Nobuto Nakanishi (中西信人)

ICU physician: Respiratory care and rehabil…

Nobuto Nakanishi (中西信人)

ICU physician: Respiratory care and rehabilitation. I am working on Muscle atrophy zero project 救急集中治療医:「筋萎縮ゼロプロジェクト」に取り組み重症患者さんの社会復帰を目指します。

マガジン

  • ICUにおける栄養

    急性期を中心とした栄養療法について御紹介します。

  • 集中治療後症候群(PICS)

    ICU退室後の集中治療後症候群(PICS: Post Intensive Care Syndrome)について記載していきます。

  • ICUにおけるリハビリ

    ICUにおける様々なリハビリについて紹介します。リハビリの向上を通して筋萎縮ゼロを目指します!

  • ICUにおける呼吸管理

    集中治療に関するいろいろな内容を書きます。

  • 筋萎縮ゼロプロジェクト

    重症患者さんの社会復帰を目指したプロジェクトです。ICUでの筋萎縮防止をリハビリ・栄養・ベッドサイドケアなど多職種連携で進めていきます。筋萎縮ゼロを目指す。

最近の記事

  • 固定された記事

Muscle atrophy zero project(筋萎縮ゼロプロジェクト)

Hello, my name is Nobuto Nakanishi. I am an ICU physician. My research field is respiratory care and rehabilitation in critically ill patients. I am currently working on muscle atrophy zero project, which aims to prevent muscle atrophy in c

    • 急性期のリフィーディング症候群

      急性期の栄養投与ではリフィーディング症候群に注意する必要があります。 リフィーディング症候群って何??って方も多いかと思います。 リフィーディング症候群とは長期間栄養不良状態が続いている患者さんで積極的な栄養を開始した時に意識障害、心不全、呼吸不全など様々な症状をきたす症候群です。 長期間の飢餓によりエネルギー代謝の中心が脂肪中心であったのが、栄養投与により、エネルギー代謝の主体が炭水化物に変化して、それに伴って電解質、リンなどの異常が発生することが原因となります。

      • 急性期のカロリー投与

        急性期のカロリー投与について、代表的な3つの重症患者の栄養療法ガイドラインから紐解いていきます。 ①米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン ②西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)の2019年のガイドライン ③日本で作成され

        • 急性期の経静脈栄養

          経静脈栄養って何?? 経腸栄養とは点滴で栄養を投与することになります。 現在は口から食べたり、お鼻から胃に管をいれて栄養を投与したり、腸を使用した栄養が主流になってきております。 しかし、点滴による栄養投与は必要でしょうか? 急性期における経静脈栄養についてまとめました。 経静脈栄養は一般的に経腸栄養に代替するものではなく、経腸栄養での栄養投与が不十分な患者への補完、または長期経腸栄養が困難な患者への代替手段として用いられます。 数千人を対象とした大規模無作為化比

        • 固定された記事

        Muscle atrophy zero project(筋萎縮ゼロプロジェクト)

        マガジン

        • ICUにおける栄養
          5本
        • 集中治療後症候群(PICS)
          14本
        • ICUにおけるリハビリ
          8本
        • ICUにおける呼吸管理
          1本
        • 筋萎縮ゼロプロジェクト
          7本

        記事

          急性期の蛋白質投与

          急性期の蛋白質投与について、代表的な3つの重症患者の栄養療法ガイドラインから紐解いていきます。 ①米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン ②西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)の2019年のガイドライン ③日本で作成された

          急性期の蛋白質投与

          急性期の早期経腸栄養

          急性期の栄養療法ガイドラインは大きく分類して3つあります。 米国を中心としたASPEN(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition:米国静脈経腸栄養学会)の2022年のガイドライン(1) 西欧諸国を中心としたESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)の2019年のガイドライン(2) 日本で作成された日本版重症患者の栄養療法ガイド

          急性期の早期経腸栄養

          経済的、社会的支援

          SSCG2021の敗血症ガイドラインを紐解いていきます。 敗血症罹患後の患者さんに対して経済的、社会的支援として私達に何ができるのでしょうか。 『CQ82. 患者や家族を経済的、社会的支援(住宅、栄養、資金、精神面)を必要としている患者をスクリーニングして、必要な場所に紹介することを推奨する。(Best practice statement)』 SSCG2021の大前提として「not all patients are the same」という言葉があります。これはつまり

          経済的、社会的支援

          Sepsis Education(敗血症教育)

          SSCG2021(敗血症ガイドライン)を紐解いていきます。 ガイドラインの項目の一つにSepsis Education(敗血症教育) という項目があります。 敗血症の勉強??? 入院しているのに勉強しないといけないの??? なんのことか分かりにくいと思います。 これは医療従事者のみでなく、患者さんやその家族も敗血症と何か、長期的どのようなことが起こっていて、それに対してどのような対策が必要か知っておくべきであるという内容です。 なぜそのようなことが必要なのか。 それ

