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/ (スラント)~クライフの空間詩学~(6)
終章
クライフの名を冠した本論考。
最後はクライフの名を冠した「空間」-クライフ・コートの話題でしめくくろう。
ピッチ上の空間を切断し接続しながらフットボールそのものを構造化した(と筆者が思っている)クライフは、その空間をさらに社会的にも押し広げた。
ヨハン・クライフ財団が進めているプロジェクト「クライフコート」である。子供たちや障害者にもスポーツを広く自由に楽しんでもらうために人工芝で作ら
/ (スラント)~クライフの空間詩学~(5)
7.戦術論の虚構
4-2-2, 4-3-3。
われわれ観戦者はしばしば、そして指導者は頻繁にフォーメーションを数字の羅列で表記してきた。「単なる電話番号だ」とメノッティやグアルディオラは言う。確かに数字表記は、ゲーム開始時の布陣、選手のポジションを明確に表現して便利だ。だが、その表記はあくまでもある特定の時間を切り取った布陣だ。しかしフットボールはそもそも選手がゲームを通して流動的に動く、動的な
/ (スラント)~クライフの空間詩学~(2)
2. 現代サッカーにおける集散と空間とボールの軌跡
ブルデューは、現代建築の空間を、「外部化された内部」とみなし、社会的な空間は人の軌跡で表出されると言った。この言葉は、クライフ以降の現代フットボールの「空間」にもそのまま通用する。外部の空間を戦略的に使う事によって、内部化する-この戦略的な空間の使い方を観戦すること、これがサッカーの魅力のひとつではないか。
本論考での空間とは堅固な建築物で囲
/ (スラント)~クライフの空間詩学~ (1)
フットボールの脱=構築批評を目指して、表題の論考を書き進めたことがあった。2017年のことである。たかだか6年前のアウトプットではあるが、フットボールもさらに進化するなかでいくぶんノスタルジックになったこともあり、ここに掲載するものである。
臆面もなく当時作成した目次を以下に掲げるが、途中で放り投げたこともあり未完成であることはあらかじめおことわりしておく。
序章 1枚の写真から
1.マラ
一枚の写真から(2) ~思考実験を補完する一枚
League BBVA 2013/2014 - Game: 10.
2013-09-24: FC Barcelona vs R. Madrid: 2-1.
Messi vs Marcelo.
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筆者の過去の妄想「もしフットボールが∫|ψ(x)|2dx=1で表されたら」で指摘したサッカーにおけるボールの停止の場面
異常論文「境界を侵犯すること」
一頃日本のSFシーンで流行った「異常論文」というサブジャンルがあった。SFネタを論文形式で表現したものでその斬新さが読者にうけたものだが、筆者も自分の妄想を「異常論文」形式で表現してみようと試みたのが、下記「境界を侵犯すること」である。
サッカーの「オフサイド」と「オフサイド・トラップ」のガンマ関数を導出し、「サッカーのカバディ化」は自明となることを予想する、というたわけた論文である。論文で
SF短編「ウラジオストク・フット・スカッシュ」
迷走した試論「「もしフットボールが∫|ψ(x)|2dx=1で表されたら」であったが、この勝手な妄想をさらに進めて「プレーが止まらない(止められない)フットボール」の思考実験を試みたのが本作「ウラジオストク・フット・スカッシュ」である。
”未来のフットボール”をサイバーパンク風ノワールに仕上げたつもりだが「コネクテッド(Connected)」の要素はほとんどない。全体のイメージは昔のナイキのCM「