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#ツールの進化と人の進化と
1980年代の半ば、ワープロ専用機が低価格化して一気にパーソナルワープロブームが広がった。当時19歳の学生だった私も、同人誌の原稿を書くために電気屋の店頭にあった、Canonのキヤノワードミニα10というのを10万円前後の価格で購入した。ボックス型で低価格機の中ではディスプレイが大きく、キーボードを本体に格納できるのが特徴だった。キャッチコピーは「行動派ワンボックス」で、印字品質は24ドットが主流
もっとみる#波頭を切るディンギーのように
1995年にWindows95が発売される前後から、当時勤めていた会社でもパソコンが導入されて我々営業マンにも1人1台ずつノートパソコンが支給された。当時は日々の帳簿や業務報告を本社へ送信するのがパソコンを使用する主目的であった。その頃から個人でウェブサイトを持つのが流行り出した。ウェブサイトがホームページと呼ばれる様になったのもこの頃だ。流行り物好きな私は、さっそく自分のパソコンを購入して手引き
もっとみる#ポツンと一軒家の話
先日、所用で鹿児島へ出かけた。奄美大島も鹿児島県ではあるのだが、奄美の人が「鹿児島へ行く」「鹿児島へノボる」と言った場合、鹿児島市もしくは県本土へ出向く事を指す。
義父の従兄弟の奥さんが、我が家の隣で一人暮らしをしているのだが齢90になって身寄りも無い。オバチャンの支援関連の手続き等は、すべてわが家がおこなっている。近年は歩行も困難になり、認知機能に衰えも見えて来た。そこで2ヶ月前に老健施設に入所
#手帳の魔力と道具の道
手帳には魔力がある。年末年始に「来年こそは」「今年こそは」との思いを込めて新しい手帳を購入した人はきっと多いはずだ。手帳には人に希望を抱かせる力がある。いや、「希望を抱かせてしまう」魔力があるのだ。SNSで文房具愛好家のグループに入っているので、手帳の魔力に魅入られてしまった人をたくさん見ている。手帳を愛好する人は大きく3つにタイプ分けすることが出来る。
ひとつめは自己表現型。毎日思いのままに
#そんなふうに言うんじゃない
説明のつかない不思議な体験、一般的に「怪談」とか「怖い話」と言われてしまう体験を、私自身が多く体験し、また身近な人からの話を聞いている。
しかしそれらを「怪談」と呼んでしまうことには抵抗がある。それはあくまでも「不思議な体験」であって、決して怖い話ではない。
2018年10月31日の稿に、『呼び覚まされる霊性の震災学』(金菱清<ゼミナール>編 2016年 新曜社)について記した。
この書は、「
努力と計画のハザマ (2020.09.23メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)
それがたとえ重要な仕事であったとしても、無計画な人は意外と多い。そんな人に限って「努力します」「頑張ります」と言う。しかし彼らの多くは努力の仕方も頑張り方も知らない。「努力します」「頑張ります」とはその場をやり過ごす方便でしかなく、もし仕事のパートナーがこんな言葉遣いをする人なら要注意だ。その言葉を聞いた瞬間に「いつまでに何をどのくらい」するのかと具体性を問う質問を立てるべきだ。「なるべく早く」な
もっとみる『半分、青い』と『霊性の震災学』(2018.10.31メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)
奄美大島も朝晩は20度を下回るようになりました。
秋の夜長に読書などをしています。1年以上前に新聞のレビュー記事で見て気になっていた、金菱清〔ゼミナール)編『呼び覚まされる霊性の震災学』(2016年 新曜社)。
「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたかをテーマに東北学院大学の学生による卒業論文を集めたものです。
震災後、多くのタクシー運転手たちが体験した幽霊現象。
初夏、季節外れのコ
【実話】 ボタンを押す手
名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。
妻の友人が小学校低学年の子供を連れて遊びに来た。
友人の帰り際、エレベーターホールでの事だ。
母親が息子に「○○ちゃん、エレベーターのボタン押してくれる?」と言った。
子供はこういったボタンを押すのが好きなので、わざと息子に頼んだのだ。
すると子供は、
「誰かがボタン押してるから押せないよ」
と言う。
「誰もボタン押してないよ」
【実話】 防空頭巾の女の子
名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。
私の住んでいた8階のフロアーには10世帯ほどのドアが並んでいて、そのほとんどに盛り塩がされていた。もちろんわが家も例外ではない。
この集合住宅全体で、不思議な現象が起きていたのだ。
同じ階の知人には高校生の娘さんがいた。母娘ふたり暮らしだった。
ある日、母娘で出掛けて帰宅した時の事だ。
先に娘さんが鍵を開けて家に入った。