          Sepsis Education(敗血症教育)

          Cognitive Therapy(認知療法)

          敗血症ガイドライン:SSCG2021について紐といていきます。 今回はその中でもCognitive Therapy(認知療法)について解説します。 そもそも認知療法って何? って方が多いかと思います。 まずはPICS(集中治療後症候群)では長期的な認知機能の低下が問題となることを知って頂ければと思います。ICU退室1年後の25%に軽度のアルツハイマー病と同様の認知機能の低下を認めたとの報告もあります(1)。 集中治療における認知療法とはこの認知低下を予防するための取り

          Cognitive Therapy(認知療法)

          Peer Support

          Peer Supportとは仲間の支えという意味です。 人間、困難に直面した時に一人では乗り越えられないことがあります。 誰もが突然、事故にあったり、倒れたりした時に極度の不安状態になります。 そんな時に「支え合い」が重要になります。 SSCG 2021の敗血症ガイドラインで以下の提案があります。 CQ79. 患者や家族をPeer Support Groups(仲間の支え合い)に紹介することを提案する(弱い推奨、低いエビデンス)。 例えば2000年に以下のような研究

          SSCG2021のGoal of CareとPalliative Care

          SSCG2021のPICS領域を少しずつ紐解いていきます。 今回はGoal of CareとPalliative Careについてまとめました。 集中治療の領域では必ずしも全ての患者さんが助かるわけではありません。どうしても治らない病気もあります。絶対治らないと分かった時に治療はどのようにしたらよいでしょうか? とても難しい問いです。 考え方は患者さんやご家族、一人一人により異なります。 SSCG2021に以下の言葉がありました。 「not all patients

          SSCG2021のGoal of CareとPalliative Care

          ICU退室時、退院時の計画

          敗血症ガイドライン(SSCG2021)を少しずつ紐解いていきます。 今回はPICSに関係するDischarge Planning(ICU退室時、退院時の計画)について解説します。 ICUで治療に成功して生存した患者さんが、どのようにしたら社会復帰できるのか? その一つの要因としてICU退室時または退院時に、我々医療従事者が患者さんの状態を適切に申し送ることができるかどうか、またその後のケアを計画できるかが重要になります。 ここについてはSSCG2021では3つの推奨や

          ICU退室時、退院時の計画

          SSCG 2021でのPICSフォローについて

          2021年11月に米国集中治療医学会から敗血症の新しいガイドラインが報告されました。これをSSCG2021(Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2021)といいます。 今回のガイドラインではPost Intensive Care Syndrome (PICS:集中治療後症候群)に関して取り上げられました。ちなみにSSCG2016ではPICSの項目はありませんでした。 PICSに関してどのようなことが推奨されているのでしょうか。 Q9

          SSCG 2021でのPICSフォローについて

          ICUでのサルコペニア・フレイルはどのように評価するのか?

          サルコペニアやフレイルという言葉をご存じでしょうか。 サルコペニアというのはギリシャ語で筋肉を表す「サルコ」と喪失を表す「ぺニア」を合わせた言葉で筋肉量の減少を意味します。サルコペニアは筋肉量の減少と筋力低下で診断します。 フレイルというのは日本語に訳すと「虚弱」となり、心身の活力が低下した虚弱状態のことです。フレイルは体重減少、筋力低下、疲労感、歩行速度、身体活動で評価します(1)。 ICU入室する重症患者におけるサルコペニアやフレイルの頻度どれくらいでしょうか?

          ICUでのサルコペニア・フレイルはどのように評価するのか?

          神経筋電気刺激療法:EMS

          みなさんはEMSをお使いでしょうか? 今回はICUにおけるEMSについてまとめました! EMSに関しては本邦での敗血症ガイドラインや早期リハビリテーションガイドラインでは標準治療として積極的に推奨してない(1, 2)。 しかし、その根拠としては十分なエビデンスが不足しているためであり、さらなるエビデンスの蓄積が必要と結論付けられている。 ガイドライン策定後にも近年様々な研究成果が報告されている。 ICUに入室する重症患者は入室後から筋萎縮が進行し,1週間で13.2%

          神経筋電気刺激療法:EMS

          PICSの評価方法

          PICS(集中治療後症候群)はどのように評価すれば良いのでしょうか? PICS評価によく用いられる代表的な評価方法をまとめました。 それぞれ利点、欠点があります。電話で評価可能なものも、質問紙を用いて評価可能なものなど様々なものがありますので、それぞれの施設にフィットしたものを使用してください。 ①身体機能障害の評価1)MRCスコア MRC (medical research council)スコアとは全身の12カ所のMMT(Manual muscle test:徒手筋