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SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話③1000人との[共創]開始

 僕が趣味の洗車を通じて1000人を超える仲間と、[理想の洗車ワックス]を製品化した話の3回目です。

 2回目までは、洗車に嵌った僕が、日本製の洗車用品は「イマイチ」な性能に落ち着いてしまいがちな理由に気づき、よりよい洗車用品を求めて海外を含む情報を求め、SNSで裏アカウントを立ち上げて1000人ほどの仲間を得たところまでを書きました。



「最高」を求める欲求は抑えきれない

 これは洗車に限らない話だと思いますが、みんな、ある程度は気に入る製品はいくつかあるんです。僕にもありました。

 でも、何か新しいものが出たらそれも使ってみたくなる。

 「もしかしたら、新製品の方がもっとクルマがキレイになるかも」、「ピカピカになって驚くかも」。新商品、自分の知らなかった商品を使うことで、感動体験が得られるかもしれない……。

 そんな「心地よい体験」を求めて、つい新商品を買ってしまう。

 そして「これ買ってみました!」「買った人、どうでしたか?」といったふうに、交流していくことになります。

 それは、別の価値観の人からすれば「無駄使い」かもしれないし、「浪費」と言われるかもしれません。

 でも人間の「最高」を求める欲求は、強くて抑えきれないのです。

 そんな感じで、仲間たちとやり取りしていったわけですが、「結局、僕たち何だったら満足するんでしょうね。もうこれ以上買わなくていいって思うもの、ありますか?」と聞くと、全員「ない」という答えです。

 「自分の理想を求めると、ちょっと違う」「これ、いいんだけど、ほかにまだ、いいのがあるんじゃないか」とかとなる。

 どうしてもそんな風になっちゃうのですよね。


「探すのはもうやめて、みんなで作ってみようか」

 放浪の旅、というか、理想の洗車用品を求めてもう三千里……。

 そのには、「数百万円使っちゃいました」、「車1台買えましたね~」、みたいな人が多くいました。

 そこで、「そういうことだったら、探し歩く『放浪の旅』のはやめて、みんなで理想と思える洗車用品を考えて、作ってみたらいいんじゃないの?」と呼びかけてみました。

 すると「たしかに、それを作ったらなんかこの放浪の旅が終わるような気がする、ぜひやってみたい!」という話でTwitterは大いに盛り上がりました。

 そこから「コミュニティメンバーによる、理想の洗車ワックス作り」がスタートしたのです。


いわゆる「共創」のスタート

 このときのコミュニティの状況は、フォロワー約1000人、そのうち発言するアクティブユーザーは約500人くらいだったと記憶しています。今振り返れば、共に創る、いわゆる「共創」のスタートですね。

 後でまた語っていきますが、僕は、数年前まで小売業とは無縁の世界にいました。総合商社とか、ECベンチャーだとか、コンサルティング業界とか。

 でも、転職して小売業の経営者になって間もなく、世間一般のモノの売り方の手順とかプロセスって、逆なんじゃないの? と疑問に思うようになったのです。

消費の主体、MZ世代

 モノの買い方として、多分、産業革命から現在に至るまで、売り手が、売りたいものを製造したり、仕入れたりして、それを店先に並べたり、宣伝広告して売る、というのが一般的です。

 つまり、売り手側に「売りたいモノ」がまずあって、それをどのようにして、買い手、すなわち、消費者に買ってもらうかを考えて売るが主流です。つまりこれは、「売り手論理」でのモノの売り方ともいえるでしょう。

 確かに、人々がモノに満たされてない時代、高度成長期~2010年ぐらいまではそれでよかった気がします。

 でも今は、モノにあふれた時代。

 その中でも次世代の消費者、いわゆる10代~30代前半のMZ世代(1980~1995年に生まれたミレニアル世代と、1996~2015年までに生まれたZ世代の2世代)は、生まれた時には、ネットに常時接続されていいて、家電も車も、生活に必要なモノは、ほぼすべて家にある、そんな中で幼少期を育ってきたのです。

「意味性のあるモノ」とは

 ここで、「モノ」を分解すれば、

①生活必需品に代表される、なるべく効率よく、安く、買いたいと思うような「効率性」のモノ

②生きていくには必要ないけど、人生の楽しみのために自分にとって価値あるものを買いたいと思うような「意味性」のモノ

 に、大きく二分されます。

 僕は、大手小売業の経営者に転職して「意味性」のあるモノを売っているのですが、こうした「意味性」あるモノへのMZ世代のこだわりは相当なものです。

 納得したモノしか買わない、信用できる人の勧めるモノしか買わない、という人が非常に多い世代です。

「売り手主導」への問題意識

 こうしたこだわりのある人を相手にモノを売っていくのに、いつまで「売り手の論理」」、「売り手主導」でいくのだろうか?という疑問が常にありました。

 「そもそも『モノ売り』そのものの概念や発想が違うのではないか?」という違和感は、消費者のころからありましたが、小売流通ビジネスの企業の経営に参画することになり、していけばいくほど、違和感はますます強くなっています。

 社内で、「買い手主導の買い物を実現しないといけないですよね」と呼び掛けても、「ん?」という反応が返るばかり。そりゃ、そうですよね。今までそんな論理の中でモノを売ってこなかったわけですから…。

 でも、このままではいけない。このようんな売り方をしていては、いつか買い手から相手にされなくなってしまう、という思いが、僕の中で、日に日に強くなってきていたのです。


仕事の課題を「趣味」領域で検証することに

 「買い手主導の買い物」、つまり、買い手が自らが欲しいモノを、楽しみながら買える、あるいは、先の洗車のワックスのように、欲しいモノを具体化して、それを作って手に入れる。

 つまり、「作ることそのものに参加して、自分が本当に欲しいモノを手に入れていく」、そうしたモノの買い方は実現できないのだろうか? ということは、小売業に身においてから今に至るまで、僕の中での大きなビジネス課題でした。

 そして、それが実現できるのか、どうしたら検証できるのだろうか?とも思っていました。その検証作業を、僕は期せずしてTwitter「洗車太郎」とそのコミュニティで実現していくことになるのです。

SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話
①   愛せる洗車用品が見つからない理由
②    Twitterに仲間が集まってきた
③    1000人との「共創」開始
④    Web3で「平等な意思決定」
⑤    AI駆使、韓国企業に発注
⑥    まさかの仕事依頼
⑦  [共創]を通じての気づき-買い手主体のモノの買い方-


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