松尾 憲幸

北海道生まれ。縁あって奄美大島で暮らしています。

松尾 憲幸

北海道生まれ。縁あって奄美大島で暮らしています。

マガジン

  • まつお会議2024

    故郷、北海道佐呂間町のメールマガジン「ほぼ週刊さろま」への寄稿をまとめています。

  • 不思議な話

    怪談と言ってしまうとちょっと違う。実体験ってそんなもの。科学ではまだ判明されていない、私の実体験および知人から聞いた話のいくつかです。

  • ピックアップほぼさろ

    私が、故郷である北海道佐呂間町のメールマガジン『ほぼ週刊さろま』に寄せた原稿のうち、2019年9月11日配信分以降のものは、それぞれマガジン化して保存してある。  2019.09.04以前のものはnoteに保存していなかったのだが、その中にも残しておきたいと思えるものがあったので、マガジン『ピックアップほぼさろ』として、若干の修正を加えた上で保存しておく。

  • ポメラノート

    ポメラに関する記事をまとめています。

  • まつお会議2023

    故郷、北海道のメルマガ「ほぼ週刊さろま」へ寄稿したものを、ここに保存しています。

最近の記事

#波頭を切るディンギーのように

1995年にWindows95が発売される前後から、当時勤めていた会社でもパソコンが導入されて我々営業マンにも1人1台ずつノートパソコンが支給された。当時は日々の帳簿や業務報告を本社へ送信するのがパソコンを使用する主目的であった。その頃から個人でウェブサイトを持つのが流行り出した。ウェブサイトがホームページと呼ばれる様になったのもこの頃だ。流行り物好きな私は、さっそく自分のパソコンを購入して手引き書を見ながら自分のウェブサイトを作った。 奄美大島で両親が暮らす妻と出会ったのも

    • #ポツンと一軒家の話

      先日、所用で鹿児島へ出かけた。奄美大島も鹿児島県ではあるのだが、奄美の人が「鹿児島へ行く」「鹿児島へノボる」と言った場合、鹿児島市もしくは県本土へ出向く事を指す。 義父の従兄弟の奥さんが、我が家の隣で一人暮らしをしているのだが齢90になって身寄りも無い。オバチャンの支援関連の手続き等は、すべてわが家がおこなっている。近年は歩行も困難になり、認知機能に衰えも見えて来た。そこで2ヶ月前に老健施設に入所して貰った。県本土で暮らす弟さんから「姉の事はすべてお願いします」との便りを貰っ

      • #スマホの話

        iPhoneが日本で発売されたのは2008年7月の事だ。当時、日本でiPhoneを扱うことの出来たキャリアはソフトバンクのみで、ソフトバンクユーザーだった私は早速iPhoneを手にした。さて、それから1年後、私は奄美大島へ越して来たのだが、何と自宅がソフトバンクの圏外であった。自宅で携帯が使えないのでは仕事に支障を来たすので、私はキャリアをauに乗り換えた。もちろんiPhoneは使えない。日本でAndroid端末が発売されたのは2010年4月、ドコモからなので、2009年当時

        • #私と愛犬

          物心ついた頃には家に犬がいたせいか、犬が好きだ。飼い犬の居ない生活はさぞ寂しいだろうと思う。 いつか両親と、犬と猫はどちらが好きかという話をした事がある。意外にも両親とも猫が好きなのだと言った。両親とも独身時代は猫を飼っていたのだそうだ。父などは腕枕で猫と一緒に寝た話を嬉々として語ってくれた。 そう言えば、母方の伯父の家にも2匹ほど猫がいた。確か白猫とキジトラだったと記憶している。伯父の家には頻繁に遊びに行ったが、それらの猫に愛着を持つことはついに無かった。   「メンメ」と

        #波頭を切るディンギーのように

        マガジン

        • まつお会議2024
          16本
        • 不思議な話
          15本
        • ピックアップほぼさろ
          2本
        • ポメラノート
          5本
        • まつお会議2023
          51本
        • まつお会議
          50本

