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私は今日も生かされて今ここにいる

久し振りにピアノに触れた。指の動きがぎこちなくて、上手く動かせなかった。随分と下手くそになっていた。 

曲名は、『いのちの名前』
ただそれだけを繰り返し弾いた。
この曲は『千と千尋の神隠し』の主題歌だ。
「青空に線を引く~」から歌い出しが始まる。

前に偶然、Youtubeでこの曲を聴く機会があった。涙が出てきた。思わずリピート機能をオンにして、何度も流した。涙も流れた。

木村弓さんの声も、音楽も、ずっと聴いていたかった。

聴きながら、自分はもうダメなんだなと、なんとなく感じた。

何十分もそのまま動かなかった。動けなかった。
もう既に夕方は過ぎて外は暗くなっていた。
何か食べないと、と思いやっとそこで音楽を止めた。


その後実家に帰省した際に楽譜を探してコピーをした。楽譜は簡単にアレンジされたものだったのか、数日もあればすぐに弾けるようになった。

『千と千尋の神隠し』
この映画に関しては、小さい時から目を離すことができなかった。
好きかどうかの話ではない、ただ目を離せず自分も入るべき世界ではない場所に入り込んでいた。


そして、今でもたまに見たくなりこれまでに何度も見ている。見る度に、小さい頃に見たときと気持ちは変わっているのだろうかとふと思う。

そりゃ、数年経てば考えることも変わるだろうなとは思う。

映画が終わると、すんなりと、「さて課題をやるか」なんて言って元の現実に戻ることはできない。映画の時間としては2時間でも、私は何日もそこに存在していたような感覚になる。

小さい頃と感覚が変わっていないのかもしれない、と思った。

なぜか、千尋ではなくてあれは私だったかもしれない、と何回も考えた。

そうして、私もいつか神隠しにあうのではないか、とそんな感覚に陥って浸っていた。

子どもは影響を受けやすい。だから、単に影響を受けてそう考えていたのかもしれない。


それでも今でも、どうして私は現実に生かされているんだろう。

なぜ神さまは私を隠してはくれないのか。

なんて、周りから見たらバカげたようなことを今でも考えている。

映画を再生すれば変わらない世界で、そのことが私を安心させる。
でも彼女らにとっては変わらないことが幸運なことで、同時に悲劇でもあるんだなと見る度に思う。そのことが映画に関して唯一私を悲しくさせる。

未来の前にすくむ心が
いつか名前を思い出す
叫びたいほど いとおしいのは
ひとつのいのち

いのちの名前


上記は『いのちの名前』における歌詞の一部である。

なんだか、私は死ねないと思う。
「ひとつのいのち」が何かは分からない。

でも私は誰かに呼ばれている、または呼ばれるような気がしてならない。
ただの気のせいかもしれない。
でもその気のせいのおかげで、私は今日も生き長らえている。
そんな気がして仕方がない。

きっと、私の心の奥にある愛されたいという欲求がそう思わせるのかもしれない。

今日も私は「いのち」に捕らわれていて、抜け出せずにいる。


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