見出し画像

Sepsis Education(敗血症教育)

SSCG2021(敗血症ガイドライン)を紐解いていきます。

ガイドラインの項目の一つにSepsis Education(敗血症教育)
という項目があります。

敗血症の勉強???
入院しているのに勉強しないといけないの???

なんのことか分かりにくいと思います。

これは医療従事者のみでなく、患者さんやその家族も敗血症と何か、長期的どのようなことが起こっていて、それに対してどのような対策が必要か知っておくべきであるという内容です。


なぜそのようなことが必要なのか。
それはなんと敗血症がよくなって退院した患者さんの40%が退院90日以内に再入院するといわれているからです。

つまり、退院後にどのようなことが必要なのか、十分に患者さん自身も理解して、その対策を行っていかない限り、この40%という数字を減らすのは容易でないということです(1)。

画像1

ガイドラインでは以下のように記載されております。

「CQ83. 患者や家族に、病院退院前やフォロー中に文書や口頭での敗血症教育(診断、治療、PICSについて)を提供することを提案する。(弱い推奨、とても低いエビデンス)」

実際の患者さんへのアンケートでは入院時、退院後に45%、63%の人が敗血症について十分に説明を受けて理解できていないと不満を感じておる結果でした(2)。

どのように敗血症教育をしたらよいのか、様々な方法があります(3)。


その一つとして敗血症に関する冊子を渡すことも一つの手段です。実際にそのような冊子を渡している施設もあり、例えば入院中に栄養のために胃管をいれること、敗血症がよくなっても嚥下障害がおこることが多く、トレーニングが必要なことなど記載してあるものもあります。

たしかに、なぜ胃への管が鼻から入っているのか、非医療従事者には十分な説明なくしてはなかなか理解できないと思います。

画像2


実際に敗血症教育を行った研究があります(4)。


ICUの患者に冊子を渡して敗血症教育を行った群と従来の治療群を比較した研究では敗血症教育を行った患者さんの方が、疾患や治療への理解が有意に高くなったとされています。

入院しても勉強が重要なのですね。
人生はつねに勉強だらけです。とほほ….

画像3


参考文献
1. Mayr FB, et al. Proportion and Cost of Unplanned 30-Day Readmissions After Sepsis Compared With Other Medical Conditions. Jama. 2017;317(5):530-1.
2. Huang CY, et al. Life after sepsis: an international survey of survivors to understand the post-sepsis syndrome. Int J Qual Health Care. 2019;31(3):191-8.
3. Bench S, et al. Evaluating the feasibility and effectiveness of a critical care discharge information pack for patients and their families: a pilot cluster randomised controlled trial. BMJ Open. 2015;5(11):e006852.
4. Azoulay E, et al. Impact of a family information leaflet on effectiveness of information provided to family members of intensive care unit patients: a multicenter, prospective, randomized, controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2002;165(4):438-42.



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?