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構造主義 structuralism

アンソニー・ギデンズは、著書『社会学』(1999)の中で、構造主義を次のように定義している。

社会システムや文化システムの構造を特定することに関心を寄せる理論的取り組み方
ギデンズ(1999)

リチャード・J・レインの著書『ジャン・ボードリヤール』において構造主義の詳しい解説がなされているので引用する。

フェルナン・ド・ソシュール(1857-1913)の〔言語〕理論への特別な関心から生まれた知的運動。彼はジュネーブ大学での連続講義で多くの重要な学説を発表したが、その講義は『一般言語学講義』として死後出版された(1916、英訳は1971)。ソシュールは、〔言語〕記号は記号表現(シニフィアン)(「聴覚映像」)と記号内容(シニフィエ)(「概念」)から構成されると述べた。しかし、彼の主張の重要な点は、記号は世界の事物の代わりをするのではなくて・・・省略・・・世界の事物との結びつきは恣意的であるということである。それは、記号が記号のシステムの一部として機能し、私たちにとって作用しているということを意味している。システムは意味を発生させ、あるいは「作り出す」が、意味の生成は差異をつうじてなされる。・・・省略・・・構造主義者たちは、記号システムが作動するやり方に関心を抱いている。・・・省略・・・構造主義者たちは、通常記号そのものの「記号論的」レベルを超えて先に進み、そのような〔記号の〕システムが、イデオロギーや哲学といったその他の諸問題との関連で、どのように世界の中で機能しているのかについて考えようとする。また、構造主義的アプローチを、もろもろのシステムへの普遍的関心、あるいは、文化的人工物やイヴェントや文化理論をシステムとして認識する方法として受け取ることも可能だ。
リチャード(2006:32-33)

コメント
 構造主義のキーワードはシステム。そして意味の恣意性だ。システムは全てを準備することから決定論とも結びつきが強い。革命史家のオーラールが、革命は全てが準備されていると述べたことはあまりにも有名だが、これも構造主義的解釈ということだろう。デリダ、フーコー、ラカンらポスト構造主義の思想家たちは、これらシステムの発見が世界に及ぼした影響を検討する。彼らは緩やかな意味でポスト構造主義者と呼ばれている。

引用文献
・リチャード・J・レイン〔訳:塚原 史〕2006『ジャン・ボードリヤール』青土社
・アンソニー・ギデンズ1999『社会学』而立書房

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