだよ。

リサイクル文化社大阪編集室発行 ホームレス歌人ツネコ 心の旅路「生きる」倉本瞬著 打越保監修より。



女性ということでスキャンダラスな話題的でもあったようだけど、テレビ出演のインタビューのツネコの明るい笑顔と、くったくのない喋りが多くの人たちの共感を呼んだこともきっかけのひとつといわれている。

その場面を想い出すと、段ボールを四つほど並べ、はがき大の色画用紙に二〇枚ほどの詩が書かれ、きれいに並べられている。高架下の通路の柱の間、その空間がツネコの売場だった。

そう、なんと67歳からの出発~

我が心

うち明けられる

友もなく

浪花の街を

あてなく行く
(ツネコ作)

商売しているといろんな人が声をかけてくれる、それが嬉しくて、嬉しくて、どんなに体調が悪くともこの場所で詩や絵を売るツネコ。
大阪の地を初めて踏んだ時、ひとりぼっちだった。

だから孤独がどれほど心に痛いものか、ホームレスしかわからない心の痛みをツネコは今も想い出す。
姫路からはじめて大阪に来た日、生活用品一式と、絵の道具を二つの紙袋につめ中之島に向かい、人込みを抜けひと休みしている時、わずかの隙に二つの紙袋が盗まれてしまった。
まだ三月の夜は冷え込んでいた頃だった。

落ちぶれて

人にそしりを

受けるとき

命の終わるを
(ツネコ作)

下記のcoucouさんのアーカイブスはツネコさんの人生をまとめたんだ、当時はほとんどの人が読んでくれなかったけれど、これはね、自分の言葉を売る原点でもあるんだ~お時間があったらこの壮絶なツネコさんの人生を見てほしい~

★coucouさんのアーカイブス★

 

ツネコは野球帽をかぶっていたため男性と思われていた。
それがきっかけで翌日から高架下を住処にするようになる。

段ボールの寝床は外の寒さを防ぎ意外に暖かく、やわらかだった。
他のホームレス仲間は、段ボール、空き缶、ゴミなどを集めて売り、わずかでも生活の糧にして生きるが、67歳のツネコにできることといえばたかがしれている。

何もない。彼女は何するあてもなく、落ちていた色鉛筆で絵を描いてみた。 すると仲間たちが、「おばあちゃん上手いなあ!」「これを売ってみたら…」。その言葉がきっかけで高架下で絵を売るようになった。

ほとんどは色鉛筆で描いた美人画だった。

でも、売れない…。

それを見ていた仲間がツネコに、「もっと他にできることはないの?」とたずねた。「小さい頃、短歌を習うてました」と答えた。
すると、その人は「短歌を書いてみたらどう!」とアドバイスした。
詩ならもっと簡単に書けるかもしれない…。

そう思ったツネコは毎日のように図書館に通い詩を書き続けていく。
主に自分の心境や過去のこと、見たもの、聞いたもの、感じた物を詩のテーマにし、色画用紙をハガキサイズに切り、それに書いた。すると、通りすがりの人がツネコの書いた詩に興味をもつようになり、1枚100円の詩と1枚300円の絵が少しづつ売れるようになった。

ホームレス歌人ツネコの誕生だった…。


我が仲間

人は底ぬけ

良いけれど

我が不如意

隣りも文無し
(ツネコ作)


苦しさから

抜け出す街を

知らぬ我

人間止めたい

時がある
(ツネコ作)


2.25年前の自費出版

さて、coucouさんの自主出版の資料がようやくまとまりつつ~
でもね、もう一度最初に確認するね~

それはね、「自費出版」と「自主出版」はね、言葉も違うけれと、全くの別物として考えてね~また、coucouさんの「自主出版」も他の使い方と微妙に違うんだ。
「自費出版」はね、あくまでも自分のお金で出版すること。
よく「自費出版しませんか?」という言葉の通りなんだ。
もともとは地域の印刷所が、自分史、歴史や文化の記録、記録誌、自伝、お祝い事、サークルや団体活動の皆さんたちが自費で出版をするようになったんだ。
それが、やがて、自費出版の人たちが直接本屋と交渉して本屋さんに置かせてもらうようになったんだ。力のある自費出版の会社は一般の出版社とは遜色のないくらい日本全国への配本などもしている。

だけど、本の「自費出版」の姿は意外と販売物には向かないと言われていたんだ。だけど、時代は全く様変わりして、大手出版社までこの「自費出版」に目を付け始めたんだ。その理由はね、儲かるからさ~

でもね、この「儲け」って悪い言葉じゃあないんだよ~だって、商売なんだもの、儲からないことはできないよね。そんなことしたら慈善事業なんだもの。

お馬鹿なcoucouさんの自主出版って、むずかしく考えないでほしい~
それはね、クリエイター自身が出版社になることなんだ~

わあ~そんなこと無理~
と思う人は、このcoucouさんの自主出版論を理解できない、合わない人かも知れないけれど、考え方、方法は自由なんだからね~
こうあるべきなんていわないからね~
こんな方法もあるよ、って意味なんだからね~

