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夏目ジウ 掌編・短編小説集

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これまでnoteに掲載した小説をまとめてみました。
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#純文学小説

ひとまわり【掌編小説】

ひとまわり【掌編小説】

※本文3,605字。
※本作品はフィクションです。

 「これ、だぁれ」
 僕は小学生のころ知らないものを見ると指を差す癖があった。母はまたいつものように僕の名前を呼んではこっちに来るように手招きをする。
 「・・・シゲヤのお姉ちゃんだよ」
 「えっ!?」
 母の声はいつもの厳しさとは真反対のトーンで優しくどこか懐かしかった。
 「閲子(えつこ)って名前で、みんなからエッちゃんって呼ばれていたよ」

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ぼくの白いおかあさん【掌編小説】

ぼくの白いおかあさん【掌編小説】

※2,622字数。
※本作品はフィクションです。

 小学校時代の親友だったタケシ君のママは美しい人だった。たしか23歳とかだったか。不思議と、鮮明に覚えている。目鼻や顔だちがはっきりした沖縄美人で、見た目は中学生くらいに見えた。小柄で、いつも白のエプロンを着ていた。僕にとっては初恋だった。
 母親がいないせいかもしれなかった。あんなキレイなママがいたら毎日楽しいだろうなとか、授業参観で自慢するだ

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不思議の国の天然なやつら【掌編小説】

不思議の国の天然なやつら【掌編小説】

 ※本文4,370字数。

 あたしがすごした高校は、男女共学のはずなのに男子がたった一人しかいなかった。淋しいというより虚しいというより、不思議だった。今思い出しても謎だらけの世界にいたと思う。我ながら、よく中退せずに無事卒業したものだと思う。
 学力偏差値が低かったからか、変に結束力が強かった。仲間意識というか。教師達はあきれを通り越して、何かを達観したような顔をしていた。
 その日は3年次の

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ちぎり【短編小説】

ちぎり【短編小説】

※2,170字数。
 本作品はフィクションです。

 ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲睦まじく地元の文化会館で成人式に参加した帰路の途中だったから、今でもその時の光景は鮮明に覚えている。
 「でも、30歳になったら必ず迎えに行くから」マナの青々しい後ろ姿に向かって僕は声を振り絞った。たぶん、聞こえていなかったかもしれ

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