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踊 丁々発止皆必死

大衆芸能、のようなものに興味を持ってきたなぜかずっと。
古いもの受け継がれているもの、歌舞音曲、
土地土地のそれら、物語とリズム、気持ち。
だから旅芝居・大衆演劇をおもしろく思ったのもあるかもしれない。
逆に旅芝居・大衆演劇をおもしろく思うから、
それらをより深く思えるようになったのかもしれない。
 
旅芝居を観始めてびっくりしたのは和装で踊るJ-POPだった。
正直に言う。寒気がした。
初の際に観たのはドリカムやと島谷ひとみでの女形と、立ち姿での近藤房之助 & 織田哲郎の『BOMBER GIRL』。
ぎらぎらなのにぺらぺらした衣裳やカラフルな鬘が意味不明だった。
「なんやこのチョコレートの包み紙みたいな恰好と駄菓子みたいな頭」
しかも「ぜんぜん踊ってへんし、そもそも踊れるリズムの曲ちゃうし」
手踊りすら通り越して決めポーズと客席へのアピールと、表情表情。
寒気すれすれの鳥肌と共に、でも、「おもしろい……」と思った。
しかもそれに年末の真っ昼間に詰めかけたお客さんが熱狂している。
チップ(概念)をどんどんお渡ししたり差し込んだりして行く。
なんやこれは。なんやここは。
皆めっちゃええ表情(かお)、超祝祭ハッピー空間。
更に、また、超寒気と鳥肌な光景に出会う。
B’zの『ウルトラソウル』で若武者のような恰好をして踊る役者、
そこに完璧な掛け声のタイミングで客席が揃って彼の名を叫ぶという光景だ。
なんやこれ。なんやここ。すごいぞ。
寒気と何かがないまぜの鳥肌が立った。
 
きもちわるいの極みみたいなものにも出会ってゆくこととなる。
アピールそのものな選曲で色気を送ってくるようなやつ。
愛だの恋だの時にエロだのもストレートに歌詞にした曲に合わせ、
踊るというより曲に沿ってアピールをしてゆく。
それら「おいしい曲」は旅芝居の舞踊におけるどの劇団でも使われる
「テッパン曲」として共有されていることも知っていく。きもちわるいぞ。
でも客席はうっとり、曲や演者の体にキャーキャー、気持ちや声が重なる。
 
嫌いやけど。きもちわるいけれど。
体が拒否反応すれすれになることも少なくないけれど。
でもそれでも毎回心待ちにもする・している。
「ちゃんとした格好で、ちゃんと曲を大事に踊る」がいい、見たい。
止め、ハネ、払い、所作がしっかりしていて、
体幹がしっかりしていて、
それで曲をちゃんと大切にしていて(絶対だいじ)、
そんな舞踊やそれをするひと出来るひとに出会うと、
見た目や年齢など関係なく惚れ惚れするうれしくなる。
時代劇を日舞や歌舞伎を先にみてきたしそれが模範というか当然だと思っているからか。
でも、同じくして、和やけど和じゃない洋でもないなんだか訳のわからん俗っぽいの極みみたいなもの、
情や欲をかきたてるだけのようなもの、も、もだ、もなんだ。
決して品がいいとかうまいとか言えないようなもの、
寒気がするほどきもちわるいもの、
本当に「無理」と言いたいものも少なくないけれど、
それでも、それだから。
 
芸術鑑賞会じゃないし日舞の発表会でもない。
曲があり、自分のからだがあって、お客さんが居る。
今日の舞台明日の舞台今月の舞台一生の舞台、
日々ずっと食べていく舞台で、集客と大入りと恋と色気と人生と旅の舞台、生きることそのことそのものの舞台で、今、今を生きている舞台、
いいことばっかりじゃなくて。言えないことも多くて、
「それどうなんよ」もいっぱいあって。
でも、今、皆で皆と生きていて、訳がわからない。
古きよきとあたらしいと、品と俗と、人の色気と、
むかしと今、紛れもなく「今」が同居している。
 
盆踊りの本を読んだ読んでいる。
ずっと、特にこの数年からとても関心を持つようになった
祭りや盆踊りのことをもっとちゃんと知りたいと思っていたら
偶然見つけた。
著者は年間100か所以上で踊る「盆オドラー」で「盆バサダー」だそうだ。とてもいい本だった。
この数年このシーズンになると『クックロビン音頭』の動画ばかり観ている。盆踊りで踊られている『クックロビン音頭』だ。
昨年SNSで流れてきたことで知った。
生と祝祭と俗っぽさ。なんやこの熱。
延々観ているしずっと観ていられる。丁々発止皆必死。百花繚乱デラックス。

西(関西)の本もないかな。あるかな。奥が深い。


昨年も書いた。2話セットみたいな感じかもしれません。


過去の関連話。


先月のちいかわを添えて。


◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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Webマガジン「Stay Salty」Vol.33巻頭に自己紹介エッセイを寄稿しました。

12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

東京・湯島の本屋「出発点」では2箱古本屋もやっています。
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読書にまつわるエッセイ集(ZINE)、
tabistorybooks『本と旅する』もお店と通販で取り扱い中。

旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在21話)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)。

noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
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担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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