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赤の原遊戯(赤のワシュピール)(著:茶屋町勝呂)【まだまだだな「オットー、貴様の仕業か」マンガ紹介できなければ殺していたさ】

子どもの頃に読んで泣いた、一巻完結。
当時はまだ、BLとか、腐女子という言葉が存在しなかったが、
完全にその枠の作品である。
今だときちんと「18歳以上ですか?」とアマゾンAIが質問してくる。
当時は、そんなんなかった。普通枠として買った。

がしかし、私はヴィスコンティ映画とかを観ていた男である。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品は多かれ少なかれホモが出てくるんである。
気にしてたら視聴できない。
まして肉体的な絡みは多くない系。
もっぱら精神的な絡みが多い女性向けらしい。
(「ヴェニスに死す」とか観ると、たぶん監督は受けだったんだと思う)
それだけではない。
パタリロもあった!
話がそれたんで戻す。
まあBL要素はほぼ気にならない程度である。

そして、
ナチスモノなんである!
ナチスモノと言えば耽美!!!!
というのがいつごろから始まったのか知らないが、
これもおそらくヨーロッパからの概念輸入。

ナチス耽美はサロンキティ辺りから始まったんだと。
間違っていたらすまん。

ナチス耽美と来れば、
次に来るのはバッドエンドである。
いや、メリーバッドエンドというべきか。
心地よいバッドエンドの悪夢に抱かれて、安眠できるのである。

******

この物語はイケメンナチス3人が出てくる。
冷酷で狂信的な兄。
対照的に心の優しい弟。
そして冷血だが弟にだけは優しい第3者の青年。

この兄と弟が、どうしようもなくこじれていくのを、
青年は外部から見ている。
ただ見ている。
青年はそもそも、ナチスの型にもそんなにはまっていない。
やろうと思えばどんな暴力でも振るえるが、
青年の本質は別にある。
だがやがて、兄と弟の関係は致命的な状態になっていく・・・・

(いや、ユーゲントの少年が主人公だったけど、この子は見かけの主人公だな。メインキャラは上の3人だ)

*****
今だに売っているのに驚いたが、
私は今でも好きだ。

私は結構な、イジメラレッコだったんである。
そして暴力の被害者は、圧倒的に悪に憧れる。
見て見ぬふりをする正義の味方ではなく、
言語道断な暴力を振るう悪のヒーローが魅力的に見えてくるのだ。

まあ
アメリカの銃モノ復讐映画とか、
悪党をぶった切る話にエクスタシーを求めるエンタメ系は、
みんなそういう感情をマーケティングして作られているから、
ふつうの人でもそういうのは、あると思うんだ。

ただ、
イジメラレッコは特にその隠した感情が強い。
そして敵は、往々にして自分以外の全人類となる。

君を虐げてきたやつらに思い知らせてやれ!
目には目を。暴力にはそれ以上の暴力を!
邪魔するものは例外なくぶちのめせ!
明日は世界を焼き尽くせ!
ハイル!ハイル!

なぜいまだに、
ヒトラーに人気があるのか。
これである。
世界を敵に回す絶対的な悪は、
虐げられた弱者にとっては、神なのだ。

ヒトラーを悪魔視するのは、だから止めた方が良いと思う。
むしろヒトラーの人間的な脆さとかをもっと描いた方がいい。
悪魔ヒトラーを描けば描くほど、ネオナチが増える。
無敵の人や、銃乱射少年たちも、大体は彼の信者なのだ。
黒人だろうとユダヤ人だろうと彼の信者だ。人種は関係ない。

敗者の王、なんて言葉がどこかで使われてたな。

ま、そんなことはさておき、
要は私みたいな属性の持ち主にとっては、
ダークで救われないオチのメリバBLマンガを読んで、
涙を流すほど感動できるんである。

もう、泣いた。
これ読んだときは、ずっと泣いてた。
おかげで今でも埋まらない心臓の穴は、
ほんの少しだけ小さくなってくれた。

ということで、

心の傷痕に苦しんでいる人には、
もしかしたら、読む薬になるかもしれない。
ただ副作用も強い薬だ。
強くはオススメしない。

でも事件とか起こすよりも。
マンガ読んで泣いておいた方がイイ。
いずれにせよ、読んでおいて損はない。

ここの先生に紹介してもらいたいなーとか思った。
SFクリーチャー映画ではないので無理だろうけど。


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