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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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2020年2月の記事一覧

しゃべれることが、少なくなっていく。

しゃべれることが、少なくなっていく。

だいたいここに何か書こうというときには、思いつくことを思いつくままに書くのだけれど、そんな僕ですらここ数日のコロナウィルスの話の急展開には影響を受けている。

ついヤフーニュースを見てしまったり、疫学的な話を読み込んでしまったり、スマホを持って黙りこんでいるものだから、奥さんに「見過ぎ」とたしなめられた。

特に昨日の全国の小中高一斉休校(の要請)のニュースの余波はすごかった。SNS上にいるお母さ

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抱きしめられたい。

抱きしめられたい。

こないだ観た映画『プリズン・サークル』の中で、受刑者の方の一人が「抱きしめられたい」と言っていた。

他の受刑者と三人で輪になって自分のことを話していたときのことだ。

「言うの恥ずかしいんですけど、抱きしめられたいって思うんですよね。こう、ぎゅーってされたい」

正確にはおぼえていないけれど、そんな感じのことを言っていたように思う。

この映画については、すでに何本か記事を書いたけれど

余韻が

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終わらない子育て。

終わらない子育て。

「障がい者の親の子育ては、ずっと終わらない」

今日バイト先の施設の研修で、そう聞いてハッとした。
そして親御さんの気持ちに、はじめて触れた気がした。

それはしんどいだろうな、と思った。

障がいをもつことは、子どものままでいることに似ている。
たとえば知的障がいの場合、体は大人とおなじでも、思考や行動は幼児のまま。身体障がいなら体の方が子どものまま。その育ちは止まっているか、ゆっくりすぎて止ま

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少年時代は終わらない。

少年時代は終わらない。

昨日の『プリズン・サークル』を観ているときにも思ったことだけれど、

子どもの頃のことって、全然終わってないんだなあと思う。
いくつになっても、その頃の自分は生きていて、いまの自分に影響を与えている。

僕はもっとぶつ切りなんだと思っていた。記憶もだんだん薄れていくし、身体も意識も関心も変わっていくから、過去の自分というのは全くの別人で、脱皮した後のセミの抜け殻みたいにカサカサになって消えていくん

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鬼が人になるとき。

鬼が人になるとき。

映画『プリズン・サークル』を観た。

名古屋市内の小さな映画館。祝日だったからか場内は満席で、二時間以上に及ぶ上映の後半には蒸し暑くて頭痛がした。

でも、頭痛がしていたのは空調のせいだけじゃないと思う。

この映画の中で語られていた経験が、言葉の一つ一つが、リアルで聞き逃せないまま突き刺さるのだ。

時間を追うごとに「これは自分とは違う、別の世界の物語だ」と切り離すことができなくなっていく。

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安心感ってそゆことか。

安心感ってそゆことか。

昨日紹介した『こころの対話 25のルール』

のこの部分がとても響いている。

もっとほかにもありますが、少なくとも、お互いの感情に触れるとき、わたしたちは「安心感」を体験します。それが、楽しさであれ、さびしさ、悲しみであれ、お互いの感情に触れるとき、わたしたちは、安心します。お互いの感情には「共感」することができるからです。たとえ、考え方が違っていたとしても、感情には共感できるからです。(伊藤守

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聞かれることが人にもたらすこと。

聞かれることが人にもたらすこと。

こちらのページで紹介されていた『こころの対話 25のルール』。

今日、電車の中で読んでいたらすごくよくて、気になったところを次々に抜き書きしている。

P.20
 なぜなら、聞かれないということは、単に自分の話を聞かれていないだけでなく、話している自分の存在そのものを否定されたこととして認識されるからです。逆に言えば、聞かないということは、その人の存在を否定することになります。たとえ、あなたにそ

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叱らないしつけ方。

叱らないしつけ方。

子どもをもたない僕が「叱らない」「しつけ」などと検索窓に入れたのには訳がある。

宿直バイトで関わる障がいをもつ人たちにどう「しつけ」ができるのか知りたかったからだ。

彼らの多くは成人の年齢を超えている。人によっては僕よりも年上の人もいる。けれど障がいの影響で、その行動は幼い子どもか、時には赤ちゃんと同じくらいのところで止まっている。

そうした彼らが施設を出ても困らないように、幼い子どもにそう

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無関係なはずがない。

無関係なはずがない。

今朝、早朝のスーパーで野菜の品出しをしながら考えた。

この野菜を買っていく人とお店は、ほぼ知り合うことがない。
毎日あいさつを交わしたりしていれば、少し顔なじみになったりはするだろうが、基本的に誰が買っていったかは知る由もない。そういう不特定多数と特に深く関係することなく行われる仕事・ビジネスというものがある。

それと僕が「㐧二音楽室」でしている仕事は、まるで違う。

どの仕事も一対一で顔を見

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なぜ人は「歌いたい」などと思うのだろうか。  【メルマガ『生きているQ』より】

なぜ人は「歌いたい」などと思うのだろうか。  【メルマガ『生きているQ』より】

この記事は、㐧二音楽室のメルマガ『生きているQ』の配信記事を加筆修正してお届けしています。(配信登録はこちらからどうぞ。)

こんばんは。澤です。

聴いてくださり、
ありがとうございます。

久しぶりにこの仕事に
依頼をいただきました。

「歌いたい」人の
「歌いたい」気持ちに
応えていくこのお仕事。

楽しみだなあと思いつつ、
改めて
「歌いたい」気持ちについて
考えてみました。

僕は「歌い

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痛むところをかばうように。

痛むところをかばうように。

こないだ、障がい児の施設のアルバイトに行ったら、スタッフさんがケガをしていた。腕と足に包帯を巻いていて、ずいぶん不自由そうである。

それで、そのスタッフさんがつくろうとしていたおやつをいっしょになって作った。期せずしてそれは僕がおやつをつくるはじめての経験となった。「昔こうやって母親にお手伝いしなさいと怒られたんですよ」なんてことを話した。

翌朝、スーパーの品出しのバイトに行くと、スタッフさん

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つづく。

つづく。

毎週コンビニで漫画を読んでいる。
ジャンプ、スピリッツ、マガジン、ヤンジャン、モーニング。最近はスマホでも漫画が読めるようになったので、読む量もうんと増えた。

作家さんの想像力と編集者さんの構成力。「漫画はすごい」「漫画家さんって天才だ」と事あるごとに言っては奥さんに呆れられている。挙句、こんな歌までつくってしまった。

漫画はいつも途中で終わる。
夢中でページを繰って「つづく」まで行くと、余韻

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いることのはたらき。

いることのはたらき。

先日気づいたことなんだけど、人が「いることのはたらき」は、本人には自覚されない。

なぜならそれは、その人が「いない状態」と比べなければならないから。

僕は奥さんがいるとガラリと表情が変わって、とてもリラックスする。
先日の『BAR 白と黒と極彩色』でも参加してくれた人たちが如実にその変化を感じ取っていた。

ところが、そのことが奥さんだけには通じない。いつも「そうかな?」と不思議そうな顔をして

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二次ってやつが、厄介なんすよね。

二次ってやつが、厄介なんすよね。

「こちらの利用者さんは、二次障害で統合失調をもっておられます。」

と、障がい者施設のスタッフミーティングで聞いたとき、僕は「二次」という言葉に反応した。

ちょうど僕は先週、足を痛めていた。
擦りむけて薄くなった皮にばい菌が入って二次感染したのだ。

大したことないだろうと高をくくっていたのだけれど、その後どんどん痛くなり、苦手だった病院に行く羽目に。楽しみにしていたディズニーランドも車椅子で回

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