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演劇用の脚本にチャレンジしてます。 もし、劇場等で利用したいと思われてる方は、事前にご連絡ください TWITTER @niko0730

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真夏日の昼下がり

■キャスト 道淵壮志郎(26)由梨の恋人 町田由梨(26)小説家志望 ■第一場  真夏日の昼下がり  町田由梨(26)居住のマンション。和室。エアコンはなく、扇…

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3年前
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お詫び

自分の文章の至らなさ、ただ扇情的で浅いことに、うんざりしまして、更新途絶えてました。 忍辱は、一旦連載中断とします いつか、

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忍辱 第十三場

■第十三場  それからニ時間後の粟田家。  基本セット。居間のテーブルの椅子にぐったりと座る絹代。独り言。 絹代 「どこのお店にも入れなかった。‥今日の晩御飯、ど…

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忍辱 第十二場

■第十二場  前場の翌日午前11時。琴吹町の隣町にあるホームセンター。レジにとても長い行列ができていている。列がなかなか進まず、みなイライラ顔。店員の小川と石田…

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忍辱 第十一場

■第十一場  テレビ放送の音。それを聞く人たち。  佐藤夫妻は、上手袖近くに立つ。同様に下手袖近くに手塚と小笹。下手中央寄りに衣川。上手中央寄りに富田夫妻。テレビ…

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忍辱 第十場

■第十場  その翌日の土曜日。午前11時。基本セット。外は曇り空で無風。蒸されているような不快な空気。上手奥には自動車が止まっており、車内に大杉、鈴木、木村がい…

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忍辱 第九場

■第九場  それから数日後。自由新聞社の応接室。中には手塚と、新聞記者の小笹、牧原。高価なソファ。壁に社内啓発ポスター。「自由・公正・謙譲 自由新聞社訓」と大書…

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忍辱 第八場

■第八場  前場の翌日。昼過ぎ、外は弱い雨。基本セット。 粟田家のテーブルには粟田夫妻と手塚。少し離れたところの椅子に吹美果。その隣に車椅子の哲修。家の外では、…

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忍辱 第七場

■第七場  愛実は空想している。大ホールの観客の万雷の拍手に迎えられる自分。観客の中に拍手する哲修がいる。愛実は観客に一礼しながら、にこりと哲修にほほえみかける…

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忍辱 第六場

■第六場  愛実が刺された日から6日後の日曜日。夕方。基本セット。倫幸、大杉、鈴木、唐玄、絹代、哲修が井上家の玄関前にいる。少し離れたところに彩未と静香。富田家…

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忍辱 第五場

■第五場  前場と同時刻、愛実がウグイス公園脇の歩道を一人で傘をさして歩いている(傘の色は白か透明が望ましい)。あたりはうす暗い。ピアノレッスンからの帰宅が遅く…

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忍辱 第四場

■第四場  前場の夜、午後9時。小雨がふっている。基本セット。粟田家は夕食後。一家四人がテーブルを囲んでいる。唐玄は上下黒のパーカー、Gパン(以降基本的にこれが…

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忍辱 第三場

■第三場  前場の翌日、午後3時、曇り空。  舞台下手に井上家。玄関扉と居間が見える。居間には三人掛けほどの長さのクッション。中央に粟田家。玄関扉と居間が見える。…

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忍辱 第二場

■第二場  前場から三時間後。琴吹町内にある森林公園沿いの歩道。陽は落ちている。夜間照明は少なく暗い。フリーマーケットが終わり、佐々木は帰宅中。肩掛けカバンをし…

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忍辱 第一場

■第一場  2014年春、土曜日、昼。晴。東京都三田市琴吹町四丁目にあるトチノキ公園で町主催のフリーマーケットが開かれている。 会場内は、古い時代のポップスが鳴…

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忍辱 (訳注)

■訳注 ※:同時に発声 ‥:発声に間を取る。 ‥。:次の台詞は、この記号にかぶせるように発声  ():演出・台詞についての補記。発声しない 台本内にある地名・人名・…

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真夏日の昼下がり

■キャスト

道淵壮志郎(26)由梨の恋人

町田由梨(26)小説家志望

■第一場

 真夏日の昼下がり

 町田由梨(26)居住のマンション。和室。エアコンはなく、扇風機が回っている。由梨は汗だく。小さな机にノートPCを置き、座布団の上に座って画面を睨んでいる。時折キーボードを強く速く叩くが、長くは続かない。溜息。

