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【詩集4】女の哲学(コズミック・オーガズム)

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詩集「コズミック・オーガズム」は霊的ワンネスを官能的な詩で表した詩です。 【詩集4】は、やがて愛が成熟しふと我に返る時、永遠に変容してしまった世界の中で、自分はいったい何者だった…
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2020年1月の記事一覧

実在|女の哲学

実在|女の哲学

  手が届かない
  幻の向こうで
  あなたを抱く
 
  抱くのはあなたではなく
  あなたを感じる私の心
  喜びで震えるのは
 
  官能する身体は
  天からの霊感
  もれる吐息は
  霊感の雫 

  あなたを想う私は海の中

  濡れていることも知らず
  あなたを感じながら
  いつのまにか
  光のない深海へと沈み

  海底には光明
  眩しすぎて
  何も見えない
  暗黒

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透明な翼は黒く見える|女の哲学

透明な翼は黒く見える|女の哲学

折れ曲がり煤け
羽は抜け落ち
ボロボロになった右の翼。
折りたたんで
そこにあることも忘れてしまった。
 
たまに左の翼だけで飛ぼうとすると
バランスを崩し大地に墜落する。
 
そしていつしか翼があることも忘れ
初めて降り立った大地の
珍しい香りに時間を忘れた。
 
やがて大気の重さにも慣れ
地上の引力も気にならなくなった。
 
それでも地上の生活は
偽りとは言えぬが
真実だともいえなかった。
 

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宇宙を統べる者|女の哲学

宇宙を統べる者|女の哲学

  あなたは大自然の気を吸って
  どこまでも大きく拡がっていく。
 
  あなたは星の瞬きの中で
  宇宙いっぱいに輝きを増していく。

   そんな風に用意された広大な御座で
  あなたとひとつになる。

   座しているあなたの上に跨り
  その広大さに私は
  ただ喜びを感じていた。

  一つに溶け合ったまま
  この大宇宙の中で無限に広がり
  歓喜に酔いしれた。

  静止した銀河は

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裸族|女の哲学

裸族|女の哲学

  自然と融合したまま歩く
  川沿いの道

  誰かとすれ違うたびに
  違和感が沸き起こる
  なぜ?
 
  私は一糸まとわぬ姿で
  道を歩いていた
 
  周りの人々が衣服を纏うなか
  私は自然界の生の人
 
  裸族
 
  思いもよらなかった絶頂体験
  根こそぎ剥ぎ取られた
  一秒前までのあらゆる記憶

   私にはもう何も隠すものがない
  何者にも頼る必要がない
  本来の

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カラスの愛|女の哲学

カラスの愛|女の哲学

  私はあなたを愛してはいないのです。
  あなたを好きでもないのです。
  あなたを想いやる私もいないのです。
 
  私は黒い翼を広げ、
  青だけの自由を知るカラスの女。
 
  この愛は、
  所有もなく期待もなく
  愛もなく好き嫌いもなく
  期待もなく失望もなく
  愛もなく希望もなく
  思いやりもなく恨みもなく
  喜びもなく悲しみもなく
  力もなく従属もなく
  良心もなく邪

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魔法の言葉|女の哲学

魔法の言葉|女の哲学

「生々しさも嬉しかったんだなあ。」

そうやって、あなたは私の全てを包み込む。
魔法の言葉で。

地球の生々しさ、人間の生々しさ、自分の生々しさ。
それが嬉しいという言葉はとても衝撃的で、
私の概念を根底から破壊してしまった。

夕食の買い物をしながら気が付いた。

いろいろなお店で顔見知りの店員さんと話をしながら、
泉から水が絶えず湧き出ているかのように、
内側から愛があふれ出ているのを感じた。

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一粒の宝石|女の哲学

一粒の宝石|女の哲学

  全てを捨てきった後
  残ったのは空っぽの心
 
  何もない心に映るのは
  日常の宝石
 
  泣きなくなるほど
  すみ切った空
 
  そこには何もなく
  ただそのままの
  光があった
 
  ここに立ち
  世界をながめる
 
  それだけのことなのに
  静かな喜びに包まれる
 
  たったひとりのはずなのに
  ひとりではない
 
  あの時
  あなたと触れた瞬間に
  ひ

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アヴェ・マリア | 女の哲学

アヴェ・マリア | 女の哲学

  祈る

  あなたのために 
  祈る 

  そして
  不安に押しつぶされ
  希望がこぼれ落ちていくとき

  心が歌った

  アヴェ・マリア

  祈ることもできず
  ただ歌を聴くとき

  忘れ去った祈りは
  宙に溶け

  両手の温かみとして
  私に触れる

  抱きしめられた
  その中に
  あなたの強さと
  笑顔があった
  
  忘れていた
  あなたは護られてい

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虹の身体 | 女の哲学

虹の身体 | 女の哲学

  霧です
  霧がやってきたのです
  むこうから
  虹色の霧が…

    

  ガンジス川氷河のほとり
  水の倍音を聴きながら座していた
 
  冷気を感じて目を開けると
 
  源流から
  向かってくる
  霧の津波
 
  あっというまに
  丸ごとのみこまれた
  霧は七色

 
  水蒸気のプリズムに
  包まれた体は
 
  虹の身体
 
  変性する肉体
 
 
  虹の

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コンドル|女の哲学

コンドル|女の哲学

  ぼんやりとした暗闇の中で
  鍵を拾った
 
  歩いていると
  大きな扉があった
 
  何の扉かわからないまま
  躊躇なく鍵を開ける

  信頼だけがあった
 
  ドアを押し開く
 
  
  目の前には
  一匹の白いライオン
 
  澄み切ったその眼は一瞬で
  獲物を捉える欲望の眼差しへと変化する
  ライオンは私に襲いかかる
  私の喉を噛み切り
  身体を引き裂き
  食い

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