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写真エッセイ

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スマホやカメラで撮影した写真に込めた思い、撮影しながら感じたことを書いています。不定期で更新中。
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桜が見てくれている

桜が見てくれている

わたしの仕事は、アパートやマンションの定期清掃などのメンテナンス。
担当する物件の中に、毎週一度定期清掃を実施するマンションがあります。3階建てでワンフロアに7部屋ある大きなマンションで、築後約40年経過しています。

アパートやマンションの定期清掃をして者にとって、大きなマンションの清掃はけっこうな重労働です。夏の暑い時期は特にそう。

 でも、わたしにはこの現場での清掃作業は苦になりません。む

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春の始まりを感じた朝

春の始まりを感じた朝

朝早く、まだ暗いうちに目が覚めた。時計を見るとまだ4時半。

毎年、春が巡ってくると眠りが浅くなる。自律神経が乱れ始めている証。寒暖差や気圧の変化が大きい時期に、わたしの体はすぐに外からの影響を受けてしまう。この症状に気づき始めた頃は、朝早くに覚醒して寝られなくなることが何となく怖かった。
でも今は「これが自分の体なのだ」と受け入れている。

妻も同じような体の状態のよう。少し遅れて起きてきた。

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雪の朝

雪の朝

静まりかえっている
「シーン」という音が聞こえてきそう

見渡す限りの白い世界

家の屋根にも
車のルーフにも
足元にも

降り積もった雪だけが見えている

静寂に包まれた世界

でも
耳をすませば 聞こえてくる

見てごらん
視線の先にある鳥の足跡
そして
聞こえてくるさえずり

見てごらん
小さな肉球が残したその跡
そして
聞こえてくる 駆け足の足音

見てごらん
ずっと続いていく誰かの靴跡

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時を止める

時を止める

写真撮影の醍醐味はたくさんある。

人それぞれ感じ方は違うと思うが、わたしにとっての写真撮影の魅力とは、「時を止める」こと。

もちろんのこと、文字通り時間を止めることは誰にもできない。
時間は何にも妨げられることなく、過去から現在、そして未来へと進んでいく。

だが、写真撮影の瞬間、撮影者は自分が見ている風景に流れる時間を切り取り、流れ続ける時間という水の流れからいわばすくいとっている。

ファ

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水田のある風景がわたしにくれるもの

水田のある風景がわたしにくれるもの

広島県東広島市は、「酒の都」と呼ばれています。
市の中心部に位置する西条駅周辺には、酒蔵通りという名称の一角があり、長い歴史を持つ七つの蔵元が立ち並んでいます。それら蔵元では、伝統の技を用いた酒造りが今でも行われています。
また、毎年秋には「酒まつり」という日本酒にまつわるイベントも開催されています。
*一昨年、去年は、オンラインの形で行われました。

日本酒の名産地であるということは、美味しいお

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蕾が教えてくれること

蕾が教えてくれること

昨日の夕方、散歩に出かけました。
一日中家の中で過ごした後、ひんやりした空気の中歩いていると体が温まっていきます。

天気はあいにくの曇り空。昼間は晴れていたようなのですが、午後からだんだん雲が増えてきたよう。

家の前を通っている県道沿いを車に気をつけながら進み、三叉路を曲がり池でコイを横目に見ながら、山側に上がっていきます。

上がりきる手前に、梅の木がありました。よく見ると、小さな蕾をいくつ

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