コンドル2

コンドル|女の哲学

  ぼんやりとした暗闇の中で
  鍵を拾った
 
  歩いていると
  大きな扉があった
 
  何の扉かわからないまま
  躊躇なく鍵を開ける

  信頼だけがあった
 
  ドアを押し開く
 
  
  目の前には
  一匹の白いライオン
 
  澄み切ったその眼は一瞬で
  獲物を捉える欲望の眼差しへと変化する
  ライオンは私に襲いかかる
  私の喉を噛み切り
  身体を引き裂き
  食い尽くす

  赤く染まった白いライオンは
  ゆっくりと
  切り立った崖に向かい
  身体をかがめ
  大きくジャンプする
 
  崖から飛び降りた体は
  地球の抱擁を待ち望む

  甘美な下降のさなか
  ライオンの肌を突き破り

  コンドルが顕れ
  大きな翼を広げる

  コンドルは向かう

  風を切り
  上昇気流に乗り
  さらに
  さらに
  山を越え
  青い空の向こう
  虚空へと
 
  その先には
  両手を大きく広げる
  あなたの姿
 
  コンドルはすり抜ける
  そんな幻影さえも
 
  その先にある
  無空へと
 
  コンドルは
  ただ飛んでいく
 

  本能のままに。。。


コンドル2

(Photo: ©MikaRin)



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