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#腕時計の話

先週も腕時計の話をしたついでにもう少し腕時計の話を続ける。先週、もう1本アナログのチプカシを買おうかとの話をしたが、結局ネットでmdv-106-1avという海外モデルを購入した。チプカシ、チープカシオの定義は曖昧で、8,000円以下がチプカシだとか、1万円以下ならチプカシだとか様々な説がある。今回購入した逆輸入海外モデルのmdv-106-1avは円安の煽りで12,000円ほどだったが、以前であれば8,000円程度で買えたモノだ。だからこれもきっとチプカシと言ってしまって良いのだろう。
 
私は収集癖は無いつもりなのだが、自分にしっくり来るモノが見つかるまでとことん追求するクセがある。「クラス」ではなく「暮らし」が選択基準なので、自分の生活に馴染むのかどうかを見極める。道具に振り回されるようなモノは選ばない。万年筆もそうであったが、これぞ自分のための道具だと思うモノに巡り合った頃には蒐集家並みのコレクションが出来上がっている。チプカシもまた、気が付けば4本目だ。「プライベートな作業やレジャーの時に使う、紛失したり壊れたりしてもさほど痛手にはならない額でありながら満足感を得られるモノ」を探していたら、もう4本。思えば自転車の時もそうだった。最終的に行きつけのショップの店長にオーダーしてハンドメイドのフレームに様々なパーツをアッセンブルしてシックなシングルスピードを組み上げて貰った。万年筆の時は愛好家グループに所属して様々な情報を元に国産品や海外品を試して、最終的にパイロットのキャップレスLSに落ち着いた頃には10本ほどのコレクションが出来上がっていた。ただ、今回のプライベート用腕時計の選択には自信がある。多分、きっと、おそらく、これで終りだろうと。
 
思い出せば、中学の入学祝いに親戚から頂いたのが最初の腕時計だった。かれこれ45年も前の話だ。初めての腕時計は、ブラウンの文字盤のセイコーのステンレスブレスレッドのモデルだった。当時で5万円ほどの物であったから、中学生にとっては高価な持ち物であった。分厚くて重い時計だった。それを5年ほど使ったあと、とにかく薄くて軽い時計が欲しいと、テレビCMを見てビビビっと来たセイコーのアルバサクセスと言うのを遊びに行った網走の時計屋さんで購入した。当時で1万円程度だったので、高校生のバイトの稼ぎでも買うことが出来た。
 
当時は腕時計のテレビCMが多かったように思う。セイコーのCMには松田聖子や坂本龍一が出ていたし、シチズンの若者向けモデルのCMではBGMに白井貴子の「チャンス!」や爆風スランプの「うわさに、なりたい」が使われていて若者の物欲を煽った。それら若者向けのモデルにはクロノグラフ風の秒針が付いていて、夜中にうなされるほど、その洒落たデザインには憧れた。
その時買ったアルバサクセスは、高校を卒業して大学時代、社会人も合わせて10年近く使い続けた。それを思うと私は特別に腕時計が好きな訳ではないし、ましてや蒐集家などでもない。先に述べた通り、暮らしにしっくり馴染むものを見つけたいだけなのだ。それが見つかれば、あとは長い付き合いになる。

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