見出し画像

経済的、社会的支援

SSCG2021の敗血症ガイドラインを紐解いていきます。

敗血症罹患後の患者さんに対して経済的、社会的支援として私達に何ができるのでしょうか。

『CQ82. 患者や家族を経済的、社会的支援(住宅、栄養、資金、精神面)を必要としている患者をスクリーニングして、必要な場所に紹介することを推奨する。(Best practice statement)』

SSCG2021の大前提として「not all patients are the same」という言葉があります。これはつまり、全ての患者さんが同じではない、一人一人の患者さんについてしっかりと考えていかなければならないという考え方です。

画像1

病気が治ったとしても経済的、社会的支援を必要としている患者さんをそのまま自宅に帰しては、やはり再入院や長期的な機能障害の原因となりかねません。

実際に敗血症になった患者さんの長期的な経済状況はどうなっているのでしょうか。

2013年の研究では敗血症になって、退院した6カ月後、12ヵ月で仕事をしている人の割合は半分に減ったようです。さらに経済的支援を受ける患者さんは逆に2倍近く増加しております(1)。

つまり、病気が治ったあとも、多くの患者さんは経済的に困窮している状態にあるといえます。

実際のデータでは、このような経済的・社会的に困窮している患者さんの方が長期的な生存率が低いと報告されております(2)。

もちろん医療従事者のみでできることは限られます。

しかし、医療従事者としては経済的・社会的支援を必要としている患者さんを認識して、行政や地域など適切な場所に紹介する必要があります。

やはり、地域が一丸となってPICS(集中治療後症候群)に取り組むことで、PICSを少しでも減らすことができると信じています。

画像2

参考文献
1. Griffiths J, et al. An exploration of social and economic outcome and associated health-related quality of life after critical illness in general intensive care unit survivors: a 12-month follow-up study. Crit Care. 2013;17(3):R100.
2. Ho KM, et al. The effect of socioeconomic status on outcomes for seriously ill patients: a linked data cohort study. Med J Aust. 2008;189(1):26-30.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?