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集中治療後症候群

集中治療後症候群について多くの方に知って頂ければと思います。

近年集中治療の分野では「集中治療後症候群」という病態が近年注目を集めています。この20-30年でICUに入室する重症患者さんの死亡率は何十パーセントも低下しております。しかし、実際には多くの方が社会復帰できているわけではありません。

 ICU退室5年後でも、もとどおりの身体機能に改善せず、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しみ、仕事や学校に復帰できていない患者さんがたくさんいます。5年後に仕事に復帰できる重症患者さんは30%との報告もあります[1]。

このようなICU退室後も継続する運動・認知・精神機能の障害を「集中治療後症候群」といいます。

例えば感染症(敗血症)の患者さんを対象とした研究ではICU を生存退室した患者さんの約1/3が6ヵ月後に死亡し,さらに1/3の患者さんは何らかの機能障害を呈していた事が報告されています[2]。

医療の本当も目的とは何でしょうか。

病気を治すのみでなく、患者さんに元気に家に帰って頂くことだと思います。つまり「集中治療症候群」を防いでいくことが非常に重要です。

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参考文献

1. Kamdar BB, Sepulveda KA, Chong A, et al: Return to work and lost earnings after acute respiratory distress syndrome: a 5-year prospective, longitudinal study of long-term survivors. Thorax 2018; 73:125-133 

2. Yende S, Austin S, Rhodes A, et al: Long-Term Quality of Life Among Survivors of Severe Sepsis: Analyses of Two International Trials. Crit Care Med 2016; 44:1461-1467


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