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花火と場所 祭は日々の中にある

夜空にドンっと打ちあがったときにあなたの居る場所はどこだろうわたしの居る場所はどこだろう。
 
花火のシーズン、祭りのシーズンである。
今日は淀川花火だ。
正式名称はなにわ淀川花火大会。
大阪で開催される花火大会の中でも結構ビッグかつ皆が注目するやつである。
そう遠くはない地域に住む者にとっては
「見に行きます?」なんて挨拶がわりになったりもする。
昨年チャリを走らせてちょっとええスポットを見つけたので今年も狙っていた。
だがどうも今年はばたばたしていて見られそうにない。
だんじりだの花火だの盆踊りなどとなると血が騒ぐ人間はうずうずしている。
 
先日ヘアサロンに行ったとき行けたときにも話題になった。
昨年のこの日退勤し自転車を走らせていた店長は、
花火を観終わって帰宅する人の波に呑まれてしまったらしい。
「花火終わってから結構時間経ってたんすよ。22時とか過ぎてたんちゃうかな。
でもあのあたりの駅まわりとか人いっぱいでしたよ。
今年どないしよかなあー。はよ帰れるかなー」
そんな悩みを聴いていて思い出した。
会場となる十三駅近くに今は閉店したが仲良くして下さっていたステーキ屋さんがあって、
淀川花火の日は店を閉めていたことをだ。
「おっちゃん、二階開放して花火見せてや」「あかん」
「なんで」「その日は休む」「商売っ気ないな」
「商売っ気より命を守る」「大袈裟やなー」
「俺の店みたいのんはあけてたって祭り帰りの人は来ん!」
元ホテルの料理人からのこの地に店を構えた彼は頑なだった。
「あんなん行くやつらあほやで(笑)」
「いや、行きたいねんて。行きたい人は行きたいねやからええやん。わたしも見たい」
「あほや」
祭なのだ。あほになるのだ。あほになりに行くのだ。
でもそんな日も普段通りの生活をしているひとも居る。
まさにケとハレ。祭は日々の中にある。
 
ヘアサロンの兄ちゃんとは更に話が広がった。
「スカイビルやったかな。梅田の。あっからも見れるっていうかそういうプランがあるらしいっすよ」
「空中庭園んとこ? 何年行ってへんからわからんけど」
「そうっすそうっす。あこからやったらめっちゃ綺麗に見えそうっすよね」
「なんかどっかのホテルから見るっていうんもなかったっけ」
「ウエスティンやったかな。たぶんそうやったはず」
「ウエスティンかー。貴族ですね」
「貴族て(笑)」
「だって下にはめっちゃ暑い中外で現地でみてるひとらが居る訳やないですか。
 それを上から涼しいところで見てる」
「確かに(笑) どんだけ高かったとしても出す人は出すんでしょうね」
「ね。ぜったいおると思う」
この場合の高いは場所じゃなく、値段の話、値段と場所。
 
といういつもながらしょうもない会話をした帰り道に思い出したのは、ポン・ジュノの『スノー・ピアサー』だった。
列車、その〝永久機関列車〟は階級と格差の列車で、前方車内には富裕層が優雅に乗っていて、最後尾にはそうでない人たちがひしめき合っているひしめき合わされている。
ドラマ『アンナチュラル』も頭に浮かんだ。
大好きでいまだになんども観るその作品、
労働と生活と尊厳とを考えさせられる4話『誰がために働く』では皆大好き米津玄師の『Lemon』がぞっとする完璧なタイミングとシーンで流れる花火が打ちあがるそして日々は続く。

 

なにはともあれ、行かれる人、暑さに気を付けて楽しんでね。
淀川花火も、他の各地の花火大会やいろんなイベントや、
日々の暑さも、楽しんで、気を付けましょね。お互い、皆ね。
 

昨年は結構きれいに撮れたので貼るだんじりも貼るついでに過去の祭ネタも貼る笑 


花火大会が話題となると同じく話題になる浴衣や着物について。
いつからかこれもSNSからか広まった〝着物警察〟はわたしのまわりにも多い(笑)
個人的には「別にええやん」「好きに楽しく着たらええんちゃうん」
「楽しそうやねんし嬉しそうやねんし」
少なくとも「楽しんでる人にヨコから遠くから水を差すようなこと言うたりせんでええやん大きなお世話やん」
そりゃ「変やなあ」とか「おいおいおい」とか思いはするが(笑)
でも苦しくなくあぶなくなく着て着られて楽しんだら、ええやん。いろんなきっかけにもなるし。でもでも転んだりはしないように気を付けてー。



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【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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