マガジンのカバー画像

筋萎縮ゼロプロジェクト

7
重症患者さんの社会復帰を目指したプロジェクトです。ICUでの筋萎縮防止をリハビリ・栄養・ベッドサイドケアなど多職種連携で進めていきます。筋萎縮ゼロを目指す。
運営しているクリエイター

記事一覧

筋萎縮に関する総説を執筆

重症患者さんの筋萎縮に関する総説を執筆致しました。 様々な職種の方が筋萎縮を短時間で学べるように、重症患者さんの筋萎縮の原因・診断・治療などについてまとめております。 横隔膜の萎縮と予防、栄養、リハビリなど幅広く記載しております。読んで頂ければ非常にうれしいです。 Take home messageとしては重症患者さんの筋萎縮が1日に上肢で0.7%-2.4%、下肢で1.2%-3.0%、横隔膜で1.1%-10.9%おこるということです。 Youtubeに論文執筆の①日本

熊は筋萎縮ゼロ?

ICUの患者さんは1週間で約20%の筋肉が萎縮します。 しかし熊は約半年も冬眠して、筋肉が萎縮しないといわれています。しかも、冬眠が終わると活発に動き回ります。 なぜ半年も食事をせず、寝ているだけなのに筋肉が萎縮しないのかはっきりとしたことは分っていません。 ある研究ではタンパク質の異化やエネルギー利用の代謝経路に変化がおこり、筋肉の萎縮を抑制するといわれています[1]。 現在は動物実験において、人為的に代謝を抑えることが可能なところまで研究は進んでいるようです[2]

ECMO(エクモ):人工肺を用いた治療

ECMOは人工の肺を用いて重症な呼吸不全の患者さんを救うために用いられます。ECMOにもいろいろ種類はあるのですが呼吸ECMOについてです。 テレビでもお聞きしたした方も多いと思います。そうです、コロナで重症化した場合に行われる治療です。 ECMOで重症呼吸不全の患者さんを治療することで、1年後の生活の質が高くなり、後遺症の発生率なども低かったとの報告があります[1]。 最近の研究でもECMOは重症呼吸不全患者さんの死亡率を低下させることが証明されています[2]。

ARDSと集中治療後症候群

コロナウイルスの感染拡大が懸念されますが、特に気になるのは重症化した場合にどうなるのかだと思います。重症化した場合の急性呼吸窮迫症候群(ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome)についてまとめました。 ARDSとは肺炎などから、肺の炎症が肺全体に広がった状態です。 ARDSの死亡率は1996年から2013年まで35.4%から28.3%まで低下しました[1]。 しかし助かったからといって、生存退院したその後はどうなっているのでしょ

集中治療後症候群

集中治療後症候群について多くの方に知って頂ければと思います。 近年集中治療の分野では「集中治療後症候群」という病態が近年注目を集めています。この20-30年でICUに入室する重症患者さんの死亡率は何十パーセントも低下しております。しかし、実際には多くの方が社会復帰できているわけではありません。  ICU退室5年後でも、もとどおりの身体機能に改善せず、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しみ、仕事や学校に復帰できていない患者さんがたくさんいます。5年後に仕事に復帰

再生

筋萎縮ゼロプロジェクト(You tube)

医学の発展に伴い多くの病気が治療可能となっています。重症患者に関しても交通事故、肺炎、心筋梗塞などの治療はどんどん進歩しています。しかし、医療の本当の目的は何でしょうか。病気を治せばそれでいいのでしょうか。そんなことではなく、患者さんが社会に復帰できて初めて治療が完結したと私は考えています。 そのためには、早期リハビリテーションを行い、全身の筋肉量をモニタリングしながら治療を進めることが必要です。私たちは、世界初の筋萎縮モニタリング測定のモデルを構築しようとしています。このプロジェクトを通して重症患者の筋萎縮予防にむけた原因・診断・治療に関する研究の発展を目指していきます。

Muscle atrophy zero project(筋萎縮ゼロプロジェクト)

Hello, my name is Nobuto Nakanishi. I am an ICU physician. My research field is respiratory care and rehabilitation in critically ill patients. I am currently working on muscle atrophy zero project, which aims to prevent muscle atrophy in c