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展覧会レポ:ATELIER MUJI「"綴"-つづる展- Weaving the path of WONDER FULL LIFE」

【約3,200文字、写真約25枚】
無印良品 銀座の6階にある「ATELIER MUJI」に初めて行きました。その感想を書きます。

結論から言うと、小売企業が片手間で運営する展覧会なので、規模も内容も期待していませんでしたが、想定以上に見応えがありました。まだ一度も行ったことがない方は、銀座に行った際は是非寄るべき場所だと思いました。

展覧会名:「綴」-つづる展- Weaving the path of WONDER FULL LIFE
場所:ATELIER MUJI
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023年6月30日(金)ー2023年8月27日(日)
休館日:なし
住所:東京都中央区銀座3-3-5 無印良品 銀座 6F
アクセス:銀座駅から徒歩約5分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:約20分
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:全て可能
URL:https://atelier.muji.com/jp/exhibition/5705/


▶︎ アクセス

無印良品 銀座のオープンは2019年4月4日(ユニクロ tokyoは2020年6月19日)

無印良品 銀座へは、銀座店から徒歩約5分。ユニクロ TOKYOの真裏に位置しています。その6階に「ATELIER MUJI」があります。

▶︎ 「綴」-つづる展- Weaving the path of WONDER FULL LIFE

訪問のきっかけは、どなたかのnoteで「『small MUJI』展 -日用品のたのしみ方-」に関する記事をチラッと読んだ際に「そんなのあるんだ。次に銀座に行った時に余裕があったら寄ってみよう」と思ったことでした。

綴る展のメインビジュアル「TOTEM」

行ってみて、想定より全体的にちゃんとしていたことに驚きました。企業が片手間で行う展示ですから、小さなスペースにポンと置かれているだけを想像していました。しかし、展示物も多いし、チョイスも玄人寄りでした。

このような展示には、資金や人手もかかるし、会社の意思決定(様々な承認プロセス、それにかかる修正作業)も必要なため、(もし取引先に業務を丸投げしているとしても)小売が本業の無印良品にとっては大変そうです。

売り場面積を犠牲にしてまで、このような展示を行うということは、それだけのリターンがないと続けられません。ただ漫然と面白いものを展示するのではなく、ブランディングと集客のために展示物と無印のコンセプトを重ねる必要があるため、クリエイティブが要求されると思いました。

6階のフロアマップ(赤い丸は必要ですか?)

「WONDER FULL LIFE」のコンセプトは以下です。

金工、染織、陶芸、服飾、写真、音楽、言葉など、異なる分野で独自に活動するつくり手や表現者たちが出会い、これまでに見えなかったビジョンに気づきながら、繰り返し対話を重ね、感覚や衝動を形にしていく大脇千加子氏の創作プロジェクト(略)大脇氏が大切に受け継いだ素材のかけらとアーカイブ作品を紹介。

公式サイト

私がざっと展示を見た印象は、展示物のネイチャーや人の温もりなどが無印良品のコンセプトと共通しているな、と感じました。結果的に、無印良品が意図したところが何となく私にも伝わっていました。

無印良品が目指す「感じ良いくらし」を実現する一つのきっかけとして、本展の綴り視える新しい創造の形が、人と出会う喜びや集う愉しさ、関わることの大切さを再認識する機会になればと思います。

公式サイト
「ハンドアウトで各作品の解説をしています」と書かれているが、一般のお客さんは「ハンドアウト」の意味を知らないと思います

なお、(会場で配布しているハンドアウトに詳細が書いてありましたが)作品名や素材、アーティストなどを書いたキャプションが実際の作品に付されていないため、それぞれの作品は何のために作ったのか、伝統品をただ持ってきただけのか、この展覧会のために作ったアート作品なのか、要は「展示物が一体何なのか」が一見するだけではよく分かりませんでした。

壁面にもフワッとした文章しか書かれていないため、より具体的な内容を作品の近くに書いた方が、主催者の意図が観覧者に深く理解されるのではないでしょうか。無印良品はボランティアで「ATELIER MUJI」をやっている訳ではないですから、もう少しダイレクトに作品の意図がわかる工夫と、それをブランドコンセプトに紐づける工夫の両方があった方が良いと思いました。

「祝祭 -Relighten-」。ミナペルホネンが2014年から2020年のコレクションのために作られた毛糸

中には、ミナペルホネンから素材提供もありました。無印良品とミナペルホネンは仲が良いのでしょうか?ミナペルホネンのような1点主義のブランドと、大量生産の無印良品は考え方が違うため、ミナペルホネンに無印良品などのブランドから依頼があっても拒否するのかな?と思っていました。

以下、主な作品の写真です。

「TOTEM」
「COUNTERPOINT」
「COUNTERPOINT」
「BRICOLAGE」
「うみまとう」
「うみまとう」
gallery2の「MATERIAL PIECE」

gallery2付近には係員の方が1名配置されていました。鑑賞する人に丁寧に説明されていて、お客さんはそれを熱心に聞いていました。

「FLOWER WASTE」
「TALISMAN」
「TALISMAN」
「EARTH WORK」
「NATURE DYE」

▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?企業が運営するギャラリーとして、ブランディングといかに紐づけるかなど、勉強になる気付きがいくつかありました。なお、展示自体は興味深かったものの、もう少し展示物についての説明がフロアに掲示されていると理解がスムーズだと思いました。

▶︎ おまけ

▶︎ 6階フロアの様子

MUJI HOTELのレセプションは6階

ATELIER MUJIの立地は6階であまり良くないものの、お客さんはひっきりなしに来ている印象でした。6階にはホテルの入り口もあるし、バーカウンター「Salon」もあるためでしょうか。

「Salon」。コーヒーなどは600円から戴ける(割と良心的)。一人で来た時は読書するにはちょうどいい

また、6階にはライブラリーとして、様々な書籍が置かれていて自由に読むことができます。子供用の絵本もありました(本棚は撮影不可)。

「Salon」やライブラリー付近の雰囲気が良いため、銀座でちょっと疲れた時の休憩スペースとしては穴場だと思いました。

▶︎ 最近、無印の売り場で感じること

売り場全体にユニクロらしさを感じる

近年、無印良品の売り場がユニクロに似てきたと感じます。良品計画は2021年9月を「第二創業」と位置づけて事業構造改革を進めています。その中で「無印良品が異例の「大量採用」に踏み切る舞台裏」と記事にあるように良品計画は採用を強化中です。さらに「無印良品でユニクロ出身社員が〝役員ヅラ〟」という記事にあるように、ユニクロからも多くの転職者がいるようです。その結果、無印良品の売り場がユニクロ化してきたのかなと思います。

良品計画の2023年8月期第3四半期決算は、21年8月期の第4四半期以来、7四半期ぶりの増益となり、その回復ペースが早かったことで株式市場から好感されました

無印良品は「訳あって安い」から始まった西友のプライベートブランドです。売り場がユニクロ化したり、値上げが続いて「訳あって安い」訳でもない。家具を買うならニトリへ、服を買うならユニクロのような専門店に行きます。お客さまにとって、無印良品の真の価値はどこにあるのか?私にはまだ無印良品の将来を楽観的に見通せません。

メイン什器もユニクロっぽい
POPもユニクロっぽい

▶︎ 今日の美術館飯

シェイクシャック 東京国際フォーラム (東京都/有楽町駅) - ShackBurger (¥979)、Fries (¥374)

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