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【小説】駅までの道にて
男:寒くなってきたな。
女:うん。そうだね。
男:いやー、受験まであと1年か。
女:そうだね。
男:俺たちも来年3年か。
女:そうだね。
男:前島、なんかいつもと違わないか?
ひょっとして、もう今から緊張してるのか?
女:そんなことないよ。
男:そうか。まあ、今から緊張しても仕方ないからな。
リラックスしろよ。
女:だから、違うってば。
2人は黙る。
男:修学旅行、疲れたな。
女:そう
【小説】ロッカーにて
男:志乃さん、今日もお疲れ様でした。
女:お疲れ様。
男:いやー、お化け屋敷のバイトってホント面白いっすよね。
人怖がらせてお金もらえるの、このバイトだけっすもんね?
女:違うわ。
男:え?他にもあるんすか?
女:そうじゃなくて。
「怖がらせる」が違う。
男:そんなこと言って、志乃さん、今日も口裂け女で、
お客をヒーヒー言わせてたじゃないですか。
女:お客様が勝手に怖がるの。
口裂
【小説】お化け屋敷にて
男:暇っすねー。
まあ、こんな田舎の遊園地で、しかも今年一番の寒波の日っすからね。
お客さん来ないっすよね。
しかも、冬はお化け屋敷って感じじゃないっすもんねー。
聞いてます?志乃さん?
女:お化けは喋らない。
男:志乃さんはプロっすねー。
でも、口裂け女なら、少し話してもいいんじゃないっすか?
人よりも口が大きいんだから。なんちゃって。
女:口裂け女が話すのは襲うときだけ
【小説】ゲームセンターにて
男:どうだ?進展は?
女:悪くないわね。あと1ヶ月ってとこかしら。
男:それはいいな。
女:ちょっと物足りないくらいだけど。
男:余裕ぶっこいてんじゃねえよ。
取れると思ったら取れないんだよ。
女:このUFOキャッチャーみたいに?
男:ああ、そういうことだ。
女:にしても、何でいつもここなの?
男:誰も俺たちに関心を持たないからだよ。
みんな、自分が楽しむことしか考えねえ。
それに爆音
【小説】ホテルフロントにて
男:どこにいるんだろう。
女:きゃっ!
男:あ!ごめんなさい。
前見て歩いてなかったもんですから。
あれ?
もしかして、美代ちゃん?
女:え?
男:やっぱり美代ちゃんでしょ!
懐かしいなー。
俺だよ、俺。田口。田口純。
女:田口君って、南小の?
男:そう!南小の同級生の田口!
女:本当に?何年ぶり?
男:小学生の卒業式以来だから、15年ぶりだよ!
そっか、美代ちゃんも高木た
【小説】カレー屋にて
女:どう?
男:いまいちだなあ。
女:そっか。
カレーって難しいのね。
男:おいおい、オープン初日に言うなよ。
女:大丈夫。今日一日オープンして、お客さん一人も来なかったから。
もはや開店日じゃないわ。
男:そうだな。
それにしても美味しくないな。
女:何が足りないのかしら?
男:コクじゃないか?
女:あのさあ、ずっと前から思ってたんだけど、コクって何?
男:うーん、俺も分からん。
女
【小説】カラオケボックスにて
男:すいません。そこ、ちょっといいですか?
女:あ、ここ?ごめんねー。はい。どうぞ。
あなた、コーヒー好きねえ。
さっきからコーヒーばっかり。
男:はあ。
あの、失礼ですけど、ここで何されてるんですか?
自分、ドリンクバー何回も来てますけど、
ずっとここにいらっしゃいますよね?
女:ここが好きなの。
男:あの、まさかと思いますけど、
無断で入って来てるわけじゃないですよね?