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恋というやさしいエゴ。

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ななびのトークだけを、まとめて読めるマガジンをつくりました。さらっと私のことが知りたい場合の流し読みに、大変便利です。
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#エッセイ

生後一年半弱で、ことばを話しはじめるわたしたちは、

大人になると、自分が魔法使いだったことすら忘れてしまう。

ことばは人をそだて、人を傷つけ、それから人をしあわせにもする。

とてつもなく巨大なちからだ。

だけどこわがる必要はない。

本当に唱えたい魔法は、きっとえらべる。

置かれた場所で咲きなさい。

それを聞いたとき、子供ながらにおもいました。

私はカゴの中の鳥なのだなあーと。

でも大人になったいま、

私のこころがさけぶのです。

咲くことにかわりはないけれど、

置かれる場所をえらぶことはできる。

私は花でも鳥でも風月でもないのだから。

誰かが私のためだけに作ってくれた。

そういう夕飯が食べたい。

カップラーメンをすすると、おなかがすく。

どうしてだろう?と思っていたけれど、ようやく分かった。

時間効率じゃないの。

どれくらい手間暇掛かったか、あなたのことを考えたか。

愛情とは、時間の密度なのですね。

あなたの文章が、"スキ"です。

たくさんの皆さんのそれが

私には

"Welcome to the World."

と、きこえてしまいました。

ある日突然文章が書けなくなり、しばらくつらい想いをしていた数年前。

見かねて、先生は言いました。

『何を書くか』より、『誰に伝えたいか』。

自分を吐露するよりも先に、考えるべきことですよ。

それからいつも、私は足りないあたまをつかいます。

想像します、文章の向こう岸を。

つたえたい想いがあります。

想像し、苦悩し

けしてはまた書き、繰り返し。

私にとっての文章とは、そういう存在でした。

ついさいきん

「読んでると、話を聴いてくれてるようだ」と

目の前で友人に泣かれ

書くことであなたの話も聴けたらな、と

いま、言葉をならべています。

旅行というのは、おきゃくさんでいられる自由がゆるされる時間です。

住むというのは、じぶんで生きていく、と決めることでしょう。

話をすれば、その人がほんとうに外国に住んでいたかどうか、

すぐ、わかります。

「将来のゆめはなあに?」

と幼いころに訊かれたことをおぼえています。

なぜだか、その問いにしっくりこなかったことも。

数ある『しごと』という選択肢のなかに、

『わたし』は入っていなかった。

そのとき感じた、胸のもやもや。

わたしはけっして、忘れるものですか。