 来客を告げるインターホン。由梨は無視する。玄関の鍵を開けるガチャガチャした

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お詫び

自分の文章の至らなさ、ただ扇情的で浅いことに、うんざりしまして、更新途絶えてました。

忍辱は、一旦連載中断とします

いつか、

忍辱 第十三場

忍辱 第十三場

■第十三場
 それからニ時間後の粟田家。
 基本セット。居間のテーブルの椅子にぐったりと座る絹代。独り言。
絹代 「どこのお店にも入れなかった。‥今日の晩御飯、どうしよう? ‥これから、どうしよう。」
 頭を抱える絹代。
 粟田家の玄関前に山口が現れる。周りに人がいないのを確かめ、陀頼教のマークを、真っ赤なスプレー塗料で「×」字に塗りつぶす。すばやく逃走。
 それから間もなく唐玄が目に眼帯をして入

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忍辱 第十二場

忍辱 第十二場

■第十二場
 前場の翌日午前11時。琴吹町の隣町にあるホームセンター。レジにとても長い行列ができていている。列がなかなか進まず、みなイライラ顔。店員の小川と石田は行列にあっけにとられている。小川の近くに、店員専用の電話機がある。石田の背後に、客の高橋が腰をかがめながら特価品コーナーの値段を見定めている。
 ホームセンターの隣は、佐藤夫妻が構える小さなコンビニ。夫婦で店に立っている。暇そうな顔。客は

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忍辱 第十一場

忍辱 第十一場

■第十一場
 テレビ放送の音。それを聞く人たち。
 佐藤夫妻は、上手袖近くに立つ。同様に下手袖近くに手塚と小笹。下手中央寄りに衣川。上手中央寄りに富田夫妻。テレビを見ていた人は後方。
キャスター 「今大変世間を騒がせております、琴吹町の連続通り魔事件、その容疑者ではないか、と思われる人物につきまして、当局が独占入手した情報をお送りします。被害者のMさんが、犯人を見たと。しかもそれは、近くに住むTと

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忍辱 第十場

忍辱 第十場

■第十場
 その翌日の土曜日。午前11時。基本セット。外は曇り空で無風。蒸されているような不快な空気。上手奥には自動車が止まっており、車内に大杉、鈴木、木村がいて、唐玄を監視している。
 唐玄が玄関から出て、玄関扉の汚れを布でふきはじめる。監視員は、唐玄の登場に色めき立つ。木村はスマホで写真をとり、鈴木は大学ノートに唐玄の行動記録を書き込んでいる。唐玄はその様子をちらりと見る。慌てて視線をそらす監

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忍辱 第九場

忍辱 第九場

■第九場
 それから数日後。自由新聞社の応接室。中には手塚と、新聞記者の小笹、牧原。高価なソファ。壁に社内啓発ポスター。「自由・公正・謙譲 自由新聞社訓」と大書されている。
 手塚は、町民が唐玄を監視している現状を新聞記者に訴えた。
 小笹は小太り。さほど暑くもないのに、扇子をパタパタさせている。姿勢がだらしない。服装もラフ。地声はやや大きい。牧原は対照的にかっちりしたスーツ。背筋をピンと伸ばして

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忍辱 第八場

忍辱 第八場

■第八場
 前場の翌日。昼過ぎ、外は弱い雨。基本セット。
粟田家のテーブルには粟田夫妻と手塚。少し離れたところの椅子に吹美果。その隣に車椅子の哲修。家の外では、衣川が傘を差して立っている。
 手塚は町内会でのいきさつを話した。吹美果と哲修の反応が気になって、時々見る。唐玄は深刻な顔で腕組み。絹代は夫を気遣いながら、不安な表情。哲修は呆然とした表情。吹美果はちらりちらりと父親を見ながら、哲修の様子

