一粒の宝石

一粒の宝石|女の哲学

  全てを捨てきった後
  残ったのは空っぽの心
 
  何もない心に映るのは
  日常の宝石
 
  泣きなくなるほど
  すみ切った空
 
  そこには何もなく
  ただそのままの
  光があった
 
  ここに立ち
  世界をながめる
 
  それだけのことなのに
  静かな喜びに包まれる
 
  たったひとりのはずなのに
  ひとりではない
 
  あの時
  あなたと触れた瞬間に
  ひとつになった
 
  やがてあなたと私の区別は消え
  空っぽの私になった
 
  見上げる空は
  どこまでも広く
  果ての果てまで
  光り輝く
 
  たとえ誰も知らなくとも
  ただ存在する
 
  一粒の
  宝石

一粒の宝石

(PHoto: ©MikaRin)





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