見出し画像

転覆。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第264回】

今週は少し政治の話になりますが、イギリスで総選挙が行われ、労働党が劇的な勝利を収めて、14年ぶりに政権交代が実現することになりました。この前に労働党が政権にいたのは1997年から2007年のブレア政権とそれを受け継いだ2010年までのブラウン政権でしたから、保守党から労働党への政権転覆という意味では1997年以来の出来事になります。議席数はこの原稿を書いている時点で、保守党の119議席に対して労働党は411議席となっており、前々から労働党の優勢は伝えられていたものの、ここまでの差になるとは思ってもいませんでした。

BBCと『ガーディアン』紙の論説にも目を通しましたが、今回の選挙に対する見解は概ね一致していて、それは保守党を退場させるための選挙だった、というものです。大敗を喫した前回の2019年の総選挙と較べて、労働党が得票率を大きく伸ばしたというわけではなく、保守党を退場させたい有権者によって激戦区で労働党が勝利を収めたことによって、前述のような結果になったというのが共通する認識です。「多くの人々は労働党政権が誕生しても、すぐに何かが変わるとは思っていない」とも述べられています。

ただ、ベクトルが変わったという意味では今後のイギリスとそのポップ・カルチャーを見ていく上で、今回の選挙というのは大きな節目になると思っています。グラストンベリー・フェスティバルでもデーモン・アルバーンらが今回の選挙に言及していましたが、エルトン・ジョンも事前に労働党を支持することを表明していて、ミュージシャンの立場から次のように述べていました。「駆け出しの頃に教えられ、キャリアの道を切り拓き、成功へと導いた豊かな文化的交流というものが枯渇して、完全になくなってしまう危機に瀕しています。それはミュージシャンだけでなく、ツアーを取りまとめるチーム全体、今後繁栄していくこれからのアーティストに寄っている幅広い業界に言えることなのです」

今週は先週末にグラストンベリー・フェスティバルが行われたこともあり、BBCミュージックのYouTubeチャンネルでは各アクトのライヴ映像も続々とアップされています。ラインナップの豪華さもあって、かなりの情報量となっていて、多くの時間を費やしてしまうことになりそうです。

『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
下記以外の27局 日曜日午前4時〜
Kiss FM KOBE 日曜日22時〜
FM宮崎 月曜日午前1時〜
FM新潟 土曜日午前11時〜
※放送局によって時間は変更になる可能性があります。

#NMEJapan編集長がちょっと思っていること #NME #NMEJapan #エッセイ #音楽#バンド #ロック #音楽レビュー #洋楽 #音楽コラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?