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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを…
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2024年6月の記事一覧

モンシロチョウ(詩)

モンシロチョウ(詩)

君とつないだ手の温もりは春の風に消え去り、
輝かしい季節には僕一人しかいない。
孤独は嫌いではないけれど、
君と出会い、君と別れて、
孤独の意味はすっかり変わり果てた。
真夏の太陽の光を集めて生まれた一羽のモンシロチョウが、
波のように揺れながら、
季節外れの僕を置いてきぼりにして、
目の前を通り過ぎた。

透明人間にご用心(詩)

透明人間にご用心(詩)

透明人間が殺された。
透明人間が車に轢き殺された。
そう新聞に書いてあった。
加害者は被害者にまったく気づかなかった。
当たり前だろう。だって透明人間なのだから。
透明人間は死んだ途端に姿を現したそうだ。
透明になる意志が消えたからだろうと専門家は言った。
人ごとではない。
透明人間は一人だけではないのだから。
それどころか、都会は透明人間で溢れかえっている。
あなたが人殺しにならないために、ご忠

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風(詩)

風(詩)

山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。

一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。

風になりたいと願うが、知識を詰め込みすぎた重い脳みそを持った僕が、風になれないことは最初からわかっていた。

すべてが機械化された現代において、山道を登るのは人力に頼らざるを得ないなんて。

僕はぶつかろうとした一筋の風を吸い込んで、地面に向かって吐き出した

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波(詩)

波(詩)

真夜中の浜辺に君は立っている。
波が君の足許を濡らしている。
君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。
月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶けてゆく。
波は地球の揺らぎであり、波は生命の揺らぎである。
君の心臓のリズムが波と重なり合ったとき、君は自分が波に生まれ変ったことに気がつく。
君は海に向かって歩き出す。
君の姿が少しずつ波に溶けてゆく。
そして君は海となって、揺らいだ

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線状降水帯(詩)

線状降水帯(詩)

熱い日差しの中を歩き続けた僕の体は
熱くなり、溶け出してゆく
僕は固体から液体へ、液体から気体へと変わり
上昇気流につられて空高く昇っていく
僕の体以外にも気体となった人たちが空に集まってくる
空の温度に冷やされて、僕たちは線状降水帯になるそして一部は稲光になり、そしてまた一部は雷鳴になり、その他大勢はまとまって雨になって地面を叩きつけた
僕たちはもう固体には戻れない
氷河期が来るまでは

あずかりもの(詩)

あずかりもの(詩)

命はあずかりものだから
いつか返す日がやってくる
命はあずかりものだから
それまで大事にしなきゃいけないよ
命は最初輝いているけど
油断をするとすぐにくすんでしまうから
命は毎日磨かなきゃいけないよ
ものをキレイにすると心もキレイになるらしいよ
もしあなたがあずけた光が戻ってきたとき
闇を含んでいたとしたら
あなたはきっと悲しむでしょう
だから命を返すときは光り輝いたまま返しましょう
あなたの命は

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鍵(詩)

鍵(詩)

引き出しの中から古い鍵が出てきた
錆びついて赤くなった鍵が出てきた
昔は青く輝いていたのに
時が経つにつれて今や青さはどこにもない
開かずの間の鍵のように
僕が昔開けられなかった鍵
あのとき勇気があれば開けられたのに
あの頃の君の心の扉を開く鍵

眠れない夜(詩)

眠れない夜(詩)

眠れない夜を指折り数えても
なかなか眠れないのだから
眠れない夜を羊の形に変えて
羊を数えたら眠れるのかもしれない

最初で最後の詩(詩)

最初で最後の詩(詩)

詩 私 始 試 使 視 志 資 師 姿 示 仕 支 指 止 死 詩

マネキン(詩)

マネキン(詩)

動くこともできず
話すこともできず
それでもマネキンは
世界の未来を人類に予言する
だけど
動くこともできない
話すこともできない
マネキンの予言を
人類は誰も知ることができない