        記事

          #匂いの記憶

          本州でスギ花粉の飛散が話題に上るこの時期、奄美ではシャリンバイの花が咲き始める。 道を歩くと風に乗ってほのかな匂いを感じ、見るとシャリンバイである。義母の愛知県で暮らす妹は、この匂いが奄美の思い出だと語った。 私は匂いに敏感な性質で、花の名前は知らないくせに花の匂いは好きなのだ。秋口のキンモクセイや春先の沈丁花の匂いなどは、立ち止まってしばらく花の在処を探してしまう。   愛知県で暮らしていた頃に街中でふと、幼い頃嗅いだ洗濯石鹸の匂いを感じ、匂いの主を探し出して調べるとそれが

          #匂いの記憶

          #自分ひとりの力

          先日、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授の講演を聴く機会があった。 氏は、2017年7月7日に国際連合総会で核兵器禁止条約が採択された場にも参加されており、その時のスタンディングオベーションや人々の熱気に満ちた様子も語られた。 氏いわく、核兵器禁止条約とは「漢方薬じわじわ効果」なのだそうだ。この条約の白眉は核兵器を「非人道兵器」と明確に位置付けたことにあると言う。   これまでの核に関する話し合いは、核兵器を保有する国同士によっておこなわれており、議論の前提は、核

          #自分ひとりの力

          #手帳の魔力と道具の道

          手帳には魔力がある。年末年始に「来年こそは」「今年こそは」との思いを込めて新しい手帳を購入した人はきっと多いはずだ。手帳には人に希望を抱かせる力がある。いや、「希望を抱かせてしまう」魔力があるのだ。SNSで文房具愛好家のグループに入っているので、手帳の魔力に魅入られてしまった人をたくさん見ている。手帳を愛好する人は大きく3つにタイプ分けすることが出来る。   ひとつめは自己表現型。毎日思いのままにページをデコレーションして、SNSなどで公開して楽しむタイプ。ふたつめは実務型。

          #手帳の魔力と道具の道

          #そんなふうに言うんじゃない

          説明のつかない不思議な体験、一般的に「怪談」とか「怖い話」と言われてしまう体験を、私自身が多く体験し、また身近な人からの話を聞いている。 しかしそれらを「怪談」と呼んでしまうことには抵抗がある。それはあくまでも「不思議な体験」であって、決して怖い話ではない。   2018年10月31日の稿に、『呼び覚まされる霊性の震災学』(金菱清<ゼミナール>編 2016年 新曜社)について記した。 この書は、「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたかをテーマに、東北学院大学の学生に

          #そんなふうに言うんじゃない

          努力と計画のハザマ (2020.09.23メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)

          それがたとえ重要な仕事であったとしても、無計画な人は意外と多い。そんな人に限って「努力します」「頑張ります」と言う。しかし彼らの多くは努力の仕方も頑張り方も知らない。「努力します」「頑張ります」とはその場をやり過ごす方便でしかなく、もし仕事のパートナーがこんな言葉遣いをする人なら要注意だ。その言葉を聞いた瞬間に「いつまでに何をどのくらい」するのかと具体性を問う質問を立てるべきだ。「なるべく早く」などの具体性の無い言葉にも同様の質問が有効だ。 努力の仕方、頑張り方のひとつとし

          努力と計画のハザマ (2020.09.23メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)

          『半分、青い』と『霊性の震災学』(2018.10.31メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)

          奄美大島も朝晩は20度を下回るようになりました。 秋の夜長に読書などをしています。1年以上前に新聞のレビュー記事で見て気になっていた、金菱清〔ゼミナール)編『呼び覚まされる霊性の震災学』(2016年 新曜社)。   「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたかをテーマに東北学院大学の学生による卒業論文を集めたものです。 震災後、多くのタクシー運転手たちが体験した幽霊現象。 初夏、季節外れのコート姿の女性が乗り込み 「南浜まで」 と。 「あそこはほとんど更地ですが構いませ