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忍辱 第七場

忍辱 第七場

■第七場
 愛実は空想している。大ホールの観客の万雷の拍手に迎えられる自分。観客の中に拍手する哲修がいる。愛実は観客に一礼しながら、にこりと哲修にほほえみかける。グランドピアノの前に座ると、きりりとした表情に一変。ラフマニノフ作のピアノ前奏曲 嬰ハ短調「鐘」を弾きはじめる(他のピアノ曲でも可だが、悲劇的な展開を感じさせるメロディーが望ましい)。
 唐玄が登場。父の姿を見て笑顔の哲修。父も哲修を見て

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忍辱 第六場

忍辱 第六場

■第六場
 愛実が刺された日から6日後の日曜日。夕方。基本セット。倫幸、大杉、鈴木、唐玄、絹代、哲修が井上家の玄関前にいる。少し離れたところに彩未と静香。富田家の二人は興味本位で自宅の窓越しに彼らをのぞいている。その周りには警官が一人。新聞記者とカメラマンが2名。カメラマンはしきりに井上家の外観を撮っている。絶え間なく続くシャッター音が、倫幸の神経をとがらせる。
倫幸 「異常者だ! これは精神を病

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忍辱 第五場

忍辱 第五場

■第五場
 前場と同時刻、愛実がウグイス公園脇の歩道を一人で傘をさして歩いている(傘の色は白か透明が望ましい)。あたりはうす暗い。ピアノレッスンからの帰宅が遅くなってしまった。トートバッグにピアノ教則本が入っている。
 けたたましい救急車の音が聞こえる。愛実は思わず足を止めて音の鳴る方向に反応。遠ざかる音。やや強い風が木の葉を揺らす。愛実は傘の先を風の方向に向けるが、雨のしぶきが少し顔にかかる。不

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忍辱 第四場

忍辱 第四場

■第四場
 前場の夜、午後9時。小雨がふっている。基本セット。粟田家は夕食後。一家四人がテーブルを囲んでいる。唐玄は上下黒のパーカー、Gパン(以降基本的にこれが唐玄の衣装)。唐玄はスマホで安藤と通話中。
 上手袖近くに倫幸と大杉。スマホで通話している。
 富田家は未来が居間にいる。高価そうなチョコレートの包み紙をといている。笑顔。
 井上家は、時太郎が上着を着て、外出の用意。信世がその傍に。
信世

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忍辱 第三場

忍辱 第三場

■第三場
 前場の翌日、午後3時、曇り空。
 舞台下手に井上家。玄関扉と居間が見える。居間には三人掛けほどの長さのクッション。中央に粟田家。玄関扉と居間が見える。玄関扉には「陀」の字を◎で囲った形の印章が刻まれている。居間には4人用の食卓テーブル。上手に富田家。簡素な玄関扉と、居間と思しき狭い空間のみ見える。(上記セットを、以後「基本セット」と表記する)
 井上家門前で倫幸と時太郎が立ち話。
 倫

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忍辱 第二場

忍辱 第二場

■第二場
 前場から三時間後。琴吹町内にある森林公園沿いの歩道。陽は落ちている。夜間照明は少なく暗い。フリーマーケットが終わり、佐々木は帰宅中。肩掛けカバンをしょっている。
 佐々木はゆっくり歩きながら独り言。
佐々木 「あー、人づきあい疲れたけど、でもお肉おいしかったし、まあまあ、よしとするか。」
 彼女の後ろから異常者が近付く。服装は上下黒のパーカー、Gパン。上着のフードを深くかぶり、顔の上半

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忍辱 第一場

忍辱 第一場

■第一場
 2014年春、土曜日、昼。晴。東京都三田市琴吹町四丁目にあるトチノキ公園で町主催のフリーマーケットが開かれている。
会場内は、古い時代のポップスが鳴らされている。
 舞台中央は、井上信世・愛実がシートを張り、クラシック系のCDや書籍を売っている。愛実は明るい色の服装。
 その上手側隣に、遠藤と佐々木のシート。ぬいぐるみやマグカップを売っている。下手側の隣に阿部と木村のシート。キャラク

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忍辱 (訳注)

■訳注
※:同時に発声
‥:発声に間を取る。
‥。:次の台詞は、この記号にかぶせるように発声 
():演出・台詞についての補記。発声しない

台本内にある地名・人名・名称は全て架空のもの
暴力的、差別的、その他不適切な文言は、作者の信条思想に基づくものではない
キャストは、兼ね役・エキストラ登用可