さて、今回から写真などで具体的な説明に入るね~
おっと、その前に、この写真、この2冊の本が、coucouさんの原点なんだ~
25年前、すべての仕事がなくなり、家も何もかも失って、一人ぼっちになったとき、あまりにも膨大な時間が生まれたんだ~

簡単に言えば、暇になってやることがなくなったんだ~
この2冊の本の発行の後にある都議会議員の秘書兼事務局をすることになった~coucouさんがあまりにも暇しているから友人たちが3人で訪れて、「coucouさんの生活を保証する、そして一切の拘束はしない、自由にしていいから」という条件付きで政治の世界に入ることになった…。

残念ながら、それ以来、今でも選挙となるとかり出されてしまうんだ~

そして、月当たり163,000円の給料で働くこととなった…。
でも全く足らない…。
そこでcoucouさんの友人たちはcoucouさんのための営業活動を始めるようになり、現在の商店街やいろんな仕事先を紹介してもらうようになったんだ…。

おっと、本の話に戻るね~


©NPО japan copyright association Hiroaki

2.100の愛の言葉と100の心の言葉

今、この本を手にすると恥ずかしさばかり~
でもね、他人から見てどうしょうもなくてもね、自分の初めての作品を本にしたことの喜びは物凄い自己満足だと思う~

こんなことで簡単に幸せになっちゃうんだものね~

©NPО japan copyright association Hiroaki

この本のサイズはね、A6判105×148文庫本サイズ。
本文106頁、表紙カバーは別刷り(本文は100頁「はじめ」に、と「おわり」に各3頁)主な内容はね、coucouさんが辛く苦しかった時のメモのような言葉なんだ、詩ともいえない?なんだろうね?そう、自分で自分を励まし続けてきた言葉なんだ…。

©NPО japan copyright association Hiroaki


でね、「100の愛の言葉」は100の言葉、「100心のの言葉」も100の言葉にまとめて見たんだ。
どうしてこのサイズかと言うとね。
文庫本ならポケットやカバンに入れやすいし、本箱の邪魔にもならない。そしてね、当時、サンリオからやなせたかしさん、サトー・ハチローさんが詩集をこのサイズで出していたからなんだ。

ただね、カラー印刷は当時お金がかかりすぎるので写真や絵を入れることが出来なかったんだ。ただ、表紙は1色だけれどそれぞれに「赤文字」「青文字」に色分けしたんだ。(今の時代はカラーでも安いんだよ~)


©NPО japan copyright association Hiroaki

「100の愛の言葉」は愛情の赤い色~「100の言葉は」蒼い心を現わしてみた。そして、coucouさんはね、自分のノートに膨大に書かれたメモを元に製作を始めたんだ。

明日を信じてみよう
Let's believe in tomorrow

夢を信じて見よう
believe in your dreams

正義を信じてみよう
believe in justice

そして、生命の尊さを感じてみよう
And let's feel the preciousness of life

©NPО japan copyright association Hiroaki

どうして、こんな言葉が生まれたかったのかって?
それはね、簡単さ~明日を信じることができない、夢さえも信じられない、正義さえも信じられなくなっていた、どん底だったんだ~
そして、生命の尊さを感じてみよう、はね、友だちたちが次々にこの世を去っていったからなんだ。

©NPО japan copyright association Hiroaki

決して好かれなくてもかまわない
It doesn't matter if you never like me

決して嫌われたってかまわない
I don't care if you hate me

すべての人たちが
all people

信じてくれなくてもかまわない。
I don't care if you don't believe me.

自分が信じればいい
you just have to believe

自分が必要なら自分を愛すればいい
love yourself if you need yourself

自分が好きになればいい
I wish I could like myself


ねえ、みんな~
言葉だけ見ると立派なんだけれど、すべて逆、反対の人生、真逆なんだよcoucouさんは~
誰からも愛されない現実、誰からも信じてもらえない事実。
誰からも嫌われている姿、罵声と怒りと怒鳴り声を想い出す~

だから、coucouさんは言葉にして念じ続けた…。


まず 自分が幸せを感じること
First, to feel happy

まず 自分が幸せになってしまうこと。
First, I want to become happy.

まず 自分を大切に感じること
First, feel important to yourself

まず、自分で大切になってしまうこと
First of all, to become important to yourself

どうしたら、幸せになれるんだろう?どうして自分は不幸の道ばかり選択してしまうの?それって運命なの?だけど、まず…

©NPО japan copyright association Hiroaki

今のあなたを愛してごらん
love you now

とても素敵なあなたを愛してごらん
love you so beautiful

わたしを もっと大切に愛してごらん
Please love me more dearly

ほら 少しずつ 光り輝いてくる。
See, little by little, it shines.

そうだね、こんな説明つまんないね~
coucouさんの昔話なんだもの、自慢にもならないね…。

でもね、coucouさんのこの本はね、大好きな人たちだけに差し上げるものなんだ~こんな本があってもいい~そう、ギフトなんだよ~

嫌いな人にはあげたりしないよ、絶対にね~


©NPО japan copyright association Hiroaki

涙も心も疲れ果てたとき
When tears and heart are exhausted

そっと小さく手を合わせる
put your hands together softly

そのとてもあたたかな手は
Those very warm hands

ごめんね
sorry

ありがとう。
thank you.


