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Nakano Nanae
2022年12月30日 20:49
どうせなら美しいサイコロを振れ出る目すべてが宝石のような最後まで気持ちよく好きでいたかった魚が絶滅した海さえもかろうじて死刑を免れてるような私たちの愛私たちの美説明書も読めないくせに神様の言う通りになんてほんとにできるの海底で生まれた新種の生命は誰とも交わらないまま死んだ絞り器で絞り出される虹を見ていた 君は笑ってそれを食べた「もし原始時代だったら死んでるよ」原始時代じゃな
2022年12月27日 18:52
冷やした水をコップに移し替えるそれだけが確かな営みに思えたむかし海に潜った人たちは無数のプランクトンの死骸を"雪のようだ"と言ったらしい私たちの死骸を宇宙から見る人は何に喩えてくれるのでしょうか
2022年12月22日 22:29
喜びは空から降ってくるのだと空を飛べない人たちが信じている気づいていないだけであの山の向こうは焼け野原なのかもしれない川を渡った隣の町にはもう誰もいないのかも逆光のせいで真っ黒に見えた鳥たちは本当は何色だったのかな楽しそうに笑う顔はなぜか知らない人みたいだった
2022年12月13日 23:10
たくさんの花に囲まれているからもうすぐ死ぬ人みたいに見えた"自由"という名前が付いている窓のない部屋危険な場所には隅々まで柔らかい綿を敷きつめておこう誰かが落っこちてきても大丈夫なように三時間おきにミルクを飲んでいた頃よりもお腹を空かせている私たち大切なものをうしなってやっと自由になれる
2022年12月11日 19:57
二年前、君は私の神様で、去年は、一番安心できる存在で、今ではもう、ほとんど思い出すこともない。「さみしい」って言ってみたけど、完全に嘘だった。君はすべての始まりみたいなものだったから、こんな結末じゃ辻褄が合わないはずなのに、実際には何の感情もない。私だって他の人たちみたいにさみしくなりたかったし、傷つきたかった。そう日記に書いてみたけど、それも嘘だった。
2022年12月10日 19:30
こんな風に季節が変わる度にいつも何て言えばいいのか分からないから詩ではなく説明書でもなく恋文でもなく遺言でもないただの言葉を探してる
2022年12月8日 20:57
「僕の分まで生きてくれ」映画の中で誰かが言ってたまたがっかりしてるの救ってくれるならどんな神様でもいいはずなのに秋が終わるまでは優しい人でいようと思った冬になってもそうできればいいんだけどいつの間にか砂が入ったみたいに口の中がざらざらしてる海辺でもないのに
2022年12月7日 19:24
隣同士の席でぼくたちは話しつづけた細い糸が切れてしまわないように長い間考えていたことなんとなく口が滑ったことわざわざ言わなくていいのにって思われそうなことでも薄いカーテン越しの光みたいに優しい声できかせて
2022年12月3日 21:37
飲み慣れないコーヒーと趣味じゃないオルゴール暖かい雪が降る仮初の宇宙船落書きだらけのベッドで同じ色の海を見たこと君の日記には何て書いてある(2019年制作)