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イギリスの音楽総合サイト「NME.com」の日本版サイト「NME Japan」の編集長です。

最近の記事

転禍。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第261回】

今週は出演がキャンセルになったシザに代わってザ・キラーズがフジロックフェスティバル ’24で初日のヘッドライナーを務めることが発表されました。ザ・キラーズがこれまでに出演した唯一のフジロックフェスティバルは2004年のレッド・マーキーで、2009年は出演がキャンセルになってしまっていたこともあって、20年ぶりに苗場の地に戻ってくる格好になります。今年は不朽の名作であるデビュー・アルバム『ホット・ファス』の20周年ともなっており、同作に収録の“Mr Brightside”は今年

    • 黙示【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第260回】

      今週は先週末にリアム・ギャラガーによる『ディフィニトリー・メイビー』30周年記念ツアーがシェフィールド公演を皮切りに開幕しました。最初にこのツアーの存在が言及されたのは、もう1年近く前となる昨年7月のことで、オアシスのデビュー・アルバムが30周年を迎えることを受けて、世界各地の会場でアルバムの全曲を演奏するというコンセプトを明かしていました。ツアーの具体的な日程が発表されたのは昨年10月のことで、UK&アイルランドだけで10公演以上が行われることが発表され、チケットへのあまり

      • 誤解。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第259回】

        今週は本日5月31日に行われたゲイルの来日公演を観てきました。まだ19歳のシンガーソングライターであるゲイルことテイラー・ゲイル・ラザフォードですが、2021年にリリースしたシングル“ABCDEFU”が全英1位/全米3位を記録する驚異的なヒットとなったことで、一躍時の人になりました。その元カレを痛烈に批判する内容は大きな話題となりましたが、あまりにあの曲の存在が大きかったために、そのイメージだけが独り歩きしてしまったところもあるのですが、ライヴの彼女はそういうアーティストでは

        • 均衡。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第258回】

          今週はブリング・ミー・ザ・ホライズンの通算7作目となるアルバム『ポスト・ヒューマン:ネックス・ジェン』が本日5月24日にリリースされました。シングル単位ではない、まとまったリリースとしては2020年10月にリリースされた『ポスト・ヒューマン:サバイバル・ホラー』以来となり、正規のフルアルバムとしては2019年1月にリリースされた『アモ』以来となります。ヘヴィ・ミュージックという枠組を超えて、UKを代表するロック・バンドになった彼らのフルアルバムがついにリリースされることになり

        転禍。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第261回】

          開陳。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第257回】

          今週は本日5月17日にビリー・アイリッシュのサード・アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』がリリースされました。コーチェラ・フェスティバルのDJで新曲をかけてみたり、ゲーム『フォートナイト・フェスティバル』の関連動画で新曲の一部音源が公開されたりというのはあったのですが、昨今のシーンでは珍しく、基本的に事前に先行シングルを一切リリースすることなく、今回のタイミングで収録曲である全10曲が公開されています。ファースト・アルバムをリリースしたのが17歳、セカンド・アルバ

          開陳。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第257回】

          舌鋒。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第256回】

          今週は伝説的なプロデューサーであるスティーヴ・アルビニの訃報が届くことになりました。現地時間5月7日に地元シカゴにある彼のレコーディング・スタジオ、エレクトリック・オーディオで心臓発作のために亡くなったとスタッフによって発表されています。享年61歳でした。ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』がそのキャリアの代名詞として語られることになりましたが、ピクシーズの『サーファー・ロザ』、ブリーダーズの『ポッド』、PJハーヴェイの『リッド・オブ・ミー』をはじめ、数々の名作が世に残されること

          舌鋒。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第256回】

          開幕。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第255回】

          今週は週末の現地時間の日曜日からいよいよザ・ローリング・ストーンズによる最新作『ハックニー・ダイアモンズ』を引っ提げた新たなツアーが始まることになります。このツアーは4月28日のヒューストン公演から始まるもので、7月17日のサンタクララ公演まで、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェスティバルへの出演を含め、19公演が行われる予定となっています。昨年アルバムをリリースした時にはかなり精力的にプロモーションを行っていたザ・ローリング・ストーンズですが、その後はしばらく沈黙が

          開幕。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第255回】

          大作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第254回】

          今週はテイラー・スウィフトの通算11作目となるアルバム『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』が本日4月19日にリリースされました。今年2月に開催された第66回グラミー賞授賞式でリリースが発表された本作ですが、その直後の来日公演ではもしもグラミー賞授賞式であのような機会がなかったら、来日公演で新作のリリースを発表する予定だったとテイラー・スウィフトはMCで発言しており、そのことも日本では大きな話題となりました。ストリーミングの定石としてリード・トラックが事前に配信される

