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美加りん 詩人
2020年1月2日 08:04
手が届かない 幻の向こうで あなたを抱く 抱くのはあなたではなく あなたを感じる私の心 喜びで震えるのは 官能する身体は 天からの霊感 もれる吐息は 霊感の雫 あなたを想う私は海の中 濡れていることも知らず あなたを感じながら いつのまにか 光のない深海へと沈み 海底には光明 眩しすぎて 何も見えない 暗黒
2020年1月9日 10:07
折れ曲がり煤け羽は抜け落ちボロボロになった右の翼。折りたたんでそこにあることも忘れてしまった。 たまに左の翼だけで飛ぼうとするとバランスを崩し大地に墜落する。 そしていつしか翼があることも忘れ初めて降り立った大地の珍しい香りに時間を忘れた。 やがて大気の重さにも慣れ地上の引力も気にならなくなった。 それでも地上の生活は偽りとは言えぬが真実だともいえなかった。
2020年1月10日 12:27
あなたは大自然の気を吸って どこまでも大きく拡がっていく。 あなたは星の瞬きの中で 宇宙いっぱいに輝きを増していく。 そんな風に用意された広大な御座で あなたとひとつになる。 座しているあなたの上に跨り その広大さに私は ただ喜びを感じていた。 一つに溶け合ったまま この大宇宙の中で無限に広がり 歓喜に酔いしれた。 静止した銀河は
2020年1月18日 06:36
自然と融合したまま歩く 川沿いの道 誰かとすれ違うたびに 違和感が沸き起こる なぜ? 私は一糸まとわぬ姿で 道を歩いていた 周りの人々が衣服を纏うなか 私は自然界の生の人 裸族 思いもよらなかった絶頂体験 根こそぎ剥ぎ取られた 一秒前までのあらゆる記憶 私にはもう何も隠すものがない 何者にも頼る必要がない 本来の
2020年1月19日 12:29
私はあなたを愛してはいないのです。 あなたを好きでもないのです。 あなたを想いやる私もいないのです。 私は黒い翼を広げ、 青だけの自由を知るカラスの女。 この愛は、 所有もなく期待もなく 愛もなく好き嫌いもなく 期待もなく失望もなく 愛もなく希望もなく 思いやりもなく恨みもなく 喜びもなく悲しみもなく 力もなく従属もなく 良心もなく邪
2020年1月4日 09:36
「生々しさも嬉しかったんだなあ。」そうやって、あなたは私の全てを包み込む。魔法の言葉で。地球の生々しさ、人間の生々しさ、自分の生々しさ。それが嬉しいという言葉はとても衝撃的で、私の概念を根底から破壊してしまった。夕食の買い物をしながら気が付いた。いろいろなお店で顔見知りの店員さんと話をしながら、泉から水が絶えず湧き出ているかのように、内側から愛があふれ出ているのを感じた。
2020年1月25日 12:51
全てを捨てきった後 残ったのは空っぽの心 何もない心に映るのは 日常の宝石 泣きなくなるほど すみ切った空 そこには何もなく ただそのままの 光があった ここに立ち 世界をながめる それだけのことなのに 静かな喜びに包まれる たったひとりのはずなのに ひとりではない あの時 あなたと触れた瞬間に ひ
2020年1月28日 12:03
祈る あなたのために 祈る そして 不安に押しつぶされ 希望がこぼれ落ちていくとき 心が歌った アヴェ・マリア 祈ることもできず ただ歌を聴くとき 忘れ去った祈りは 宙に溶け 両手の温かみとして 私に触れる 抱きしめられた その中に あなたの強さと 笑顔があった 忘れていた あなたは護られてい
2020年1月29日 12:43
霧です 霧がやってきたのです むこうから 虹色の霧が… ガンジス川氷河のほとり 水の倍音を聴きながら座していた 冷気を感じて目を開けると 源流から 向かってくる 霧の津波 あっというまに 丸ごとのみこまれた 霧は七色 水蒸気のプリズムに 包まれた体は 虹の身体 変性する肉体 虹の
2020年1月30日 13:04
ぼんやりとした暗闇の中で 鍵を拾った 歩いていると 大きな扉があった 何の扉かわからないまま 躊躇なく鍵を開ける 信頼だけがあった ドアを押し開く 目の前には 一匹の白いライオン 澄み切ったその眼は一瞬で 獲物を捉える欲望の眼差しへと変化する ライオンは私に襲いかかる 私の喉を噛み切り 身体を引き裂き 食い