ルイス・アウグスト
1枚の集合写真しか残っていない。顔だってちゃんと覚えているわけじゃない。だけど、だからこそ永久保存してある名前から、何か解凍できるかどうか、、試してみよう。
初恋の人はルイス・アウグスト。
私だけじゃない、クラスみんなが一目置いていた。黒い髪。黒い瞳(だったと思う)。黒縁メガネがカッコ良かった。白シャツに黒いズボンは地味だけどお洒落。(遠い記憶の彼方、想像の域)でも外見だけじゃない。そこ強調したい。
うまく説明できないな。
立ち居振る舞いなんてもの、たかが6〜7歳の子どもにあるものかって思うけど、ルイス・アウグストは別格だった。
どちらかって言うと静か。大声でわめいたり騒いだりなんかしない。静かにしてるのに、ちゃんと見てる。ちゃんと頑張って、ちゃんと転ぶ。でも、ちゃんと立ち上がる。
自分が自分がというタイプじゃあなかった。
そんなルイス・アウグストをでもみんな見ていた。一度クラスで「いちばんのハンサムは誰?」と言う話になったとき、文句なくルイス・アウグストだって、みんな言ったのを覚えている。
そう言われた時のルイス・アウグストも素敵だった。恥ずかしそうにしてるのが素敵だった。隠せない外側の美しさの中に、なかみの美しさを黙って仕舞っているような子だった。
子どもだった私たちはソレを言い表す言葉を持っていなかったけれど、ルイス・アウグストには「高貴」なニオイがした。大切なものをちゃんと守っている感じ。子どもながらアッパレな感じ?
というわけで。
やっぱりうまく言えないのに、やっぱり書いておかないわけにはいかないルイス・アウグスト。わたし一生の永久凍土の中に閉じ込めてある美少年。
もっと色んなこと、思い出したいのに思い出せないということで忘れられない人もいるんだなぁ、と。
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