          『半分、青い』と『霊性の震災学』(2018.10.31メールマガジン『ほぼ週刊さろま』寄稿)

          【実話】 山荘にて

          10年ほど前の事だ。 母と共に静内の伯母を訪ねた。その帰り道のことだ。 途中、浦河町を通る。浦河と言えば、小説家の佐藤愛子氏が建てた山荘がある。氏の著書『私の遺言』(新潮文庫2005年 )の中で、ポルターガイスト現象で有名になったあの山荘だ。   国道から山荘を見ると、遠く切妻屋根がまるで山の上の祠のように見える。 ’75年にこの山荘が建てられてから、佐藤氏は数々の不思議な現象に悩まされた。 実はこの山荘は、大勢のアイヌの人たちが虐殺された場所を切り崩して建てられていたのだっ

          【実話】 山荘にて

          # 説明と同意の大切さ

          夜、歯磨きをする前に必ず歯間ブラシを使う。 以前、顧客からの依頼で歯科医院向けの動画コンテンツをたくさん制作したことがあって、その中に歯周病予防についてのものもあった。   歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)で、歯間や歯と歯茎の間に溜まったプラークは、歯磨きだけでは落とすことが出来ない。これまで歯間ブラシを使ったことの無い方は、一度使ってみることをお勧めする。歯間には、いつのものとも思えぬ粘液化した食べカスが、これでもかと言うくらい溜まっている。歯間ブラシによって、この物体を

          # 説明と同意の大切さ

          【実話】 ボタンを押す手

          名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。  妻の友人が小学校低学年の子供を連れて遊びに来た。 友人の帰り際、エレベーターホールでの事だ。 母親が息子に「○○ちゃん、エレベーターのボタン押してくれる?」と言った。 子供はこういったボタンを押すのが好きなので、わざと息子に頼んだのだ。 すると子供は、 「誰かがボタン押してるから押せないよ」 と言う。 「誰もボタン押してないよ」 と母親が言うと、 「手が押してる」 と息子が言う。 どうやらボタンを押し続けて

          【実話】 ボタンを押す手

          【実話】 防空頭巾の女の子

          名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。  私の住んでいた8階のフロアーには10世帯ほどのドアが並んでいて、そのほとんどに盛り塩がされていた。もちろんわが家も例外ではない。 この集合住宅全体で、不思議な現象が起きていたのだ。   同じ階の知人には高校生の娘さんがいた。母娘ふたり暮らしだった。 ある日、母娘で出掛けて帰宅した時の事だ。   先に娘さんが鍵を開けて家に入った。 続いてお母さんも中へ入ろうとしたが、娘さんが玄関で立ち尽くしている。 「どうし

          【実話】 防空頭巾の女の子

          【実話】 何だか煙たい

          名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。  テレビを視たりして普通に過ごしている時、何だか煙たい気がする。 「煙臭くない?」 と妻に聞くが、妻はもともと体質が原因で匂いを感じにくいため、いつも「別に」と言う。 ベランダに出て周囲を見渡すが、どこかで煙が出ている様子も無い。近隣の住人がタバコを吸っているわけでもなかった。そもそもタバコの匂いでは無い。 いつしか匂いは感じなくなるのだが、ある時またふいに煙たくなる。匂いだけではなく、息苦しさも感じた。  

          【実話】 何だか煙たい

          【実話】 煙の充満する部屋

          名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。  近隣の街に住む叔母が、わが家に泊まりに来た。妻の母方の叔母だ。 泊まりに来て2日目くらいの時の事だ。   妻と叔母がケンカをし、妻が玄関横の部屋に閉じこもってしまった。 叔母が妻を取りなそうと部屋の戸を開けると、部屋に煙が充満したように霞みがかかっていて、そこにいる妻の顔が見えない。実際に煙が充満しているわけでも無く、煙の匂いもしなかった。   叔母はわけがわからず戸を締めてしまった。 あとから妻が出て来た

          【実話】 煙の充満する部屋