記事一覧
【鑑賞メモ】B・A・ツィマーマン『軍人たち』(2024年1月18日/演出カリスト・ビエイト、指揮フランソワ=グザヴィエ・ロト、ギュルツェニッヒ管)
ケルンのビエイト演出のツィマーマン『軍人たち』は事実上演奏会形式。ポディウム席をステージにして客席と地続きの物語にしたい意図はあったのかなかったのか。あったとしたらちょっと弱い。なぜならニュルンベルクのコンヴィチュニー演出の最終幕では観客をステージに上げて閉じ込めしまいクラスターを浴びせたわけで。しかしいずれにせよコンヴィチュニーもそうだったが、この作品演出の肝はいかにして観客に当事者性を突きつけ
もっとみる【鑑賞メモ】『終戦の日/WAR IS OVER』(藤井光)
OITA CULTURAL EXPO!24のなかで藤井光が『終戦の日/WAR IS OVER』という作品を発表している(6月16日まで)。アーツカウンシルみやざきのディレクターY氏を誘い、大分県は佐伯市の鶴御崎まで車で足を運んだ。
展示会場である丹賀砲台園地は豊予要塞という「豊後水道の要所として部隊が駐在」した場所を一部保存している場所だ。昭和6年に日本軍が巨大なカノン砲の砲塔を設営し、昭和17
リアリズムとユートピアニズムのひと・小澤征爾
1997年、茨の道を歩んできた日本フィルハーモニー交響楽団が記念すべき第500回定期演奏会を迎えた。曲目はマーラーの千人の交響曲、指揮は小林研一郎。大学1年のわたしは市民で編成された日本フィルハーモニー協会合唱団の一員として第2コーラスで参加した。開演の直前、指揮者の真下の最前列席に誰かが駆け込んできた。小澤征爾だった。日本フィルと因縁(後述)のあるこの世界的指揮者がやって来たことに場内はみんな驚
もっとみる松山ブンカ・ラボのことと地域アーツカウンシルのことに関するメモ
松山ブンカ・ラボのこと
松山での6年間の仕事が終わりました。コロナ禍の2年半を挟んだので体感としては3年くらいでしょうか。松山市が2018年3月に策定した松山市文化芸術振興計画(第一次)に基づき、松山市と愛媛大学による文化芸術振興のための中間支援事業として松山ブンカ・ラボは2018年6月に設立されました。しかし当初の予定とは異なり、第一次の振興計画期間5年を終えるタイミングの2023年3月に終了