全回でも話したけれど、当時のoucouさんは写植屋さんで文字を売ってもらい、それを切り張りして版下(原版)というものを作るんだ。

版下が出来たら製版屋さんと言うところに版(フイルムとアルミ板に焼き付けてもらう)を作るんだ。

丁度、昔は名刺を作るのも活字を一文字ずつ拾い、つなげて印刷する活版印刷というものがあった。

coucouさんの場合は今でいうオフセット印刷なのだけれど、コストを抑えるために「紙版」というものに版下を焼き付けてそのまま印刷機に回す方法を選んだ。

ただ、あまり鮮度は良くないけれど、費用が安いからね。

現在は写植文字とかタイプ文字はほとんどなくなり、すべてパソコンで処理できる時代だよね。

そして、製版なんて必要なくなったんだ。
そのままパソコン内のデータを印刷機に入れてダイレクトに印刷してしまう時代となって、誰もが簡単に印刷のための発注データを作れるようになった。

それでも作れない人は、noteのようにテンプレートがあって、それにあてはめてデータわ作成して、そのまま印刷機にかけるんだ。

coucouさんのこの時代はね、製本屋さんという仕事があって、本を製本し形にしてくれていたのだけど、現在はすべてコンピュータ、AIの時代となった。
そう、とても便利な時代~
だから、誰もが簡単に本が作れる時代になったんだ~


©NPО japan copyright association Hiroaki

さて、この本の代金はね、2冊で各100冊ずつ、計200冊で38,000円。1種類14,000円となる。
1冊あたり140円(100冊14,000円)さらにこの印刷所のお爺ちゃんと仲良しになって、印刷の紙を運んだり、納品の手伝いをしてあげたり、集金までした。一文無しのcoucouさんはね、1回の配達を300円で請け負い、38,000円以上稼いだんだ。

もちろん、生活費を稼ぐために政治家の手伝いもしながらね~
そして、商店街の仕事も始めるようになった。

そして、商店街のチラシをこの印刷所に紹介して儲けさせたのだから、営業までしていたことになる。

そう、身体と頭で支払ったんだよ~

でもね、今の時代にそんな真似しなくったっていい~だってもっと効率的なやり方があるんだものね~

ただ、みんなに知って欲しい~
それはね、25年経っても、どんなにデフレとなっても、不景気になっても、紙代が値上がりしようとも、25年前の価格より安くできる時代になったんだ。

それを、知って欲しいんだ…。

えっ~
そんなことcoucouさんに言われなくったって知っているよ~という人もたくさんいるよね。だったら、みんな簡単に本を発行できるはずなのに、ほとんどの人が無理だと、夢だと思うのはどうしてなのかなあ~

でもね、そんなこともどうでもいいんだ~
必要な人だけが読んでくれればね…。


次回からさらに丁寧に詳しく説明し続けますね、すぐさま長い文になるけれど、お許しくださいね~

だって、何十万文字もある内容なんだもの~

えっ~
そんなことをまとめるのって意味ない?
大変だからやめたら?

うん~
そうだね、みんなが見てくれない時がやめるときだから心配しないでね~



©NPО japan copyright association Hiroaki

ごめんね涙
sorry tears

流す涙の中にもひとつの心があります
There is one heart even in the tears you shed

それは あなたを 愛する心
It's a heart that loves you

流す涙の中には本当のあなたの心があります
Inside the tears you shed is your true heart

まるで自分を愛してくれて
as if you love me

愛されることを望む涙ではなくて
Not tears of wanting to be loved

愛することを望む 涙なんだよ
I want to love you, it's tears

ごめんね 涙。
sorry tears


©NPО japan copyright association 

coucouさんです~
みなさん、ごきげんよう~

さあ~一歩一歩ずつ、段々と本になるための知識や方法がわかってきたと思う~でもね、わかなかったら飛ばしてもいい~
雰囲気は知っておいた方がいいもんね。

だって、これから発行する自分の本なんだよ~
大切な本がどうなっていくのか、見届けることも必要な気がするんだ~

今回、再録したけれど「ホームレスツネコ」さんのお話はね、言葉や、詩や短歌俳句も同じ、本の原点のような気がしている~凄いお婆ちゃんなんだ~壮絶に生きてきた人の言葉はあまりにもインパクトが強い~

とてもcoucouさんは共感して、参考になったんだ。まるで商売の原点のようにも思えたんだ。だから「coucouさんのアーカイブス」として紹介したんだ。お時間があれば読んでほしいなあ~と思う。

でもね、愛おしいお婆ちゃんだったよ…。



 

coucouさんのホームぺージだよ~みんなみてね~

 
Production / copyright©NPО japan copyright coucou associationphotograph©NPО japan copyright association Hiroaki
Character design©NPО japan copyright association Hikaru

 







 

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