無関係なはずがない。
今朝、早朝のスーパーで野菜の品出しをしながら考えた。
この野菜を買っていく人とお店は、ほぼ知り合うことがない。
毎日あいさつを交わしたりしていれば、少し顔なじみになったりはするだろうが、基本的に誰が買っていったかは知る由もない。そういう不特定多数と特に深く関係することなく行われる仕事・ビジネスというものがある。
それと僕が「㐧二音楽室」でしている仕事は、まるで違う。
どの仕事も一対一で顔を見ながらする仕事だ。そして話を聞かせてもらう中でその人と深く関係する。関係することで知らなかった自分の姿を知ってもらうような場面もある。スーパーで野菜を売るのとはまるで違う。
『listen.』のような無料の活動であっても事情は同じだ。そこにははっきりと相手がいて、その人と人間関係をする。そこに仕事が成立する。
僕はたくさんの人と付き合いがあるわけでもない。予定をたくさん入れて出歩く方でもない。だから、仕事や『listen.』の依頼があると、その予定は僕自身の人生にも影響を及ぼす。
スーパーの野菜と違って、㐧二音楽室の仕事をすることは、自分の人生と無関係じゃない。そこで語られたこと、交わした言葉が残って、僕の考えることや考え方を明らかに変えていってしまう。言い換えれば、そうして共に変わることが僕の仕事と言えよう。
スーパーと自分の仕事。全く質の違う二つを同じ「仕事」というくくりで考えていたかもしれないなぁと思って、野菜を並べる手が止まった。
かつて、企業の仕事はどうしてこんなに人間味がないのだろうとか、大企業の対応に「人でなし!」と腹を立てたりしたことがあったけれど、その仕事はそれほど人間関係を必要とする仕事じゃなかったんだろうなあ。
スーパーの野菜が輸送過程などを経て、産地で食べるよりも栄養価を下げるように、規模が大きくなり、関わる人が増えれば増えるほど、その仕事における「人のはたらき」は薄まっていく。一方で、いちいち産地まで足を運ぶ手間は省かれ、安価に手に入るようになる。
そういう意味では、㐧二音楽室の仕事はお客さんにも手間をかけるけれど「人のはたらき」がたっぷり入った濃ゆい仕事と言えるかもしれない。濃すぎてむせちゃうくらいの時もあるけどね。
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