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思想・概念

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【メモ 書きかけ】『行動の構造』メルロ=ポンティ[木田訳]

序文  両義性の哲学

ハイデガーという心身の二元論、即自と対自という[世界-内-存在]では説明できない、人間の在り方があるという。ハイデガーの論だと、先に"気分"というのがあるから、ある事象について「嫌だ」とか「嬉しい」とか思うのだと。しかし、メルロ=ポンティ曰く、サルトルの言うように、「痛い」というのは意識を超えて直感的に、形而上学的に存在するのではないかという。
〈意識〉と〈認識〉との同一視

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ジュリア・クリステヴァ著『ボーヴォワール』を読んで

ジュリア・クリステヴァ著『ボーヴォワール』を読んで

「ボーヴォワール」

「女性の存在(être)幸福の現代的な意味であるところの自由という観点からの個人的な可能性に、いかにして女の条件を超えて到達できるのか」p.25

 社会的に作られた形での幸福とされる価値体系を乗り越えて自由になるにはどうするべきか、拠り所がない個人が確固たる信念によって自己のみをよりどころとして幸福を追求するはある意味で孤独である。ボーヴォワールという人は恐らくその孤高で自

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濫費・消尽

濫費・消尽

「バタイユは、論文「濫費の概念」(1933)の中で、近代社会について「物の生産・保存と人間生命の再生産〔生殖〕・維持という二つの主要な活動領域をもつ、功利的社会であると述べる(Bataille 1985:116)。消費は、このような特質に適合するためには、自己保存的でなければならず、過剰であってはならない。ところが、バタイユら消費の二つのカテゴリーを区別する。個人の生産的生活を継続するのに必要な最

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近代社会

近代社会

バタイユは、論文「濫費の概念」(1933)の中で、近代社会の特徴を次のように述べている。

※ 功利主義(utilitarianism)とは、行為や制度の正しさは、その結果として生じる効用(功利、有用性)によって決定されるとする立場である。

 引用文献
Bataille,Georges(1985)Visions of Excess: Selected Writings,1927-1939,tra

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マルクス主義 marxism

マルクス主義 marxism

「カール・マルクス(1818-1883)とフリードリッヒ・エンゲルス(1820-1895)は、1848年に『共産党宣言』を発表し、その冒頭で「これまで存在したあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」と断言した。二人は多くの重要な著作を執筆したが、マルクス主義と呼ばれる政治運動を支える役割を果たしたのは、マルクスの『資本論』(全3巻のうち第1巻は1867年刊)だった。マルクス主義の理論は、経済が階

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ガジェット gadget

ガジェット gadget

ボードリヤールの解説を引用する。英訳は、ギズモ(gizmo)。

引用
ジャン・ボードリヤール(訳:今村仁司・塚原 史)2015『消費社会の神話と構造』紀伊國屋書店

ポストモダン

ポストモダン

ヘーゲルの理想国家や絶対精神、弁証法などにはじまる西洋近代主義的な思想は、人間は反省的に成長することによって、更なる高次へ至ることができ、進歩することができると言った肯定的なものだった。
しかし、20世紀末期から21世紀現在に至り、絶対的なものはなく、集団の文化や伝統に規定されたルール、枠組みでしかないという、これまで心の支えであった理想が取り払われ、近代的な価値観や物事を批判的に乗り越えようとい

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構造主義 structuralism

構造主義 structuralism

アンソニー・ギデンズは、著書『社会学』(1999)の中で、構造主義を次のように定義している。

リチャード・J・レインの著書『ジャン・ボードリヤール』において構造主義の詳しい解説がなされているので引用する。

コメント
 構造主義のキーワードはシステム。そして意味の恣意性だ。システムは全てを準備することから決定論とも結びつきが強い。革命史家のオーラールが、革命は全てが準備されていると述べたことはあ

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唯物史観

materialist conception of history

マルクスが展開した見方で、その見方によれば「物質的」ないし経済的要因が、歴史的変動を規定するうえで最重要な役割を演ずるとされている(ギデンズ1999)。

アンソニー・ギデンズ1999『社会学』而立書房

ポンペイ前提 Pompeii premise

ポンペイ前提とは、考古資料(遺跡や遺物など)が、過去に機能していた状態をすべてとどめている、とする素朴な考え方をいう(Schiffer 1985)。

系 system

系 system

自然科学における系とは、自然界のうちで考察の対象としている部分をいう(土井2005)。分野や考察の内容に応じて力学系、生態系、太陽系、実験系などというように用いられる。考察の対象とされない部分は外界として区別される。これは外界が系に比べて非常に大きく、外界が系に影響を及ぼして系の状態の変化を引き起こすことがあっても、系が外界に及ぼす影響は無視できるとする仮定の下に考察の対象から外される。また、観測

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理論

theory

規則的に観察できる事象を説明するために、その事象の一般的特性を同定しようとする試み(ギデンズ1999)。
理論の構築は、科学研究にとって不可欠であるが、理論はまた、その理論に助長されて生まれる研究結果によっても強い影響を受けていく(ギデンズ1999)。

アンソニー・ギデンズ1999『社会学』而立書房

文化

culture

所与の集団に特徴的な価値や規範、有形物(ギデンズ1999)。

アンソニー・ギデンズ1999『社会学』而立書房

sex

男性と女性を分ける解剖学的差異(ギデンズ1999)。
社会学者は、多くの場合、性とジェンダーとを対比させ、性は身体の肉体的特徴であるのにたいし、ジェンダーは、社会的に学習された行動形態に関係している、と考えている(ギデンズ1999)。

アンソニー・ギデンズ1999『社会学』而立書房