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30代女性。詩・芸術・文学・社会の人文学をテーマにして、つれづれなるままに書いてゆきま…

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30代女性。詩・芸術・文学・社会の人文学をテーマにして、つれづれなるままに書いてゆきます。

記事一覧

結いと芽吹き

初夏に美しい海で結婚式を挙げ、その時、春生まれの第一子を授かったことを知って綴ってゆくつれづれ短歌・俳句 短歌  水無月の    空に南の海望み    ふいに宿り…

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1年前
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雪山とチェーンとチーズ工場

雪山とチェーンとチーズ工場 (村上春樹風) 間一髪。 夜の漆黒の雪山道を渡るのにお世話になった命のチェーンはここで出番を終えた。 道路の雪は翌日には無事溶けていた。…

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2年前
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創作詩 夜の漁港

夜の漁港  誰もいない夜の漁港  闇夜に映える華の閃光  燃ゆる音と波音だけが  私たちを包み込む  貴方の声がした  こんなに近くにいられる日が  こんなにも愛お…

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2年前
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芸術とは ー文学部と人間

"人はいつか必ず死ぬのが分かっているのに  なぜ私たちは死なずに生きているのか"  これに答えを与えつづけるのが、文学部の仕事なのだと以前何かの本で読んだ。  私…

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2年前
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富士には月見草がよく似合ふ

2021-2022 今回の年越しは富士山麓にいました。 日本的閉塞感が嫌いで海外に住むことを決めた2019年。 海外から日本を見てみると、今までとは異なる思考が湧き立ち、改め…

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2年前
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人種差別と闘う実験的授業

 1960年代、あるアメリカの小学校で行われた、人種差別を実際に体験させる有名な実験授業がある。黒人差別撤廃を掲げたキング牧師が暗殺されたあとの話である。  この小…

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4年前
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結いと芽吹き

結いと芽吹き

初夏に美しい海で結婚式を挙げ、その時、春生まれの第一子を授かったことを知って綴ってゆくつれづれ短歌・俳句

短歌

 水無月の 
  空に南の海望み
   ふいに宿りし
      二人の宝

 三人で
  迎える式のいとおしさ
    美海の祝いに
      幸多き日や

 めいっぱい
  庭の向日葵ひらくころ
     天からの息吹
      我が身に花めく  

 朝顔や
  初夏の訪れ

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雪山とチェーンとチーズ工場

雪山とチェーンとチーズ工場

雪山とチェーンとチーズ工場

(村上春樹風)

間一髪。
夜の漆黒の雪山道を渡るのにお世話になった命のチェーンはここで出番を終えた。
道路の雪は翌日には無事溶けていた。チェーンが剥き出しの道路に食い込む音だけが聞こえ、もう安全だと思った私たちはちょうど良いところに出迎えてくれた割に大きいチーズ工場にてチェーンを外すことにした。
しかし案外、外すのにも一苦労。
つける時には七転八倒、体感時間として約

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創作詩 夜の漁港

創作詩 夜の漁港

夜の漁港

 誰もいない夜の漁港
 闇夜に映える華の閃光
 燃ゆる音と波音だけが
 私たちを包み込む

 貴方の声がした
 こんなに近くにいられる日が
 こんなにも愛おしいなんて

 炎のまばゆさで心がくらむ

 誰もいない夜の漁港は
 漆黒の空と静寂の美と
 私たちだけの時間を
 用意してくれた

 幼い頃に戻ったみたい
 貴方が叶えてくれた夢
 火花が踊り出るのって
 こんなにもワクワクするっ

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芸術とは ー文学部と人間

芸術とは ー文学部と人間

"人はいつか必ず死ぬのが分かっているのに
 なぜ私たちは死なずに生きているのか"

 これに答えを与えつづけるのが、文学部の仕事なのだと以前何かの本で読んだ。

 私はその一つの応答があるのなら、"芸術に触れるため"だと思えてならない。

 芸術とは人間が生み出したものの中で、最も崇高で価値の高い文明の産物である。

 文学
 音楽
 絵画
 彫刻
 演劇

 およそすべての芸術は人間讃歌であり、

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富士には月見草がよく似合ふ

富士には月見草がよく似合ふ

2021-2022
今回の年越しは富士山麓にいました。

日本的閉塞感が嫌いで海外に住むことを決めた2019年。
海外から日本を見てみると、今までとは異なる思考が湧き立ち、改めて日本的文化の価値や日本人としてのアイデンティティを再認識すると同時に、やはり現代日本の世界照準からの大幅な逸脱も肌で痛感しました。
久しぶりの日本帰国をしても相も変わらず日本的同調の偏狭さや閉ざされた社会空間に息苦しさを感

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人種差別と闘う実験的授業

人種差別と闘う実験的授業

 1960年代、あるアメリカの小学校で行われた、人種差別を実際に体験させる有名な実験授業がある。黒人差別撤廃を掲げたキング牧師が暗殺されたあとの話である。

 この小学校では、人種差別の経験を受けた子どもはほとんどいない。J・エリオットという教諭はある授業で、彼らの目の色で「差別」をするという実験を行った。初めに、青い目をした子どもが優遇され、茶色い目をした子どもは後回しにされるという体験をさせた

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