モンゴルの空。次女の誕生日サプライズ!!
旅のハイライトは3日目。
奇跡のような旅だった。
2日目の半日乗馬を終えると、突然スコールが降りだしたのだ。乗馬中に雨が降らなくて本当に良かった。雨が降ったことで乾燥していた大地を潤し大平原に虹がかかった。
しかも、早朝を予定していた熱気球が、天候不順により夕方に変更になったのだ。実は密かに夕陽を見る熱気球に乗りたいと思っていた。世界70ヵ国を旅して熱気球に乗ったのはアメリカ・LA郊外、オーストラリア・アリススプリングス郊外、トルコ・カッパドキア、元旦のタンザニア・セレンゲティ国立公園の初日の出・・・すべて朝日を見る熱気球だったから。今回モンゴルで初めて夕陽を見る熱気球に乗ることができた。
3日目は朝から1日乗馬するグループと夕方から半日乗馬するグループに分かれた。夏のモンゴルは21時半くらいまで明るい。この日はいつもより暑くて馬も疲れている様子だった。体力を消耗したように見えた50代のグランさん(岩宮 久代)が前日に「明日は私も1日乗馬します!」と決意表明して驚いた。当日トイレ休憩のためにリバーサイドキャンプに戻ろうとした時、「無理をしないで、そのまま休んでもかまいませんよ」と「ツアコン」しまさん(高嶋達也)の伝言をワッキー(脇本雄樹)が馬を走らせてグランさんと娘たちに伝えた。
「かなり疲れている様子だったから、もう来ないな」そう思っていたら、グランさんと娘たちが合流してきた。思わず感動で涙が溢れた。容赦ない日差しと乗馬で疲れてクタクタなはずなのに、「私は後悔しない人生を歩みます!」って声が聞こえたように思ったからだ。25年前の20代に旅をしなかった後悔からの「今・ココに生きる!」彼女の強い意志を感じたから。以前noteに綴った娘たちの背中を押した「Iさん」はグランさんなのだ。
グランさんのFacebookから抜粋したい。七海が高校受験の直前に亡くなったママ。そんな空虚感を埋めるようにグランさんは娘たちと接してくれた。感謝しかない。
夕食時、24歳の誕生日を迎えた次女・七海(なつみ)の「ツアコン」しまさんの仕掛けたサプライズ。別のグループのモンゴル人とうちのグループを引率するモンゴル人が誕生日の歌のプレゼント。歌詞はわからなくても、しんみりと優しく温かい音色に次女は涙。それを見た俺も涙した。
思えば七海は生死を彷徨った2回の入院があった。53kgあった体重が39kgになって入院するも、体重は増えず2回目の入院では30.9kgになってしまった。31.9kgになった時、七海から「1kgも増えちゃった」と落ち込む電話があった時、希望が絶望に変わった。拒食症で亡くなった妻は29kgで壮絶な死を迎えて亡くなったのだ。娘から、あの電話があった時、隣に今は妻となった美香の精神的な支えがなければ、俺はどうなっていたのか・・・あの絶望の日々があったからこそ、娘も俺も「生きてて良かった!」と素直に思えた。
そして、羊一頭買いをした男前なQちゃん(石田久二)が伝統料理「ホルホグ」をサプライズ・プレゼントしてくれた。
そして夕食後は、何人もの隊員の夢だった熱気球。地上800mの最高地点で、しまさんがリバーサイドキャンプ・オーナー久子さん(小山久子)に頼んで用意してもらったシャンパンを開けてサプライズ。
妻の美香、4歳の長男・颯馬(ふうま)と参加者全員で書いたバースデーカードを長女・未空(みく)から手渡した。
グランさんの提案で俺はTシャツを用意した。「今の気持ちを忘れないように地上に降りたらTシャツに手書きして!その後、みんなで装飾するから」七海の泣き笑いした顔を見たら、亡くなった妻を思い出した。トルコのカッパドキアで気球に乗った時の妻の笑顔が七海とそっくりだったから。
そして、俺たち夫婦の人生を変えた旅、多国籍ツアー「トレックアメリカ」を思い出した。トレックアメリカと出合ってなければ俺は起業してないから、「地球探検隊」も「大人の修学旅行」も生まれていない。唯一無二の旅、「大人の修学旅行」のベースにあるのは、トレックアメリカツアーなのだ。妻とトレックアメリカツアーに参加していなければ娘たちも生まれていない。旅に参加してから、不妊治療をはじめ何事にも前向きに取り組むようになったし、1日3食食べて生活のリズムが安定し、妻の日常が変わったからだと思っている。