          大作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第254回】

          天邪鬼。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第253回】

          今週はオアシスの再結成を巡って珍しい動きがありました。2009年にパリで解散劇があってからというもの、かのバンドについては再結成に関するニュースが無数のように報じられて、常に取り沙汰されてきました。基本的には弟のリアム・ギャラガーがオアシスの再結成に対して前向きであるにもかかわらず、兄のノエル・ギャラガーがそれに水を差すというのが通常運転で、近いところではリアム・ギャラガーはデビュー・アルバム『ディフィニトリー・メイビー』の30周年記念ツアーでノエル・ギャラガーに声をかけたの

          天邪鬼。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第253回】

          豊作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第252回】

          今週はリリース・ラッシュとなっていて、注目作やニュー・シングルが一挙にリリースされています。主だったところではザ・リバティーンズが9年ぶりとなる通算4作目のアルバム『オール・クワイエット・オン・ザ・イースタン・エスプラネイド』をリリースしたほか、ヴァンパイア・ウィークエンドは5年ぶり通算5作目となるアルバム『オンリー・ゴッド・ワズ・アバヴ・アス』をリリースしており、コナン・グレイ、ザ・ブラック・キーズ、クルアンビン、ファビアナ・パラディーノ、ベンソン・ブーン、マウント・キンビ

          豊作。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第252回】

          格。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第251回】

          今週はビヨンセが突如日本を訪れて、通算8作目となるアルバム『アクトII:カウボーイ・カーター』をリリースしました。スーパーボウルのハーフタイムで放送されたベライゾンのコマーシャルに出演して、新曲をリリースすると発言し、突如サプライズで2曲の新曲“Texas Hold ‘Em”と“16 Carriages”をリリースしたのが2月中旬でしたが、そこから“Texas Hold ‘Em”でホット・カントリー・ソングス・チャートで1位を獲得した初の黒人女性となり、アルバムのタイトルが『

          格。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第251回】

          絶好。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第250回】

          今週はいくつかのトピックを取り上げていければと思うのですが、一つはサマーソニックに続いてソニックマニア2024の第1弾アーティストが発表されました。アンダーワールドとメジャー・レイザーはサマーソニックの第1弾出演アーティスト発表でなんとなく可能性を感じていましたが、フェニックスにアルカ、ヤング・ファーザーズにニア・アーカイヴスと、UKの現行シーンの視点から見ると、かなり熱いラインナップになっています。ヤング・ファーザーズの最新作は「NMEが選ぶアルバム・オブ・ザ・イヤー202

          絶好。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第250回】

          突出。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第249回】

          今週は2024年のグラストンベリー・フェスティバルの第1弾ラインナップが発表されました。昨年はアークティック・モンキーズ、ガンズ・アンド・ローゼズ、エルトン・ジョンの3組がヘッドライナーを務めましたが、今年、ヘッドライナーを務めるのはデュア・リパ、コールドプレイ、シザの3組で、日曜日の定番となっているレジェンド枠にはシャナイア・トゥエインが出演することが発表されました。デュア・リパとシザは今回が初のヘッドライナーとなり、主催者と友人関係にあるコールドプレイについては史上最多と

          突出。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第249回】

          暗躍。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第248回】

          今週はアメリカでスーパーチューズデーがありました。いわゆるアメリカ大統領選挙に向けた予備選挙・党員集会が集中する日のことで、1984年にアメリカ南部の州の予備選挙の日が統一されたことで、スーパーチューズデーが生まれることになりました。なので、現地時間3月5日に15の州にワシントンD.C.を加えた16の予備選挙が行われたのですが、結果は御存知の通り、ドナルド・トランプ元大統領が15の州のうち14の州で勝利を収めることになり、対立候補だったニッキー・ヘイリー元国連大使は選挙運動か

          暗躍。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第248回】

          再臨。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第247回】

          今週はフジロックフェスティバル ’24の第2弾ラインナップが発表されました。2月9日に発表された第1弾ラインナップでは17組の海外アーティストが発表されていましたが、今回の第2弾では国内アーティストも含めて27組の出演者が発表されています。第2弾ラインナップと共に出演日の日割りも発表されており、今回の発表で今年のフジロックフェスティバルの大まかな形がだいぶ見えてきたと言ってもいいかもしれません。ここでは第2弾ラインナップで発表された海外アーティストをざっとピックアップしていけ

          再臨。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第247回】

          絢爛。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第246回】

          今週は日本時間の2月12日にラスベガスのアレジアント・スタジアムでスーパーボウルが開催されました。ポップ・ミュージックの観点から言うと、毎年、大物アーティストと豪華ゲストによるハーフタイム・ショーが大きな注目を集めるわけですが、今年ほどいろんな意味でポップ・ミュージックとの結びつきが強かった年も珍しいかもしれません。会場でも、会場以外でもいろんなことが起こったので、時系列を辿りながら話題になったことをいくつかピックアップしていければと思います。 試合前にスタジアムに登場した

          絢爛。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第246回】