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60年前の慶應生のノート

80歳に近い祖父は、慶應の経済を出た人である。

夜行列車で田舎から東京へ出てくると奨学金を借りて慶應に通い、優秀な成績を収め一流企業へと就職した。こんなのが孫なのが申し訳ないほど頭の良い人だ。

そんな祖父は大学時代が最良の時であったと何度も思い出話をするほど、慶應が好きだ。授業も真面目に受講し、全て万年筆で大学ノートに清書していた。そのノートがこちら。

この3倍の量はある。

英語のノート。

読解の授業で扱ったジェーンエアに出てくる単語をまとめている。

他には、

「ウィリアム・ウィルソン」やオスカー・ワイルドなんかも。

「近代思想史」のノート。
よく見ると慶應の校章は手書きである。圧倒的慶應愛......。

左側の欄に何について書いてあるかを記入し、右に事項をまとめている。

概念の整理。

テストに向けたヤマがはってある。


「経済原論」。
こんな四角いノートもあった。


なぜか上に空白が。


公式は赤い四角で囲ってある。


また、一緒になって祖父の友人のノートが紛れ込んでいた。

校舎のイラストがプリントされているところから見て、これは慶應のオリジナルノートのようである。

祖父に比べると丸字でかわいらしい感じがする。
また、この方はテーマの左に授業を受講した日付を残すようにしているみたいだ。

しかしやはり青と赤の万年筆でまとめてある。ということはやはり、このスタイルが大学ノートとしては定番だったようだ。(というか祖父の友人はまとめノートがなくて試験は大丈夫だったのだろうか......)





わたしも大学は好きだったし、授業は真面目に受けていたつもりだけども、まとめノートなど作った試しがない。しかもボールペンではなく万年筆である(事実祖父は「書きづらかった、ボールペンがあれば万年筆など使わなかった」と言っていた)。ひっかかったりインク漏れのある万年筆をなだめつつこれだけの文を書くのにどれだけの時間がかかったことか。うーん。



膨大な青春の時を費やしたであろう美しいノートは今うちの物置にダンボールに入れられて眠っている。しかもうちの家族は特にこのノートのことをなんとも思っておらず、たまに開いて見るのもわたしだけである。このまま日の目を見ないのも残念だと思い、noteに投稿して見た。見ていただいて、祖父もノートも喜んでおります。





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