「私なんて・・・」が口癖だった妻の行動が変わった旅のエピソードを2つ紹介したい。オプションだったMTB(マウンテンバイク)に「体力ないし、やったことないけどやってみたい。完走したい」と、この旅で初めて自ら「やる!」と言い出した妻。安全策として最後尾についているはずのワゴン車が到着した。「途中であきらめたんだな」とドアを開けると妻が乗っていない。「妻はどうした?」とドライバーに聞くと「She is coming!」って、ゴールから真っ直ぐに伸びる一本道に妻の姿がない。「途中怪我でもしてチャリに乗れないんじゃないか」一瞬、迎えに行こうとしたが、グッとこらえた。「俺が行ったら『完走する!』と決めた妻の意志を無駄にしてしまう。妻を信じて見守ろう」と思ったのだ。しばらくメンバーと待っているとヨロヨロとチャリに乗る妻の姿が見えた。「えっーこんな長い時間、私を待ってたの?待たせてゴメンナサイ」と何度もペコリ、ペコリと頭を下げて近づいて来た。そこへメンバーがゴール地点に2列に並んだ。妻がゴールすると割れんばかりのメンバーからの祝福の拍手が続いた。そして最年長のアイルランド人の女性が涙ぐんで妻にハグして「i'm proud of you(私はあなたを誇りに思います)。これには参った。妻は親指を立てて笑顔と涙でぐしゃぐしゃになった。この「一瞬の歓喜」のために、この旅に参加したのかと思えるほどだった。
そして迎えた最終日のラスベガス。オプションのスカイダイビングを希望したのは、2日目からトレッキングが苦手で「もう帰る!」と言っていたスウェーデン人の女性と妻だった。この旅で最も消極的だった2人が手を挙げたのだ。ダイビングを終えると泣きながら、みんなに近づく妻。「Are you OK?!」再び親指を立てて「 I am ok.exciting!」と一言。やったものでしか味わえない感情がそこにあった。妻は3,000m上空でしか見られない夕陽を見られたことに感動していたのだ。再びみんなが妻に駆け寄りハグしてチャレンジを称えた。
感動は人生を変える。だから旅はいい。モンゴルで初めて見た気球からの夕陽に、こんな「永遠の一瞬」を思い出したのだ。
「食べる食べない」で喧嘩ばかりしていた結婚生活22年間。「そんなに食べなかったら死んじゃうよ!」が現実になってしまった8年前。そんな妻とも幸せな美しい思い出がたくさんあった。「拒食症にもかかわらず娘たちを生んで、こんなにもいい子に育ててくれてありがとう」と思ったら、感謝の気持ちが溢れて涙と一緒に鼻水が出てきた。こんなにも感動して泣いた旅はない。年取って涙腺緩んだかな。
地上に降りるとシャンパンで乾杯して参加者みんなでTシャツに装飾スタンプを押してお祝い撮影タイム。参加者みんなの協力のおかげで娘に素敵なサプライズができた。七海は終始笑顔だった。
「ママっ子」だった次女・七海。どうしても亡くなった妻と七海が被ってしまう。それでも、思い出してほしい。初めてカヌー(リバーカヤック)に挑戦した「大人の修学旅行」四万十川カヌー親子旅。小4だった七海が放った一言。
「パパ、人生はチャレンジだよね」。
「パパの背中を見て、そう思ってくれたんだね」ってメッチャ嬉しかった。
これからの人生、「やるかやらないか」選択に迫られる場面はたくさんあると思う。失敗してもいい。他人から何と言われてもいい。言わせたいヤツには言わせておけ。何度失敗したって、いくつになっても人生はやり直せるから。
「自分が選んだことが正しかったんだ」と思えるように日々努力を続けてほしい。結果、失敗しても、やり切ったら、自分のことが好きになるから。
七海は拒食症だった妻から生まれた奇跡の子。だから、パパに一生分の親孝行をしている。24歳の誕生日、パパは一生忘れないよ。
「パパとママを選んで生まれて来てくれてありがとう!七海」。
モンゴルの旅2024 関連note記事
全く更新してなくて放置状態だった地球探検隊公式インスタにも妻の美香がリール動画をアップしてくれている。
noteの♡「スキ」とフォローに毎回元気をもらってます。noteの♡「スキ」マークはnoteにアカウントが無い人も押せるので、「いいね」と思った記事に、♡を押してもらえると嬉しいです。♡のリアクション、フォローが励みで書く原動力です!よろしくお願いします。