マガジンのカバー画像

務川慧悟さんnote

22
運営しているクリエイター

#音楽

身体性と思想性の連関について

スポーツマンは馬鹿か、という問いがその昔自分の中に湧き起こった時期があって、そしてそれへの答えは「明らかに否。」であった。

中学時代に憧れた同級生、この人は凄いと感じていた同級生は多くいたが、その中には運動に優れた人が沢山いて、そしてその人たちはどうやら身体の動きが機敏であるに見合った分だけ頭の回転も機敏だったのだ。まったく、頭良いなぁと思っていた。学校の通信簿が良いかどうかにはここでは因らず。

もっとみる
00:00 | 00:00

※試聴版です。オリジナル版(24:38)は購入後に視聴できます。

0:00 第1番 ハ長調
1:31 第2番 ハ短調
3:59 第3番 ニ長調
5:14 第4番 ニ短調
6:07 第5番 変ホ長調
7:41 第6番 ホ長調
10:58 第7番 ホ短調
13:10 第8番 ヘ長調
14:10 第9番 ヘ短調
16:36 第10番 ト長調
17:25 第11番 ト短調
18:39 第12番 イ長調
20:02 第13番 イ短調
21:28 第14番 変ロ長調
22:

もっとみる
インヴェンション配信に寄せて:バッハ演奏に対する僕の基本的スタンス(※専門的内容を多く含みます)

インヴェンション配信に寄せて:バッハ演奏に対する僕の基本的スタンス(※専門的内容を多く含みます)

小学生の頃、様々な作曲家の作品を器用に仕上げられるような子供では決してなかったけれど、バッハの作品はどうにか比較的心地よく弾けた。そして何人かの大人の方たちに「バッハが得意ね」と時々言われてしまったこともあって、いやそれが実際に上手だったのかはさておき、でもバッハが好きなことは確かで、だからその頃に「好きな作曲家は?」と訊かれれば反射的にバッハと答えることに"決めてしま"った。その答えは今に至るま

もっとみる

果てある人生と、音楽

人生には意味があるのか、否か。哲学の領域ではあまりにも頻繁に命題となる問いである。
高校生の頃、尊敬する哲学の先生の授業があって、その影響から、よくこの問いに関して思索に耽っていた。もちろん高校を出てからも折に触れてはその答えを、日常の中に、そして音楽の中に、探した。

僕の暫定的な答えは…と言うよりはあくまで1つの生き方のスタンスとしてであるが、人生には結局のところ実質的な意味などない、というも

もっとみる

弱き淵より世界を臨む

一週間前に風邪を引いた。一週間前に「も」風邪を引いた、と言った方がより正確かもしれないが。

僕は極端に身体の弱い人間だ。小学生の頃、月に1度ずつは熱で学校を休んでいたし、高校生の頃には3年で4度インフルエンザにかかった。パリに来たての頃には、その空気と水が余りにも自分に合わなくってそれこそ年がら年中寝込み、その度に、どうして僕ばかりがこんなにも弱い人間なんだろう、と自責した。

そんなこんなが余

もっとみる

飲み物から考察する「時間」

飲み物に幾度となく魅せられてきた。

フランスへ来て直ぐの頃にワインに魅せられ、その翌年「お茶をする」という日本語のたおやかな響きに何故だか突如ハッとなり紅茶にハマった。それからまた一年が経ち、イタリアで何気なく飲んだカプチーノがあまりに美味しくてコーヒーに取り憑かれた。他にも日頃、ちょっとした時間に好んで飲む飲み物もある。炭酸水や白湯。

これら「人類の飲用する液体物たち」の何が一体そんなにも魅

もっとみる

ピアニスト(2)

旅が好きだ。

移動の日には朝から心が浮き立つ。朝早い電車に乗るのだけれども、その前にピアノの練習なんてしちゃおうっかなあ、など、思ったりして、早起きが決して苦ではない(早起きが苦でないのなんて、むしろ移動の日くらいのものではなかろうか)。晴れていれば尚更。乗り物の窓から差し込む光は眩しく、練習室の狭さ暗さによって溜まった疲労を全て溶かしてくれる。
電車や飛行機というのは移動する景色窓で、普段の生

もっとみる

電子機器こわい

電子機器が兎にも角にも苦手である(その関係の仕事の方、いたらごめんなさい)。しかし、この事実についてより正確に考えてみたところ、僕が電子機器を嫌い、というのではなくて、どうやら電子機器の側が僕のことを嫌いなのだろう、という結論に至った。

というこの表現に、僕と同じ"電子機器苦手界隈"の方々の中にはピンと来る方もいるかもしれない。どういうことか。

即ちこのようなことだ。友達と数人でカフェに行く。

もっとみる

ピアニスト(1)

どこからどこまでがピアニスト、日々これこれしてあれをしているからピアニスト、などと、きっちり線引きをするのはなかなか難しいことであって、そしてそれは別段しなければならないことでもないように思うのですが、ともかく側から見ればひとまず僕は、間違いなくピアニストなのであろうとは思います。まず、他のことが何もできない。そして、ピアノをとても頻繁に弾いている。1日のうちで音楽に関連付いて生きる時間って、12

もっとみる