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ICUにおける栄養

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急性期を中心とした栄養療法について御紹介します。
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ビタミンB1は重症患者で欠乏している?

ビタミンB1は重症患者で欠乏している?

急性期にビタミンB1の栄養投与を考えるうえで、そもそも重症患者でビタミンB1は欠乏しているのでしょうか?

昔々、1988年にCruickshankさんはICUに入室する患者の20%がビタミンB1が欠乏しており、このビタミンB1の欠乏が死亡率増加と関係していることを明らかにしました[1]。しかし、この当時はビタミンB1を直接測定できず、ビタミンB1に関係する酵素の活性を間接的に調べました。

そし

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急性期の栄養管理でビタミンB1は投与すべきか?

急性期の栄養管理でビタミンB1は投与すべきか?

みなさんビタミンB1というとどんな食品を思い浮かべますでしょうか?おそらくビタミンなので果物を想像する人も多いかと思います。

しかし、実際には豚肉に多く含まれてるんです。食品100gあたりのビタミンB1含有量を比較した時に豚ヒレ肉 2.1 mg、小麦 1.8 mg、うなぎ 0.6 mg、オレンジ 0.1 mgです。意外と豚肉に多いんですね!

1日に人が必要なビタミンの量は1.0-1.5mgです

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急性期のリフィーディング症候群

急性期のリフィーディング症候群

急性期の栄養投与ではリフィーディング症候群に注意する必要があります。

リフィーディング症候群って何??って方も多いかと思います。

リフィーディング症候群とは長期間栄養不良状態が続いている患者さんで積極的な栄養を開始した時に意識障害、心不全、呼吸不全など様々な症状をきたす症候群です。

長期間の飢餓によりエネルギー代謝の中心が脂肪中心であったのが、栄養投与により、エネルギー代謝の主体が炭水化物に

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急性期のカロリー投与

急性期のカロリー投与

急性期のカロリー投与について、代表的な3つの重症患者の栄養療法ガイドラインから紐解いていきます。

①米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン

②西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutritio

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急性期の経静脈栄養

急性期の経静脈栄養

経静脈栄養って何??

経腸栄養とは点滴で栄養を投与することになります。

現在は口から食べたり、お鼻から胃に管をいれて栄養を投与したり、腸を使用した栄養が主流になってきております。

しかし、点滴による栄養投与は必要でしょうか?

急性期における経静脈栄養についてまとめました。

経静脈栄養は一般的に経腸栄養に代替するものではなく、経腸栄養での栄養投与が不十分な患者への補完、または長期経腸栄養が

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急性期の蛋白質投与

急性期の蛋白質投与

急性期の蛋白質投与について、代表的な3つの重症患者の栄養療法ガイドラインから紐解いていきます。

①米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン

②西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutrition

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急性期の早期経腸栄養

急性期の早期経腸栄養

急性期の栄養療法ガイドラインは大きく分類して3つあります。

米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン(1)

西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)の

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