マガジンのカバー画像

素敵なコンテンツの集い

45
素敵な記事を勝手ながら集めさせていただきます! いつも心が揺れるような投稿をありがとうございます(´∀`*) 迷惑でしたらお手数ですがお声がけいただけると幸いです🙇‍♂️
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

月の季節3

子守唄

月の精霊が子守唄を歌う
柔らかい光の中に、美しいメロディを織り込んで
優しい調べが響く
静かな中に暖かな
悲しみも喜びもなんだって包み込む
聞いてみてよ、子守唄
美しい子守唄
子供はこてんと眠ってしまう
特別な月の子守唄

こどく

あなたはつかえないひと
おつきさまはみている
わたしはつかえないひと
みなもにうつるつきのよる
ぽたぽたゆれる揺れる水面が
ひとのこどくをうつしだす

すす

もっとみる
雪椿

雪椿

雪を載せた椿を見た途端
君を思い出した

冬になるとすぐに真っ赤になる頬
好んでつけていた赤い髪飾り
はしゃいで雪を掬った赤いミトン

君と繋げるモチーフが色々あるけれど

何よりも
この雪に似合う可憐さが
ひときわ僕に訴えかけてきたようで

あの街に残してきた君を思い出して
勝手に浸っている僕を許してほしい



その目は不思議に濡れて光っている。

誰かに呼ばれたような気がして振り返ったら誰もいない。それでも確かに呼ばれたという感覚が残っている時があります。

呼んだのは誰だったのか、走り去っていってしまったのか、隠れているのか、それとも私の記憶なのか。わかっているのは、振り返るといなくなるということだけです。

誰もいない場所をしばらく眺めて、また前に向き直るときの心もとなさは、あるくうちに薄らいで

もっとみる
静 霧一 『空の舞姫』

静 霧一 『空の舞姫』

「―――痛っ!」
 私は挫いた足首に顔を歪ませる。
 左足を使って恐る恐る床に座ると、私はテーピングで固定された細い足首を擦った。
 骨の奥を走る神経が、じんじんと鈍痛を発し、無言で私の心を殴りつける。

「危ないから、今日は隅で休んでいなさい」
 先生が私の背中をさすりながら優しく呼びかける。
 私はその優しい声に、自分の声を殺して涙を流した。

 バレエ教室の隅、鏡と壁の境界線に私は座り込む。

もっとみる
色々

色々

青と黄色を混ぜると緑になるだなんて
誰が思いついたんだろう
そのひとはきっと気張った日々に疲れて
癒やしを求めていたんだろう

僕が見ている世界の色と
君が見ている世界の色は
同じようで きっと違って
名前を与えた 不確かな言葉で

世界は色にあふれていて
愛するひとは光を放って
つまらない日々が色付いて
緑の中で微笑んだ優しいひとよ

すべての色を混ぜると黒になるだなんて
誰が思いついたんだろう

もっとみる
静 霧一 『水天一碧』

静 霧一 『水天一碧』

(序) 

 冷たい水の中に溺れてゆく。
 不思議と、苦しいとは感じなかった。
 むしろ「あぁ、私は溺れていくんだな」と、思えるほどであった。
 心許なく光っていた街頭の灯りがだんだんと薄くなっていく。
 私は静かに目を瞑り、「これでいいんだ」と細かな水泡となっていく命を吐き切った。

(一)

 水天一碧。
 空と海の境界線が溶けた世界に私は棲んでいた。
 たった一人、教室の隅の席で、私は佇んで

もっとみる