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天賦。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第267回】
先週はフジロックフェスティバル ‘24にうかがうことができました。今年はオアシス・エリアにBLUE GALAXYというDJブースが2019年以来5年ぶりに復活することとなり、昨年の「THE PALACE OF WONDER」の復活に続いて、フジロックらしさをより味わってもらおうというスタンスが引き続き示される形となりました。3日目に散発的な雨はあったものの、大きな天候の影響というものはなく、夏らし
もっとみる昵懇。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第266回】
今週はポール・マッカートニーの写真展「アイズ・オブ・ザ・ストーム」が東京会場で開幕しました。この写真展はロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーのリニューアル・オープン記念として昨年6月から展示されたもので、ニューヨークのブルックリン・ミュージアム、ポートランド・アート・ミュージアムで巡回された後に日本にやってくることになりました。東京会場は7月19日から9月24日までの開催で、大阪会場は1
もっとみる背景。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第265回】
先週はノエル・ギャラガーがグラストンベリー・フェスティバルについて語った発言が一部で話題となりました。グラストンベリー・フェスティバルと言えば、レフト・フィールド・ステージを筆頭にライヴ以外にも多くのトーク・セッションなどが開催されており、歴史的に見ても核軍縮キャンペーンや環境問題、飢餓問題などに積極的に取り組んできたことで知られています。なので、ミュージシャンからもそうした発言が出ることは当然あ
もっとみる転覆。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第264回】
今週は少し政治の話になりますが、イギリスで総選挙が行われ、労働党が劇的な勝利を収めて、14年ぶりに政権交代が実現することになりました。この前に労働党が政権にいたのは1997年から2007年のブレア政権とそれを受け継いだ2010年までのブラウン政権でしたから、保守党から労働党への政権転覆という意味では1997年以来の出来事になります。議席数はこの原稿を書いている時点で、保守党の119議席に対して労働
もっとみる国益。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第263回】
今週は昨日から2024年のグラストンベリー・フェスティバルが開催されていますが、シザ、デュア・リパ、コールドプレイという3組のヘッドライナーの内、デュア・リパとコールドプレイのパフォーマンスが全世界に向けて配信されることが発表されました。例年、グラストンベリー・フェスティバルの模様というのはBBCのテレビとラジオで中継されていて、ネット上の配信も行われていたのですが、イギリス国内のサーバーから接続
もっとみる月音。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第262回】
今週はコールドプレイが通算10作目となるニュー・アルバム『ムーン・ミュージック』を10月4日にリリースすることを発表しました。このアルバムについてクリス・マーティンはだいぶ前の時点で言及していて、昨年1月、今よりも1年半近く前にカナダの『シティ・ニュース』に対して「『ムーン・ミュージック』という『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』の第二弾となるアルバムを仕上げているところなんだ」と語っています
もっとみる転禍。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第261回】
今週は出演がキャンセルになったシザに代わってザ・キラーズがフジロックフェスティバル ’24で初日のヘッドライナーを務めることが発表されました。ザ・キラーズがこれまでに出演した唯一のフジロックフェスティバルは2004年のレッド・マーキーで、2009年は出演がキャンセルになってしまっていたこともあって、20年ぶりに苗場の地に戻ってくる格好になります。今年は不朽の名作であるデビュー・アルバム『ホット・フ
もっとみる黙示【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第260回】
今週は先週末にリアム・ギャラガーによる『ディフィニトリー・メイビー』30周年記念ツアーがシェフィールド公演を皮切りに開幕しました。最初にこのツアーの存在が言及されたのは、もう1年近く前となる昨年7月のことで、オアシスのデビュー・アルバムが30周年を迎えることを受けて、世界各地の会場でアルバムの全曲を演奏するというコンセプトを明かしていました。ツアーの具体的な日程が発表されたのは昨年10月のことで、
もっとみる誤解。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第259回】
今週は本日5月31日に行われたゲイルの来日公演を観てきました。まだ19歳のシンガーソングライターであるゲイルことテイラー・ゲイル・ラザフォードですが、2021年にリリースしたシングル“ABCDEFU”が全英1位/全米3位を記録する驚異的なヒットとなったことで、一躍時の人になりました。その元カレを痛烈に批判する内容は大きな話題となりましたが、あまりにあの曲の存在が大きかったために、そのイメージだけが
もっとみる均衡。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第258回】
今週はブリング・ミー・ザ・ホライズンの通算7作目となるアルバム『ポスト・ヒューマン:ネックス・ジェン』が本日5月24日にリリースされました。シングル単位ではない、まとまったリリースとしては2020年10月にリリースされた『ポスト・ヒューマン:サバイバル・ホラー』以来となり、正規のフルアルバムとしては2019年1月にリリースされた『アモ』以来となります。ヘヴィ・ミュージックという枠組を超えて、UKを
もっとみる開陳。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第257回】
今週は本日5月17日にビリー・アイリッシュのサード・アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』がリリースされました。コーチェラ・フェスティバルのDJで新曲をかけてみたり、ゲーム『フォートナイト・フェスティバル』の関連動画で新曲の一部音源が公開されたりというのはあったのですが、昨今のシーンでは珍しく、基本的に事前に先行シングルを一切リリースすることなく、今回のタイミングで収録曲である全10曲が
もっとみる舌鋒。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第256回】
今週は伝説的なプロデューサーであるスティーヴ・アルビニの訃報が届くことになりました。現地時間5月7日に地元シカゴにある彼のレコーディング・スタジオ、エレクトリック・オーディオで心臓発作のために亡くなったとスタッフによって発表されています。享年61歳でした。ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』がそのキャリアの代名詞として語られることになりましたが、ピクシーズの『サーファー・ロザ』、ブリーダーズの『ポッド
もっとみる開幕。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第255回】
今週は週末の現地時間の日曜日からいよいよザ・ローリング・ストーンズによる最新作『ハックニー・ダイアモンズ』を引っ提げた新たなツアーが始まることになります。このツアーは4月28日のヒューストン公演から始まるもので、7月17日のサンタクララ公演まで、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェスティバルへの出演を含め、19公演が行われる予定となっています。昨年アルバムをリリースした時にはかなり精力的にプ
もっとみる大作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第254回】
今週はテイラー・スウィフトの通算11作目となるアルバム『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』が本日4月19日にリリースされました。今年2月に開催された第66回グラミー賞授賞式でリリースが発表された本作ですが、その直後の来日公演ではもしもグラミー賞授賞式であのような機会がなかったら、来日公演で新作のリリースを発表する予定だったとテイラー・スウィフトはMCで発言しており、そのことも日本では大き
もっとみる天邪鬼。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第253回】
今週はオアシスの再結成を巡って珍しい動きがありました。2009年にパリで解散劇があってからというもの、かのバンドについては再結成に関するニュースが無数のように報じられて、常に取り沙汰されてきました。基本的には弟のリアム・ギャラガーがオアシスの再結成に対して前向きであるにもかかわらず、兄のノエル・ギャラガーがそれに水を差すというのが通常運転で、近いところではリアム・ギャラガーはデビュー・アルバム『デ
もっとみる豊作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第252回】
今週はリリース・ラッシュとなっていて、注目作やニュー・シングルが一挙にリリースされています。主だったところではザ・リバティーンズが9年ぶりとなる通算4作目のアルバム『オール・クワイエット・オン・ザ・イースタン・エスプラネイド』をリリースしたほか、ヴァンパイア・ウィークエンドは5年ぶり通算5作目となるアルバム『オンリー・ゴッド・ワズ・アバヴ・アス』をリリースしており、コナン・グレイ、ザ・ブラック・キ
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