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背景。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第265回】

先週はノエル・ギャラガーがグラストンベリー・フェスティバルについて語った発言が一部で話題となりました。グラストンベリー・フェスティバルと言えば、レフト・フィールド・ステージを筆頭にライヴ以外にも多くのトーク・セッションなどが開催されており、歴史的に見ても核軍縮キャンペーンや環境問題、飢餓問題などに積極的に取り組んできたことで知られています。なので、ミュージシャンからもそうした発言が出ることは当然あることで、今年もブラーのデーモン・アルバーン、デュア・リパ、シャルロット・チャーチといったミュージシャンたちが中東情勢、次期アメリカ大統領選挙、イギリス総選挙といったトピックについて言及しました。

しかし、そうした発言にノエル・ギャラガーは苦言を呈していて、「あそこも意識高い系になっているというか、説教臭くて、美徳のひけらかしみたいになっているよな。音楽でそういうのは好きじゃないんだ……世界で何が起こっているかなんて、みんな知っている。ポケットに携帯電話があれば、すべて教えてくれる。なのに、美徳をひけらかすことに何の意味があるんだ?」と語っています。この発言を受けて、一部では音楽が政治に言及すべきか否か、という議論がまたもや展開されたりもしました。

けれど、ノエル・ギャラガーのこの発言というのは先週ここでも取り上げたイギリス総選挙の直前のもので、選挙の結果が労働党による14年ぶりの政権交代が実現するものだったことを考えれば、ノエル・ギャラガーの発言もまた少し違う見え方になるところがあるように思います。変化が起きることが予想されたタイミングだったからこそ、ノエル・ギャラガーは今はことさら言わなくてもいいんじゃないのと考えたと個人的には思っていて、発言だけを取り出して判断するのではなく、タイミングであったり、文脈であったりで、その発言の受け止めというのはだいぶ変わってくるように思っています。

あと、今週はニルヴァーナがマーク・ジェイコブスとスマイリー・フェイスをめぐって争っていた裁判で和解に至ったことが明らかになっています。これはスマイリー・フェイスを発案したと主張していたアート・ディレクターのロバート・フィッシャーを含む三者の和解案で、和解案の詳細は明らかにされていませんが、いずれにせよカート・コバーンというアイコンの影響力が今もなお大きなものであることを物語っていると思います。

Pic by Matt Crockett

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